庭に沙羅双樹(さらそうじゅ)の花が咲き始めました。沙羅双樹、仏教とは深い関わりがある花です。自分の寿命を悟ったお釈迦様は「形あるものは必ずこわれ、生あるものは死ななければならない」と最後の説法をして沙羅双樹の下で涅槃に入り、現世での生涯を閉じたとされています。
庭に、沙羅双樹の花を見つけた嬉しさに任せて、会社の事務所内にて、花瓶に入れて飾りました。ところが花瓶に入れて数十分もしないうちに、散ってしまいました。
平家物語の冒頭にも
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす・・・」とあります。
鐘の声と同じように、沙羅双樹の花は、人生のはかなさや全てのものが移り変わるものであることを表わすのだなと、しみじみと感じられました。
人生は、はかない、だからこそ一瞬、一日、一年を大切に精進しよう、そう思います。
先日も四国へお寺様に梵鐘のお納めに参りました。ご住職様、檀信徒の皆様、関係者の方々がお集まりになり、大変喜んで頂きました。お納め後、ご住職様がお撞きになった鐘の音を聴かせて頂きながら感じたのは、そのお寺様にとっても、檀家の皆様にとっても、作り手である私共にとっても、その梵鐘を作るのはたった一度きりということでした。二度とないご縁に感謝して、一つ一つの鐘、銅像、銅器に心を込める大切さを改めて、感じました。
ちなみに、沙羅双樹の花言葉は「愛らしさ」だそうです。たとえ仮に生涯は短くても、いつも笑顔で愛らしい、そんな人を目指してこの夏を乗り切りたいですね。