幡野広志さんの人生相談をまとめた本。
『なんで僕に聞くんだろう。』
私は、ツイッターからこの人生相談を時々読んでいました。
そして、幡野さんの答えがいつも凄いなと思っていたので、本になるっていうのを知って、買ってみました。
幡野さんは写真家であり、狩猟もしていた方です。
長男が誕生した次の年に自分が多発性骨髄腫になっている事がわかりました(2017年)
多発性骨髄腫は完全に治るのが難しいガンで、余命も告げられたのです。
それを公表した後に、励ましのメッセージ、治療法や宗教の勧誘のメッセージなどが寄せられるのは想定内だったけれど、なぜか人生相談が沢山来るという予想外のことになったそうです。
それが、この題名のなんで僕に?ということなんだけれど、自分の子供から聞かれたと思って真摯に回答をするようになったということです。
なのですが、幡野さんの相談への答えがすごく良い❗️
ご自分で書いているように、押し付けない、相手を頭から否定しない、という点はもちろんあるけれど、それにプラスした何かが沢山ある。
幡野さんがガンになった結果色々とお考えになったのか、それ以前からのものなのかは私にはわからないけれど、人間に対する分析力と洞察力があり、さらに客観性もある、それだけだったら持っている人はいるだろうけれど、さらに決して冷たくない。
分析だけではなく、共感だけではなく、価値観を押し付けず、でもきちんと自分の考えを述べているけれど、押し付けてはいない。
なかなかこんな事は出来ません。
そして、幡野さんはいわゆる世間の常識というものにとらわれていません。
私は特にそこが良いなと思います。
あとがきに、相談する人はすでに答えを知っているけれど、それに気がついていないか、気がついていても自信がないかなんだとあります。
その答えを探して答えているんだと。
そして、もしも自分の息子に同じようなことを相談されたら、どう答えようかと真剣に答えているそうです。
悩みのある人も、悩みのない人も、この本を読んだら、人生の見方が変わるかもしれません。
幡野さんの本はこの本の前に2冊読んでいます。
特に『僕が子供のころ、ほしかった親になる』はよかったな〜〜
幼い子供がいるのにガンと余命を宣告された親として、子供に伝えたい事を書いている本です。
その内容は多肢に渡り、その中では私は違うかなと思う事もあるけれど、幡野さんの人生から得たエキスが詰まっている。
子供への思いが詰まっている。
決して感情的にならず、悲観的にもならず、自分の価値観をはっきりと伝えようとしていて、凄い人だなと思いました。
しかし、それよりも最後の言葉にやられました。
ここまで子供に伝えたい事を書いてきたのに、最後のページの言葉は
「どんなに僕が自慢のお父さんになろうと奮闘しても、息子にはいつか僕を否定してほしい。
親も初めての人生で、初めての子育てをしていて、それで間違えないなんてありえない。
人間は死ぬまで成熟などしないし、まして35歳の僕は未成熟者なのだ。
だから、この本はひらかなくても良いんだよ。
だけど、覚えておいてほしい。
優が何を選ぼうと、お父さんはゆうの答えを受け入れて、ずっと背中を押してあげる。」
この人は本当にすごいな〜〜。
現在も治療を続けながら、写真家として、文筆家として、活動されています。
また、幡野さんの新しい本を読みたいと思います。