そのころ女中さんといわれた住み込みのお手伝いさんとして働いていた「たきさん」という人が自分の住み込んでいた家での戦前、戦中を思い出を書いているという設定の本。戦後もお手伝いさんとなり他の家で働いていた様子だが、ここで書かれていのは奥様を中心としたこの一家の話。昭和のはじめから戦後すぐまでの普通の人がどんな風に生活し世相を見ていたかも語られていて、なかなか興味深いです
ちょっと前まで、女中さんとかお手伝いさんという家事を手伝ってくれる人が家の中にいたということが忘れられているので、時々この思い出ノートを見ている甥の息子が色々批判的なことを言うのも解る気がする。今では、相当なお金持ちか介護が必要な人がいる場合には家政婦又は家事代行サービス?という肩書きで人を常時やとっている家もあるのだろうけれども、住み込みで働いてくれるお手伝いさんのような人はいるのだろうか
でも、2、30年位前にはまだお手伝いさんが居る家はあったし、もっと前には普通の家でも女中さんやお手伝いさんが一人はいたらしい(小説などにもよくでてくるし)。今のように家事の機械化が進んでいなかったから、人手が無いと主婦一人で家事をこなすのが大変だったというのと、女の子が働く先が限られていた時代のちょうどいい行き所だったのでしょう。奉公するという概念があったころです。需要と供給が合致していたということかもしれません。本の中にもあったけれども、一つの花嫁修業という側面もあって、良い家に奉公すれば縁談にも良いという側面もあったらしいです。
私の祖父母のところにも、ずっと長くいてくれるお手伝いさんがいて、亡くなるまで家事やお世話をしてくれて、本当に助けてもらったし、感覚的には雇用関係というよりは、ある一定のけじめのもとにある家族に近い関係だったように思います。ああいう感じのお手伝いさんを知っているのは、私の世代が最後かもしれませんね。
このような女中さんの話も興味深いのですが、これがメインテーマではなくて、メインテーマは隠された恋愛の話なのですね これが一つではなくて、複数あるように含みをもって書かれているところがなかなかうまいと思います
中島京子さんの本で昨年読んだ『女中譚』は同じ女中さんの話だったのですが、この話とはまったく違う女中像を描いています。これは 永井荷風の『小説 墨東奇談』からの発想ということらしいのですが・・・。まったく違うけれども、この時代のこの立場の人というのは、この本との関連からの発想だったのかもしれません。
中島さんの本は、最近「本屋さんにあったら買う」という私の中では結構お気に入りの作家のカテゴリーに入っているのですが、この前に読んだ『桐畑家の縁談』(集英社文庫)は、現代の女性とその家族を書いたもので、まったく違ったゆるい感じの話でした。これも結構良かったです。
『イトウの恋』『さよなら、コタツ』は以前このブログに書いていて、とても良かったのですが、『平成大家族』『冠・婚・葬・祭』もなかなか面白かったです。それぞれ視点が違っていて意外性もあり、それでいて読後感も良く、ちょっとしみじみするというところが好きなのかもしれません
『パリの女は産んでいる―“恋愛大国フランス”に子供が増えた理由』 (ポプラ文庫) の中島さおりさんはお姉さんだそうです。これも以前読んだ。おもしろいレポートでした。子育てって本当にいろいろあっていいんだなと思わせてくれる本でしたね
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