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ミケマル的 本の虫な日々

『ダンス・ダンス・ダンス』 そのあらすじ


 村上春樹再読、長編6作目。
『ダンス・ダンス・ダンス』
『羊をめぐる冒険』から続く物語ですが、その間に『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と『ノルウェイの森』を書き、その後にこの本を書いています。
『ノルウェイの森』での試みで現実世界のことを書いたことで、この『ダンス・ダンス・ダンス』では非現実と現実というテーマも描かれているように感じました。

 この本は登場人物も多いし、ストーリーがどんどん展開するし、それがそれぞれ興味を惹かれる上にこの文章ってなんかすごいこと言ってない?って感じるところが多くて、話の流れに翻弄されてどんどん進んでしまって読了してしまうって感じでした。
なんとなく納得して読み終わったけど、あれ?なんで納得したんだろう?って思った(笑)
紆余曲折を経てドルフィンホテルに戻ってきたけれど、その紆余曲折が複雑すぎて一回では整理できなかったのですね。

 1回目に読んだ時のメモを見ながら2回目を読んで、やっと整理できたように思います。
以下ネタバレ満載なのでご注意ください。

 『ダンス・ダンス・ダンス』の筋を要約してみますが、きっと長くなる(笑)
羊をめぐる冒険から4年、社会復帰は果たしたけど喪失感からか現実にコミットできないまま過ごす僕がいるかホテルの夢を見るようになる。
そして、いるかホテルでキキが呼んでいる気がするから会いにいかなくてはと思う。
特別な耳の女の子にキキという名前がこの本ではつきます。
羊をめぐる冒険の途中でいなくなってしまったキキにどうしてもまた会わねばと思うのでした。
 
 そしているかホテルに行ってみたら、全く新しいホテルに建て替わっていました。でも名前はドルフィンホテルのまま。なんで?
新しくなったホテルに泊まるのですが、ここで重要な出会いがあります。
一人目はホテルの受付のメガネの女の子
二人目は羊男
三人目は13歳の少女ユキ

 ドルフィンホテルは新しくなったけれど、エレベーターを降りると不思議な部屋に通じることがあって、そこに昔のホテルの部屋と思われるものがある。
この部屋の事を最初に教えてくれたのはホテルの受付のメガネの女の子。のちにユミヨシさんという名前を知る彼女がこの本の中で大切な登場人物になります。
そして、僕もこの部屋に行くことができて、そこで羊男に会います。
羊男は僕が来るのをここで待っていたと。
僕は大事なものを失ってきたけれどまだ失われていないものもある。
つながっている結び目が混乱しているから求められなくなっている。
その配電盤となるために羊男はここで待っていた。
これを解消するためには踊り続けなくちゃダメ。意味は考えず踊り続けるんだ!と。
踊るっていうのは前に進むって事なのかな。

 そして、偶然入った映画館で中学の同級生だった五反田くんの映画を見たら、そこにキキが出ていた!
キキを見つけた僕は五反田くんに会うべく東京に戻ります。
その時に13歳の少女ユキを一緒に連れて帰ってほしいと言われて、成り行きで一緒に帰ります。
このユキとの出会いは大きくストーリーを動かします。

 東京に帰ってから、五反田くんの話とユキの話が並行していきます。
五反田くんと会って、キキについて聞くも連絡する方法はなかったけれど、高級コールガールとしてキキと仲が良かったメイと会う。
しかし、メイは殺されてしまって、容疑者として僕は警察に勾留されてしまう。

 一方、ユキは写真家の母と小説家の父がいるのだけど、親権を持っている母アメは天才肌の人で写真に没入すると子供のことはすっかり忘れてしまうような人。
ユキはほとんど一人で暮らしているので、たまに僕が会いに行ったり食事をしたりして面白い距離感で接しているのだけど、警察に勾留された事をきっかけに父である牧村拓(この人はフルネーム)と会うことに。
ユキの世話を頼まれるが友達として付き合うって断ります。
でも、アメがハワイに行っている時に一緒に行ってほしいと頼まれてユキとハワイにいきます。
そして、ピナコラーダをやたらと飲みます(笑)
ハワイでは大方穏やかに滞在するけど、2週間くらい経った時に突然キキらしき人影を見かけて追いかけたら、白骨が6体ある部屋に辿り着く!
この6体の白骨っていうのもこの本のキーワードになってるように思います。
でも、キキは消えてしまった。。。
僕は日本に帰ってきます。

 ここまでは五反田くんとユキは僕は別々に付き合っていて、二人のストーリーはそれぞれに進行してたのだけれど、ユキが五反田くんのマセラッティに乗った時、そしてその後に五反田くんとキキの出た映画を見た時にストーリーが結びつきます。
ユキの特殊な察知能力で五反田くんがキキを殺した事を感じてしまうのです。
五反田くんには五反田くんの他人から見る現実と自分の現実のギャップの谷のようなものへの苦悩があり、それを衝動的に破壊してしまおうとする面があったわけで。
あまりに完璧な五反田くんの終わりのない苦悩のようなものはそれまでの描写で気づいていたけど。
そして、キキが五反田くんに私はあなたの影にすぎないのよと言って、抵抗もあまり感じられないというところが、そうなのか〜と少しわかるような気がしたのです。

 ここで二つの話の筋が交わった結果、五反田くんも自ら死を選んでしまう。
キキの死がはっきりする。
ここまでに、鼠、メイ、ディック・ノース(アメと一緒に住んでいた人)、キキ、五反田くんの五人が死んだことになり、後一人死なねばならないのだろうか?
白骨は6体だったから。という恐れを僕は感じる。
そして、その一人がユミヨシさんやユキちゃんでないようにと切実に願うのです。

 ユキは五反田くんの映画を見たことによって、衝撃的事実を感じてしまったけれど、その反面高校の描写で勉強したいという気持ちになり、新しい一歩を踏み出すことに。
そして、僕はやっと北海道に戻ってユミヨシさんに会いに行くことができます。
それも激しく会いたいと。
ユミヨシさんと会ってこれからホテルの近くに住んでものを書いていこうというビジョンを持てるようになります。

 いるかホテル(ドルフィンホテル)から始まった物語はドルフィンホテルで終わります。
『ダンス・ダンス・ダンス』のストーリーの流れはこんな感じです。
長くなりましたが、それでもすごくはしょっています。
読めば読むほど色々と出てくる本で困る(笑)
感想はまた書こうと思います。



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