いぬくそ看板の向こう側

いぬくそ看板の背景に存在する「人間ドラマ」を紹介するブログです。

いぬくそグッズ その4

2020-08-30 16:30:00 | ブログ概要
グッズの紹介です。


■福袋風トートバッグ -ウンを持ち帰ろう- ※1
書籍以外のグッズ第二弾は、実用性を考えてトートバッグです。今年7月からスーパーやコンビニでの買い物用ビニール袋配布が有料化し、いたるところに袋が出回る今、個性的なデザインが求められると思って企画してみました。※2 ※3

数年前、近所のコンビニが新規オープンした時に、オープン記念で福袋をやっていました。中身は駄菓子だったので、駄菓子好きの私は迷うこと無く予約して購入。お菓子は食べてしまいましたが、家に残った紙の福袋が愛おしく、長く残しておきたいという想いがあります。

※1.バッグのみの販売です。幸ウン以外は入っておりません。
※2.いぬくそ看板をイメージして作成しています
※3.防水加工しておりませんので屎尿処理時はご注意ください


大きさはA4サイズのファイル類が縦に入ります。持ち手が長いので、荷物によっては肩がけも可能。

底はマチがあるので、容量はなかなかのものです。縫製もバッチリで日常使いに耐えられます。

●諸元
素材:コットン100% 8.3オンス
本体サイズ:約W360xH370xD120mm(船底)
持ち手サイズ:約L550mm
容量:約10リッター

※写真はイメージです

数量に限りがありますので、お早めにご注文ください!!

いつかは乗りたい高級セダン

2020-08-27 20:30:00 | 背景はクルマ
いぬくそ看板とは、ドラマである。

いぬくそ看板観察を長く続けていると、そこに繰り広げられるドラマを勝手に見出してしまう。それは私の妄想で、たぶん実際とは違うと思う。でも、これだけ「怒り」を公にされてしまうと、何かを思わざるを得ない。

その「思わざるを得ない」ものを自分の中に留めておくのは辛いものがある。人の怒りを受け流すほどのヒューマンスキルは持ち合わせていない。だからその妄想を物語にして自分の心から成仏させようと思う。


多奈崎いぬくそ事案 ケース1:康夫の場合

「やはり片付けていない」
康夫は今朝もひとりごちた。

田畑がまだ残る住宅街。朝のさわやかな空気に相応しくない茶色いペースト -いぬくそ- が、車庫の前に落ちていた。これで何度目だろう。飼い主が持って帰れば済む事なのに、なぜ自分の手を汚さなければならないのか。康夫は納得しない気持ちを押し殺して糞を片付けた。

※写真はイメージです

いぬくそを片付けなければ、クルマを車庫から出した際に踏んでしまう。踏んだ糞はタイヤハウスに飛び散りひどい臭いを放つ。

康夫の愛車は国産トップメーカーの高級セダンで、最新式のひとつ前のものだ。5年前、長く勤めた職場の定年を記念して購入したものである。その前も同じブランドのクルマだったが、リニューアル前だった。エンジンが高級車然とした直列6気筒からコンパクトに収められるV型6気筒になったが、乗り味にこだわらない康夫にとっては問題ではなかった。


代々受け継いだ赤津町の農地を好景気の時代に宅地化した。そのおかげで、地方公務員としての給料の他に不動産の副収入があった。自分の身分より良い家、良いクルマ、良い生活を享受していると康夫は思っている。いぬくそはそのバチが当たったのだろうか。

多奈崎市役所に相談したところ、担当の部署から「動物のフンの片付けを啓蒙する看板」がもらえる事がわかった。取り寄せたところ、ファンシーな絵柄でメッセージもそれほどきつくない。飼い主の反感を買うことは無さそうだ。とりあえず、ガレージの前に設置しておこう。康夫は看板を門扉に括り付けるための針金をおもむろに探し始めるのであった。

(おわり)
※多奈崎市を舞台にするにあたり、空想地図タナザキテさんからご指導いただいております。

フィアットプント その2

2020-08-25 21:30:28 | 背景はクルマ
いぬくそ看板ものがたり(最終回)

