こんばんは、安井ふみです。
ちょっと不気味だったこの8月初めにあった話をします。
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帰宅ラッシュが始まりかけた17時半ごろ。
二路線が止まる駅で乗り換えの為に一旦改札のある高架二階部分スペースに上がるのだが、次に乗る電車はいつも決まって時間が空くので、そのタイミングでそこにあるトイレでトイレタイムになる。
どこにもでもあるような、左が女性用、真ん中が多機能トイレ、右が男性用の配置のトイレ。
でその日も男性トイレ(ちなみに“安井ふみ”は五〇代独男)に入ろうとすると入口前で、70代半ばくらいだろうか、おばあちゃんが男子トイレの入り口に向かって、「〇〇〇くーん」と呼んでいるのである。
よくショッピングモールなどのトイレで若いお母さんが、小さい息子が一人男性トイレに入って心配するような正にそんな感じで。
一定の間を持ってまた「〇〇〇くーん」と呼び続けている。
この男性トイレは、一人がやっと通れる極狭な通路を挟んで小を済ませる便器が2つ、右手側にあり、
左手側には、ドアがある(当たり前)個室トイレが2つ並んでいて、入口側の個室はほんの少し広めで、奥は普通な感じの個室の、全体的に小さいがらもどこにでもあるトイレ内の配置である。
私が男性トイレに入った瞬間に、立って済ませる小用便器に誰もいないことをすぐ見てわかり、ふと左の個室トイレ側をチラ見してみるが二つのどちらもドアが開いていて…、私しかここにはない。
私が小の便器前で用を済ませていると、途中若者が右横の便器を使用するのだが、こちらの人物像を確認するかのような視線を一瞬感じた気がした。
用を済ましトイレを出ると、まだいるおばあさんは横を通る私を何やらじっとり見定めるように目で追っていた。
その後もトイレに向かって「〇〇〇くーん」と呼んでいる。
“え?
トイレにいたあの横の若者の視線は、あのおばあさんに私が呼ばれていると思われていた?”
状況的にはそれしかないだろう。
いい歳したオッサンが外から心配げに呼ばれている。
どんな奴か見るのも当然か。
私はいったんホームに降りたものの、少ししてから空になったペットボトルを捨てに(こちらの方だけか主要な大き目な駅ではゴミ捨て場はやたら捨てられないように二階にある)また上へ行ってみても、まだトイレに向かって「〇〇〇くーん」とおばあさんは呼び続けていた…。
…この世界には、私には見えないもの、私の知らない世界があるとでも言うのだろうか。
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そんなお話でした。
よく見ていた『あなたの知らない世界』、こちらもお盆季節企画なのでそのタイトルで締めくくってみましたよ。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
書いていて何だか密室もののミステリーのようにも思えてきました...。