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故人利用する鳩山氏と朝日
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【阿比留瑠比の極言御免】
政府が参院選の街頭演説中に暗殺された安倍晋三元首相の「国葬」(国 葬儀)について、9月27日に行う方向だと判明した20日、鳩山由紀夫元首 相がツイッターでこんな発信をした。
「安倍元総理が凶弾に倒れて亡くなられたことに多くの国民はショック を受けて死を悼んだ。ただそのことと国葬は訳が違う。私にはその死を最 大限利用しようとする自民党の思惑が透けて見える。彼によって自死に追 い込まれた赤木さんはどう思うのだろう」
もとより、国葬に異を唱えるのは自由だが、あまりにも異様な言い草で ある。
赤木さんとは、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の 決裁文書改竄(かいざん)をめぐり、自殺した近畿財務局元職員の赤木俊夫 氏を指すのだろう。だが、何一つ論拠を示さないまま安倍氏によって自死 に追い込まれたと断じるのは、無責任にすぎる。
安倍氏と赤木さんという故人を最大限利用し、政権を攻撃しようとして いるのは鳩山氏のほうではないか。
[「厚遇なし」明記]
そもそも赤木さんは、改竄経緯をまとめて職場に残した文書の中で、こ う明確に記している。
「現場として(森友を)厚遇した事実はない」
国有地が森友学園に忖度(そんたく)して安価で売却されたという野盗や マスコミが描いてきたストーリーを、完全に否定している。
また、赤木さんの元上司もこう証言している。
「安倍さんとかから声がかかっていたら正直、売るのをやめている」
「忖度みたいなのがあるみたいなことで(記載内容を)消すのであれば 絶対に消さない。あの人らに言われて減額するようなことは一切ない」
赤木さんが文書で、財務省理財局側が当時の佐川宣寿局長の名前を挙げ て「局長から、国会答弁を踏まえた上で、(決裁文書を)作成するよう直 接指示があった」と改竄を求めてきたことを明かしている。
その佐川氏は平成30年3月、衆参両院で行われた証人喚問で、それまで 国会で改竄前文書とは食い違う答弁をしていた理由をこう釈明している。
「レクチャーを受ける時間もほとんどなく、原課で作った答弁資料を入 れてもらい、順次読み込んでいるという状況だった」
「ほとんど全員の質問者が森友の質問をされるケースもあった(答弁準備 が)事実上間に合わないケースもあった」
野党の国会追及や資料請求、ヒアリング要請に忙殺されていい加減な答 弁をしてしまい、それをごまかすために改竄を指示したというのは明白だ ろう。
鳩山氏はこうした公開情報は無視し、安倍氏が赤木さんを自死させたと いうのだから、重大な人権侵害であり名誉棄損(きそん)だといえる。
[同じ事書き続け]
安倍氏の国葬をめぐっては、鳩山氏に呼応するように20日の朝日新聞の 社説「『国葬』に疑問と懸念」がこう記していた。
「森友・加計・桜を見る会をめぐっては、長期政権の弊害が明らかで、そ れは今も解明されていない」
理解する気も解明する気もないから、ずっと同じことを書き続けている のだろう。社説はまた、唐突にこう締めくくる。
「自由な論評を許さぬ風潮が生まれれば、それこそ民主主義の危機である」
16日付の「朝日川柳」が安倍氏国葬について、「忖度はどこまで続くあ の世まで」などと揶揄(やゆ)する不謹慎な7句を載せ、批判を浴びたこと への開き直りのメッセージではないか。自由にそう論評しておく。