マーケットの焦点が米大統領選の行方に移行しつつあるようだ。市場関係者の一部は、足元でトランプ前大統領が優位にあり、いったんは後退した「トランプトレード」が復活するとのポジションを取り始めている。トランプ氏が勝利すれば、株高・金利高・ドル高になるとの想定でトレードする参加者が増え始めており、その影響で円安・日本株高という流れも再注目され出している。
3連休明けの15日の東京市場でも日経平均株価が4万円台に乗せ、ドル/円が149円台で推移しているのも「トランプトレード」の影響を受けた可能性が高い。このままトランプ氏優勢という市場の見方が広がれば、ドル/円が150円台に上昇し、日経平均株価が一段高になる展開も予想される。
<トランプ氏、接戦7州のうち6州でリード>
複数の市場関係者によると、米大統領選をめぐる市場の見方はここ数日で「トランプ優勢」に傾きつつあるという。
リアル・クリア・ポリティクスによると、10月14日時点での接戦7州の支持率はウィスコンシン州を除く6州でトランプ氏がハリス米副大統領をリード。7州平均でも48.3%対47.9%でトランプ氏がハリス氏をリードしている。
<トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ株が急騰>
実際、トランプ氏に対するマーケットの見方を象徴的に示すとみられている「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」の株価が足元で急上昇している。同社はトランプ氏が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営しており、同社株は9月23日には12.15ドルと最高値から80%超も急落していた。
ところが、14日には29.95ドルと安値から2.5倍近くも急騰している。複数の市場関係者は、直近の米大統領選の情勢がトランプ氏優位とみた一部の参加者が同社株を買い上げているとみている。
<NY市場で見えたトランプトレードに賭ける動き>
こうした動きを見て、マーケットでは「トランプトレード」の再浮上に賭ける動きが活発化してきている。14日のNY市場では、米債市場が休場だったものの、S&P500とダウは市場最高値を更新。主要6通貨に対するドル指数は一時103.36まで上がり、8月8日以来の高値水準を記録した。ドル/円も一時、149.96円と8月初旬以来のドル高・円安となった。
15日の東京市場では、日経平均株価が一時、約3カ月ぶりに4万円台に乗せる場面があり、304円75銭(0.77%)高の3万9910円55銭で取引を終えた。ドル/円も149円台で推移している。
<トランプ氏優勢ムード強まれば、円安・日本株高に 日本のCPI押し上げも>
米半導体大手のエヌビディアの株価が14日に過去最高値を更新し、日本の半導体関連銘柄が上昇したことに東京市場の注目が集まっているが、複数の市場関係者によると、米市場での「トランプトレード」復活をはやした動きを意識するムードが東京市場でもジワリと広がってきており、ドル/円が150円台を回復し、それが日本株をさらに押し上げる流れができるのではないか、との声が多くなっているという。
もし、今後の米大統領選の情勢がさらにトランプ氏優位に傾くようなら、円買いポジションを完全には処理していない参加者がロスカットに動き、一時的に円安のスピードが加速する展開もありえる。
当欄では何回も指摘しているが、ドル/円が150円台で推移するようなら輸入物価の上昇率が再加速し、消費者物価指数(CPI)全体を押し上げる可能性が高まる。
そうなるのかどうか、米大統領選の動向とトランプトレードの帰すうから目が離せなくなってきた。