今、ぼくはフィアットプントに乗っている。乗って狭さを感じないし、荷物はそこそこ入るし、その割に小回りもきく。運転しやすいエンジン特性やワイドなギア比も自分にあっている気がする。

このクルマは母親の形見だと思っている。

母親はぼくが東京方面に移住して3年後に死んだ。胃がんを克服した後、別の場所にがんができていたのだ。亡くなる半年前まで、その事は知らなかった。母親の事を何も考えていなかった。

母が健在だった頃は、母親がいる事が普通だったので何も考えていなかったけど、いなくなってから印象が強くなる。特に印象的だった2つのエピソードがある。

ひとつは、明るい色のクルマが好きだったこと。我が家の自家用車は代々ホワイトだった。母が明るい色が好きだったからだ。一方で父親はシルバー系が好きだったため、父が母の意見をあまり聞き入れずにガンメタを選んでしまった時は少し残念そうであった。その印象が強かったため、母の死後に今のプントと出会った時に購入をすぐ決意した。明るいクルマなら母親を忘れないと思ったからだ。


もうひとつは、いぬくそ看板を最初に認めてくれたことだ。母は生前、趣味でブログを書いていた。そこで、この写真を紹介してくれたのだ。普段はぼくの愚行(街角観察)について「もっと将来の役に立つことをやりなさい」といった意見しかくれなかったが、いぬくそ看板については地元の看板の写真を撮るなど、理解をしてくれていた。

クルマも、いぬくそ看板も、母親との繋がりを感じずにはいられない。いぬくそ看板とその背景を追い続けることは、ぼくにとって母親の供養なのである。

(おわり)

フィアットプント その1

2020-08-15 18:30:00 | 背景はクルマ

■諸元
車名:フィアット・プント
駆動方式:FF
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ1.8L 130PS
変速機:5速MT
大きさ:長3820×幅1660×高1480(単位mm)
ホイールベース:2460mm
車重:1100kg

■どんなクルマ?
イタリアの大衆車メーカーが販売していたBセグメントコンパクトカー。フィアットの代名詞とも言える500やパンダの1ランク大きいクルマである。パンダや500よりも大きいため、2人以上の乗車に耐えて荷物もそれなりに積める。イタリア車でありながら使い勝手も優秀だ。

2018年8月に欧州の車体安全性テスト(ユーロNCAP)に最低点数である0点をだしてしまったために販売が継続されなくなった。


■おら東京さ行ぐだ、のはずが……
静岡で未来を描けなくなった私は、とりあえず職を探すべく東京に出ることにした。静岡から東京方面に頑張って通った甲斐があり、都内で就職先が決まった。

めでたいのだが、問題は住まいだ。当時の低所得では貯蓄などしておらず、職場近くに住むことが叶わない。都内には住めない悔しさは感じつつも、すぐに都外へ住居を求めた。

■東京近郊のいぬくそ看板との邂逅
結局職場からの距離と家賃相場のバランスを見て、住まいは千葉県松戸市に決めた。松戸なら家賃の割に都内に近い。地価が安いからクルマも持ってこれる。幸い、契約した部屋には駐車場がついており、一緒に契約できた。これで引き続き145と生活を共にできる。

とはいえ、クルマでの営業活動が無くなり、電車通勤となったのだから、クルマに乗る機会は一気に減った。まぁ、それを望んでいたからそれで良いんだけど、正直寂しかった。

クルマに乗る機会が減った一方で、徒歩移動が多くなった。寂しさはあったが、今思えば、静岡では気が付かなかった看板の奥深さにも触れることができたので、結果オーライである。

■ある別れ
ひとり暮らしを始めると考えることが多くなる。家族と喋る機会が減るわけなので、当然のことだ。その中でも考えることが多かったのが母親のことだ。

ぼくの母親は当時、がんを患っていた。胃がん、ステージ2。外科手術を受けて無事寛解に向かっていた。しかし、闘病の心労は並大抵のものではなかったようで、落ち込む事が多かったように思う。

ひとりで気楽にドライブや散歩を楽しんでいたのだが、いつも心のどこかに母親を思う気持ちがあったのかもしれない。この気持が最終的に145を手放し、今のフィアットプントに繋がっていくのである。


(つづく)