カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告第2弾<農業用井戸のインパクト>

2005年09月18日 20時38分13秒 | 人身売買防止プロジェクト(収入向上)
みなさんこんにちは、平野です。前回に引き続き、国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡への第2回現地出張(9月5日~8日)の報告を行います。
今日はSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)や人身売買、ドメスティック・バイオレンスの話からちょっと離れて、前回ご紹介した村人の声にも頻繁に出てきた「農業用井戸」についてお話したいと思います。

【田植えの時期にすでにお米が!】

前回の出張時(8月の9日~12日)のことですが、あるお宅にお邪魔すると、これから田植えというこの時期に、なんと既にお米がたくさん!驚いて家の方に聞くと、一年に3回から4回収穫しているとのこと。ということは、乾季米を作っているということ。つまり乾季にも水があるということです。これは、前回触れた以前HCCが提供した農業用井戸の活躍によるもの。

「以前は年に一回の収穫だって、満足に取れたり取れなかったりだったんだ」と力説する村の人々の様子からも、農業用井戸がいかに人々の生活を向上させたか、ヒシヒシと伝わってくるものがありました。干ばつと洪水の両方に悩まされるカンボジアの農民にとって、「水を管理する」ことは常に大きなテーマなのです。

【原油高の影響はカンボジアの農村にも】

この農業用井戸、写真をクリックして大きくしていただくと分かるのですが、見た目は井戸という感じがしません。地中深くにまで埋められた塩化ビニール管にホースを接続し、その先にある動力?ポンプで水を汲み上げ、また放水するのです。HCCスタッフのベルトのあたりに、戦車の大砲のように突き出ているのが放水する管ですね。

HCCがこの農業用井戸を提供したとき(3年前)は、井戸を掘るのに50ドル程度、ポンプが300ドル程度だったということですが、今は値上がりしているとも聞きます。いずれにしてもこれは大金です。そして、農業用井戸が寄贈されたとしても、その後このポンプを動かすのに必要なガソリン代は使う人持ち。昨今の原油高は、カンボジアの農村の人々の頭も悩ませているのです。ちなみに今日通ったガソリンスタンドでは1リットル=3800リエル、日本円で約100円ですので、日本が130円台突破とはいえ、両国の物価の違いを考えるとガソリンがいかに高いかわかります

とはいえ、田植えの時期に目にした大量の収穫済みの米の衝撃、そして農業用井戸の説明をする村人の表情の輝きは、農業用井戸が村にもたらしている恵みが、原油高による負担増を補って余りあるものであることを感じさせました

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