わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6455号
頂門の一針 6455号
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対話型AIの影響受ける職業
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高橋洋一
【日本の解き方】 国会質疑もかなり対応可能か 知識切り売りは大変な時代に
IT各社が「対話型AI(人工知能)」に力を入れている。将来どのようなことに使われる可能性があるか。政策の決定にも活用されることはあるだろうか。
対話型AIは大ざっぱに言えば、質問に対する答えをインターネット上から探してくれるものだ。これまでは検索で用語を書き込むと、それに関連したネット上の情報の一覧が出てくる。それをどのように取捨選択し、どの部分をコピー・アンド・ペーストするかは検索者の判断に委ねられ、回答文の作成も検索者がやっていた。しかし、対話型AIではその部分を人ではなくAIが行い、しかも回答文にするまでをやってくれる。
筆者は、ネット上で番組を持っていて、その中で視聴者からの質問を受け付けている。従来は、スタッフが視聴者の質問をコピペして筆者に渡してくれた。正直いって、質問になっていない文の場合も多く、視聴者の意図を読み取りかねることがしばしばだった。そこで、今では視聴者の質問をコピペしたものを対話型AIにかけるようにしている。そうすると、対話型AIは質問になっていないものを的確に指摘してくれる。さらに、質問になっている場合、ネット上での情報を網羅的に検索してくれるので、その範囲であれば、無難な回答をすることもできる。
もちろん、筆者はネット上に転がっている無難な回答では面白くないので、それに付加価値をつけるようにしている。ネット上の情報としてウィキペディアがあるが、「本当の専門家かどうかはウィキペディアの間違いを指摘できるかどうかだ」とすら言われているので、ここでは差別化できるチャンスとも考えている。
筆者のネット上の番組を書籍化している人もいるのだが、単に筆者の話をコピペしているだけだ。その後のデータのアップデートはできないので、今後は対話型AIを活用して、文字起こしや書籍化を考えてみようと思う。
筆者の身近な例でも予想されるが、対話型AIが発展すると影響を受けやすい職業は定型的な対応をするもの、とりわけ教師だろう。
米プリンストン大学の研究チームは、影響を受ける職業ベスト20を発表している。それによれば、電話勧誘業者、英語と英文学の教師、外国語と外国文学の教師、歴史の教師、法律の教師、哲学と宗教の教師、社会学の教師、政治学の教師、刑事司法と法執行機関の教師、社会学者、ソーシャルワークの教師、心理学の教師、コミュニケーションの教師、政治学者、文化研究の教師、仲裁人・調停者、裁判官、地理の教師、図書館学の教師、臨床心理医・カウンセリング・学校心理学者だ。
日本の国会質疑なども過去の質問と回答で、かなりの程度、対話型AIで対応できるのではないか。便利な時代になったが、知識のみの切り売りの人には大変な時代だろう。
対話型AIの影響受ける職業
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高橋洋一
【日本の解き方】 国会質疑もかなり対応可能か 知識切り売りは大変な時代に
IT各社が「対話型AI(人工知能)」に力を入れている。将来どのようなことに使われる可能性があるか。政策の決定にも活用されることはあるだろうか。
対話型AIは大ざっぱに言えば、質問に対する答えをインターネット上から探してくれるものだ。これまでは検索で用語を書き込むと、それに関連したネット上の情報の一覧が出てくる。それをどのように取捨選択し、どの部分をコピー・アンド・ペーストするかは検索者の判断に委ねられ、回答文の作成も検索者がやっていた。しかし、対話型AIではその部分を人ではなくAIが行い、しかも回答文にするまでをやってくれる。
筆者は、ネット上で番組を持っていて、その中で視聴者からの質問を受け付けている。従来は、スタッフが視聴者の質問をコピペして筆者に渡してくれた。正直いって、質問になっていない文の場合も多く、視聴者の意図を読み取りかねることがしばしばだった。そこで、今では視聴者の質問をコピペしたものを対話型AIにかけるようにしている。そうすると、対話型AIは質問になっていないものを的確に指摘してくれる。さらに、質問になっている場合、ネット上での情報を網羅的に検索してくれるので、その範囲であれば、無難な回答をすることもできる。
もちろん、筆者はネット上に転がっている無難な回答では面白くないので、それに付加価値をつけるようにしている。ネット上の情報としてウィキペディアがあるが、「本当の専門家かどうかはウィキペディアの間違いを指摘できるかどうかだ」とすら言われているので、ここでは差別化できるチャンスとも考えている。
筆者のネット上の番組を書籍化している人もいるのだが、単に筆者の話をコピペしているだけだ。その後のデータのアップデートはできないので、今後は対話型AIを活用して、文字起こしや書籍化を考えてみようと思う。
筆者の身近な例でも予想されるが、対話型AIが発展すると影響を受けやすい職業は定型的な対応をするもの、とりわけ教師だろう。
米プリンストン大学の研究チームは、影響を受ける職業ベスト20を発表している。それによれば、電話勧誘業者、英語と英文学の教師、外国語と外国文学の教師、歴史の教師、法律の教師、哲学と宗教の教師、社会学の教師、政治学の教師、刑事司法と法執行機関の教師、社会学者、ソーシャルワークの教師、心理学の教師、コミュニケーションの教師、政治学者、文化研究の教師、仲裁人・調停者、裁判官、地理の教師、図書館学の教師、臨床心理医・カウンセリング・学校心理学者だ。
日本の国会質疑なども過去の質問と回答で、かなりの程度、対話型AIで対応できるのではないか。便利な時代になったが、知識のみの切り売りの人には大変な時代だろう。