![](http://www14.moba8.net/0.jpg?a8mat=2647AA+FJNHF6+XOS+BZ8OX&guid=on)
契約・正社員必読! 「ブラック企業」完全告発マニュアル
「サービス残業を強要される」「休暇が取れない」「パワハラ、セクハラ、マタハラ」「毎日、上司から罵倒される、暴力を振るわれる」
“ブラック企業”の要件は多岐にわたるが、一言で言えば「劣悪な労働条件の下で過重労働を従業員に強いている企業」ということになる。長引くデフレの中、主に飲食店や小売業などで増殖が目立ち、従業員が精神を患ったり、最悪の場合は自殺してしまうケースにもつながっている。
もちろん、行政側も野放しにしている訳ではない。全国に約300カ所、労働基準監督署(労基署)を設置しており、その中で約3千名の労働基準監督官がブラック企業の取り締まりを日々行っている。彼らには労働基準法等により、予告なく企業を訪れ事業場の立ち入り検査を自由に行い、帳簿・書類の提出を求めたり、経営者・労働者にヒアリングを行ったりする権限が与えられている。そして法違反を認定し、悪質な業者については社名を公表し、最終的には送検をする。
「労基署がガサ入れに来た!」というのは、まさにこのことで、昨年1年間では17万3520事業場へ立ち入り検査を行っている。
労基署が行う立ち入り検査は3種類ある。
(1)労基署側が違反行為の多い業界に属する事業場に狙いを定めて行く「定期監督」。
(2)労働者からのタレコミを元に行く「申告監督」。
(3)過去に違反が認定された企業(事業場)が是正しているかを確認する「再監督」。
いずれの監督も予告なく事業場へ立ち入る。
「労基署が違反企業を次々と摘発しているイメージが湧くと思いますが、従業員のタレコミを元に検査をする『申告監督』でさえ、違反の認定率はせいぜい70%程度です。逆に言えば、タレコミ10件のうち3件は無罪放免となっているのです」(現役の監査官)
違反認定できない一番大きな理由は、証拠がないことだという。
「経営者は労働規約に則って業務に就かせていると言い、労働者側は“口頭での指示”“無言のプレッシャー”により、不利益を被ったと主張するパターンが多い。そうなると『言った、言わない』の世界になり、違反認定するのが難しくなります。労働者側の主張の方が事実に近いと感じるのですが、証拠がないと厳しいのが現実です」(同・監査官)
当然、出退社記録(タイムカード)がなければ、労働時間を裏付けることはできない。また、「この商品が売れたら今までの残業代を払う」、「この契約が取れたら溜まっている有給を消化してもいい」といった日常の中での約束事が実行されないというタレコミがあるそうだが、口頭では何の証拠もなく動きようがない。さらに、タレコミから立ち入り検査までに下調べ等の時間を要するため、気付いた経営者がさっさと違反行為を是正するケースもあるという。代表的な例は、未払い残業代だ。