草木の緑がますます濃くなる季節になりました。5月の京都はお祭りが目白押しです。15日に京の三大祭の一つ、葵祭が行われました。そして19日の日曜日には平安時代の舟遊びを再現した嵐山の三船祭が行われます。
さて、仏教では5月にお釈迦様の生誕を祝って、花まつりが行われます。4月8日がお釈迦様の誕生日なのですが、4月8日の日付が旧暦のため、月遅れの5月に行われるお寺もあります。
お釈迦様は生まれてすぐ、七歩歩き、右手で天を、左手で地を指差し、「天上天下唯我独尊」と叫んだと伝えられています。
そのお釈迦様のお姿を表した、青銅製の誕生仏のクリーニングをさせて頂きました。場所は千葉県、手賀沼の近く、白井市の延命寺様です。七福神の一つ、大黒天のゆかりのある平安時代から続く名刹です。
お納めしてから35年の歳月が経ち、自然の緑青とともに積った汚れが付着しておりました。まず、ブラッシング、洗浄液にて汚れを落としました。すると、自然の緑青と本来の銅の色が発色してきました。
最後にコーティングを施し、クリーニングを終えました。汚れを落とすと、お釈迦様のお顔がはっきりし、天然の緑青が吹く、古色仕上げの誕生仏に変わりました。
快晴の天空に向かって、指差すお釈迦様のお姿は小さいながらも堂々とされていました。なぜか、そのお姿に背中を押されたように勇気づけられた、そんな気になり、京都へ帰路に着きました。