今日の早朝、読了しました 先週の火曜日にやっと山口の本屋さんにも平積みされるようになったので(それまでは売り切れでした)、買ってきました。だいたい私は天邪鬼なので、ベストセラーになると買う気がなくなってしまうのですが、村上さんの新刊はやっぱり読みたいと思わせるのが、すごいかな。
書評は賛否両論という感じで、さまざま意見が出ているようですが、私は面白かったですよ。どこかのブログで村上さんの本には「わかる系」と「わからん系」があると書いてあったけど、思わずなるほどと思って笑ってしまいました そこからいくとこの本は「わかる系」に属していると言っていました。たしかに、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や『ねじまき鳥のクロニクル』などの「わからん系」に比べたら、とても判りやすいストーリー展開になっています。特にBook1は。
しかし、油断していると、だんだん「わからん系」の要素が出てきて、やっぱりBook2では???な所が多々出現するのでご用心。しかし、『海辺のカフカ』の???よりは、具体的はイメージがつかみやすいので、読みやすいと思います。注意深く読まないとさらに判らなくなりそうなので、結構時間がかかりましたが、読みやめることができないような類の本です。「えー、これからどーなるのよ」という思いで読み進めていかざるを得ないという感じでした。
村上さんの本は、ほとんどがこの世のダークサイドを描いているし、登場人物が村上氏の言うところの「損なわれた人」がほとんどなので、暗いです。そして、もちろんこの本もとてもダークです。私はダーク+読後感が悪い本は嫌いですが、とてもダークなのだけれども、読後感は悪くないというのが村上さんの小説の面白いところなのだと思います(あくまでも、私にとってですが)。この本の読後感は悪くありませんでした。私が『ノルウェーの森』を嫌いなのは、全編暗くて読後感も悪かったところなのだと思う。それに、「わかる系」すぎる。
読んでいる時には、物語の中で次はどうなるのと思っているだけなんだけれども、読み終わると、私がこの話の中で解らなければいけない事がもっとあったのではないだろうかと思わせるところが、村上さんの小説のすごいところなのではないかなと、この本を読んであらためて感じました。「さあ、こんな話がありますよ、あなたはここから何を感じ、なにを受け取りましたか?」と、問いかけられているような感じがします。
いままでの小説もそうだったのかもしれないけれども、この小説は1984年を実際に生きていた私にとっては、出てくる団体も仮にしてもリアルだし、途中まではとてもリアルな設定になっているので、特にそう感じるのかもしれません。それでいて、こう理解しなくてはいけませんという感じがなくて、一人一人違ってもいいのですよという感じがします。その代わり、結論は提示されていないので、自分で自分だけの結論を見つけるか、疑問符のままで保留しておくかしかないのかな。
1984年はちょうど私の人生のホボ半分の時期に当たり、未婚と既婚の境目あたりになる年なんだななどと、考えてしまいました。人生は危うくて、ちょっとした事で違う場所に行ってしまうこともあるのかもなどと、一瞬でも思わせてくれる話でもありました
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