ヘルシオちゃん買ってから、ヘルシオちゃんの事ばっかり書いてましたが、今日は本の事。
少しずつ読んていた、大佛次郎さんの猫に関するエッセイと小説集
『猫のいる日々』を読了しました。
表紙の香箱かいた猫ちゃんが最高です!
(香箱かくっていうのは、この猫ちゃんのような前足の様子を言います)
大佛次郎さんは、お名前は知っているし、『鞍馬天狗』や『赤穂浪士』で有名ですが、実はその著書を読んだことはありませんでした。
その文章に触れるのは、この本が初めてです。
当たり前なのでしょうが、流石の文章力でした。
明治生まれの作家さんなのに難しい言葉は使っていませんが、文章に格と品を感じました。
大佛さんは「私の趣味は本と猫」と言ってたそうで、その生涯で500匹以上もの猫を飼っていたそうです。
その猫に関するエッセイも多く、その中のものがこの本に集められていました。
猫に対する愛があって、その中でもユーモアもあって、こんなに沢山の猫ちゃんたちを飼っててすごいな〜〜と思ったです。
すごく溺愛しているのだけれど、溺愛している自分をきちんと客観的に描いているところが流石に大作家だなと。なので、猫への愛を押し付けられず、安心して、エッセイを楽しむ事が出来るように書いておられるように思います。やっばり凄い作家でらっしゃる!
有名なお写真をお借りしました。
猫ちゃんがお行儀よく並んでご飯食べてる写真は、すごく有名です。
肩に乗ってるシャム猫ちゃんのお話もエッセイになっています。
大佛さんの猫愛溢れる文章もいいのですが、内容も興味深いです。
大正から昭和の40年代までの時期のエッセイなので、今よりも猫を自然に飼ってるいる感じが新鮮でした。
今は猫ちゃんたちも家の中で飼いましょうという事が勧められているし、避妊去勢をするのが普通になっていますが、大佛さんのエッセイの時代は、猫ちゃんたちは自由に家と外を行き来して、雌猫は仔猫を産んで育てています。
その代わり、予防注射とか病院で治療するとかはまだ普及していなかったのかなと思います。
今では、きちんと飼いましょうって言われているので、こんなわけには行きませんし、今の方が猫ちゃんの健康にとっても繁殖のしすぎを防ぐという意味でも良いのですが、昔のような生活の方が猫ちゃんたちは幸せだったのかもしれないな、とも思いました。
大佛さんは「次の世には私は猫に生まれてくるだろう」とまで言うほどの猫好きで、その愛を余す事なく沢山の猫ちゃんを飼って可愛がって、猫好きとしては本当に幸せな方だなと思いました。
よく京都に行かれたようですが、その時もお寺にいる顔見知りの猫ちゃんにめざしを配ってあげるというのに、ちょっと笑っちゃったけれど、しみじみとしました。
本当に猫全体が好きなんだな〜〜。
この本の最初のエッセイで、猫はもはや趣味ではなく人生の伴侶である、自分が死ぬ時も猫ちゃんたちが普通にしてくれているのがきっと自分を慰めてくれるだろうと書いています。
そこの部分で、涙が出てしまいました。
私も猫好きですが、今は飼っていません。
1頭飼うだけでも、最後までお世話できるか?旅行の時にどうしよう?などなど色々と考えてしまうのが現在の猫事情ともいえます。
来世でも猫がいてほしいって書いてあったけれど、こんな風に何の憂いもなく、沢山の猫ちゃんを飼えた大佛さんは、すでに素晴らしい世界に住んでらしたのでは?と思いました。
こういうように、随分前に書かれた文章だけれど、作者の気持ちに感動したり、猫ちゃんはやっぱりいいなと思ったり、しみじみ読めるというのが本の良さだなと思った一冊です。