あの日・・・(幻)

2007-02-14 23:43:06 | Weblog
林道を下がって行くとあの空き地が見えた 車を止め濡れていた上着を脱ぐと何かが落ちた 
いつの日かポケットに入れていた飴玉だった 飴玉を口に入れるとその甘さが口の中いっぱいに広がる
雨は更に強く降り続いていた 私はそのフロントガラスを流れ落ちる水の流れを見つめていた

ふと目が覚める、寝ていたのだろうか 空き地を出てもと来た道を記憶をたどり車を走らせる

札幌の街の灯りが見えはじめる いつの間にか雨は止み空には星が輝いている

家の少し手前で車を止める 居間の窓には人影が見えた 妻だろう
どんな顔して帰ろうか、妻はどのように私を迎えてくれるのだろうか

意を決してドアを開けると妻はいつもと変わりなく笑顔で言ってくれた
 
「お帰りなさい」

食卓には食事の用意がされていた

「今、味噌汁温めるね」

温かい味噌汁を手にし口を付ける・・・


「ごめんよ・・・」

その言葉は妻には聞こえていたかは分からない

その日からは仕事も若い時持っていた仕事に対する情熱や面白さを思い出し、楽しんでやっていけてると思う
そして妻の存在が私にとっていかに大切な人なんだってことが

昨年私はあの川へとそしてまたあの岩魚に会いたくて出かけてみた
しかしまさしくあの橋と空き地なのだが奥へと続く道はなく、橋から下を見てもそこに流れていた川の流れも見当たらない

あれは幻だったのだろうか
それともあの時私は車の中でまる一日寝ていて、夢の中で川を歩き、そしてあの岩魚に出会ったのだろうか

たとえもし夢であったとしても、あの渓流そしてあの一尾の岩魚に出会えていなかったら今の私に戻れてはいなかったかもしれない・・・

あの岩魚を手にした時の冷たい感触は今でもはっきりと覚えているのだが

「渓流への想い」はあの日から私の心の中に・・・


完 iwana47


この物語はあくまでもフィクションです
でも、私の経験や渓流に対する想いも多少は書かれています
第2章は多分ないと思います 
書いている途中で私のあまりにもの文章力のなさに情けなくなりましたが、何とか完結出来ました 

もし次を・・・と言ってくれる人がいたら・・・
いやいや、やっぱり私は物書きにはむいてませんね f(#^^#;) ポリポリポリ