みなさんこんにちは、平野です。これまでの記事で「安全で権利の守られた出稼ぎの実現」のための実効的な支援について書き、その中で出稼ぎ者へのさまざまな情報提供の重要性にも触れました。偶然にも、現地の英字新聞にまさしく出稼ぎ者への情報提供についての記事が出ましたので、今回はそれをお届けします。前々回書かせていただいたように、必要な情報は多岐にわたり、政府機能が向上されないとそれらを全て網羅することは困難と思われますが、現地のNGOができる範囲のことを行ってそれが成果を挙げているようです。
8月15日付The Cambodia Daily, “Increase is Seen in Malaysia Trafficking Cases” by Kuch Naren and Adam Piore翻訳/要約平野。文中に登場する2団体はともにNGO。
カンボジア人の人身売買被害者が送られる先としては、タイとベトナムが依然として圧倒的だが、マレーシアのケースも増えてきている。Cambodia Women’s Crisis Centerの事務局長は教育不足にも原因があるとしている。「マレーシアについての情報の不足と首謀者への処罰の甘さが人身売買の主な理由だと思います」と彼女は言う。
フン・ソアンの場合、まさしく情報の不足が問題だった。31歳の彼女によると、リクルーターに年収1125ドルを約束されてマレーシアに行き家事使用人として働いたが、雇い主はわずかな食事で彼女を朝4時から夜7時まで働かせ、やめたいと言うとひどい暴力をふるったという。隣人が警察を呼び斡旋会社に他の家を斡旋されたがそこでも同じような仕打ちを受け、カンボジアに帰りたいなら1000ドル払えと会社に言われた。父親がCWCCに訴えて彼女は送り返された。「カンボジアでの農作業は大変ですが、食べ物も寝る時間も充分にあるのでずっといいです」と彼女は言う。CARAM Cambodiaの事務局長、ナブット・ヤによると、多くの斡旋業者は3年契約の1年分の給料を旅費や研修代等の経費として差し引く。「パスポートなどは没収され、搾取的な契約を結ばされます。多くの場合、働かないのなら警察を呼ぶと言われ、彼女たちはどうしていいのかわからないのです」と彼は言う。
しかしながら、マレーシアの斡旋業者は合法的に運営されているので、労働者の保護は不可能ではないと彼は言う。CARAM Cambodiaは、多くの研修期間中のカンボジア人労働者に接触し、IDカードや労働者の権利、そして基本的な英語を教えてきた。そして先月、60人のカンボジア人家事使用人が労働条件に抗議してストライキを実施し、CARAM Cambodiaが交渉をし、彼女たちは仕事に戻った。しかしながら、性的人身売買の場合、状況は悲惨である。22歳のニン・ソピアップはタイでのウェイトレスの仕事を約束されたが、実際はマレーシアに送られた。人身売買業者に家に帰すよう頼むとジャングルに捨てて動物の餌にすると脅され、買春宿のオーナーには、一晩に3人の客を取らなければ殴る、と脅された。なんとか逃げ出してきた彼女は二度と国を離れるつもりはない。「彼らは私を動物のように扱いました」と彼女は言っている。
※写真は東南アジアの地図で、色が付いたところがマレーシアです。出典:外務省ホームページ
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