Minuma Factory

趣味のひとつ、電子工作、アマチュア無線を中心を紹介する自己満足ブログです。

KENWOOD スタンドマイクMC-60 改良

2018-05-20 17:01:53 | 修理・レストア
やっぱりSSBにはコンデンサマイクよりもダイナミックマイク という拘りで、未だに所有しているMC-60ですが、劣化が進んできました。

LOCKスイッチを押してもスイッチの接触不良で送信にならなかったりと、相手局にも迷惑がかかるのでレストア? 改良してみました。
ついでに、送信中でも周波数UP/DOWNスイッチを押すと周波数が動かないように改良です。


まずは元の状態を確認



裏ぶたをあけて出てきたものは基板1枚 パターンもかなりシンプル
もちろん、外します。



スイッチが5個 全てメカニカルなので、劣化すると操作フィーリングに直結です。
周波数UP/DOWNのスイッチは前オーナー(中古で買いました)が交換したようですが、スイッチノブの高さを合わせるためか、基板から浮いています。


基板ごと交換できるよう、回路と基板の設計です。
まず、機能としては

1.PTTはトランジスタでドライブする。(スイッチでの直結はしない)
  これはスイッチ劣化時のバタつき防止
2.LOCKはスイッチによるメカニカルロックでなく、マイコンでの制御とする。
  当然ですが? 無変調防止回路を入れ、タイマーで3分後に強制的に送信停止となります。
3.送信中は周波数UP/DOWNスイッチを無効にする。
4.送信中はインジケータを点灯させる。
5.LOCKでの送信時は1分毎にブザーを鳴らし、タイマーによる送信停止直前にもブザーを鳴らす。


できあがった基板です。
↓表面



↓裏面


ジャンパ飛ばしてます・・・  回路ミスではないのですが、MIC信号とMIC-GNDが離れてパターンを作ってしまったためです。(離れていても支障はないですが)

PTTとLOCKスイッチは2個ずつ使っています。 理由は
①マイク外側のスイッチノブが長く、1個では端を押した時に反応しない。
 →LOCKスイッチは1個でも問題ないのですが、押す力のバランスを取るためです。
②万が一スイッチが劣化した時に、ORで取っておけば多少は延命が可能(かな?)


マイク本体へのネジ穴はオリジナルと完全に合わせているのでそのままリプレースです。
(私が入手したもの は ですが・・・)




使用感としは、送信スイッチが重い(2個使いなので仕方なし)ことと、ブザー音が小さいことでしょうか。
ブザー音は5V駆動なので仕方なしですね。 ただ、QSO中に鳴った場合に大きいと相手局に良く聞こえてしまうでしょうから、小さいくらいでちょうどいいかもしれません。



またまた自己満足の世界です。

FT-1000MP修理

2018-05-06 20:25:36 | 修理・レストア
久しぶりの更新です。

自作ネタではなく、無線機の修理ネタです。
同じような症状をお持ちの方の参考になれば と思い、アップします。


ヤフオクで買ったFT-1000MPですが、運用していると急に送信できなくなることがあり、「しまった~ やはり中古は危険だったか・・・」と凹んでいました。

症状は次のとおり。
1.7MHz帯で途中まで交信していたものの、突然送信ができなくなる。
  (マイクを握っても無線機本体の出力計もSWR計も動かない。 外付けも同じ)
2.モードを変えても症状は一緒。
3.モニタースイッチをONにすると、自分の声は聞こえる。
4.他のバンドに切り替えるともとに戻る。
5.再度7MHz帯に戻すと、やはり送信できない。
6.しばらく(30秒ほど)すると戻り、送信できるようになる。

という内容でしたので、送信の制御系では? と疑い、20年前の無線機で修理受付
は終わったと知りつつ、望みをかけてメーカーに問い合わせをしました。
答は案の定、「もう20年前の無線機ですし・・・」←なかなか「修理受付は終わりました」
とは言わない。

その後も症状が再発し、さらに詳しく観察すると、
6.無線機本体のメーターをIC(コレクタ電流)はそれなりに振れている。
7.症状が出るとき、終わるときに、小さなリレー音がする。

というのがわかり、回路図から追っかけた結果、PA後のLPFのリレーが作動しなく
なり、GNDに落ちているのでは? との予測をつけました。(その後に出力計、SWR計
の検出部なので、出力計も動かないのは当然)

改めてメールでメーカーに上記症状を伝えたところ、予想はあたっているのでは?
との回答。 過去に経時劣化でハンダ不良が発生した実績ありとのこと。


で、やりました。


まずは、LPFユニットを取り出します。 電線が数か所から出ている関係で、一度に引っ張れないのが辛いところ・・・



リレーがたくさん見えるのが、LPFユニット


裏返して見てみると・・・  ありました!

ちょうど、ツールのさきっちょ辺りです。

マイクロスコープで見てみると・・・

すごいですね~ ここまでハッキリと! というか、撮影用にちょっと力をかけてみました。でも、肉眼でも「これは・・・」といった感じです。


ただ、回路図も不親切に(?)、どのリレーが7MHz帯なのか書いておらず、コイルのまき方から想像すると、この部分は3.5Mhz帯? だとすると、隣か? と思ってみると、ほぼ全てのバンドにおいて、ハンダ外れが確認できました。(ハンダ全体が均一の色でなく、径の中間ほどで、1周、黒い円が見られる。←クラックが入った場所が黒く見えるのでしょう)

ということで、全てハンダを追加し、また吸い取り線で吸い取り、改めてハンダを入れました。
リレーのリード線にハンダごてを付けると、リード線のハンダは溶けるものの、ランドのハンダは固まったまま。 明らかにクラックが入っていたということです。 とてもわかりやすい。

ちなみに、ランドのホール径とリレーのリード線径がどうみてもあっていない様子。 このリレー、改良か何かで初期型と変更になっているようで、基板の穴はそのままとなって、最終的にアンマッチとなったのかと勝手に想像しています。(リレー自体は密閉型で信頼性は上がった)


元に戻して何時間か使ってみましたが、大丈夫なようです。

他のリレーも同じような状態だったので、遅かれ早かれ同じような症状になっていたかもしれません。

安く修理ができてよかったです。 そして、PAが飛ばなくてよかったです。 何しろGNDとショートさせたまま100W出していたのですから。(パワー検出部まで信号が行っていないので、制御がかからない)
出費は念のために買った中古の回路図、コンデンサのショートモード故障(あるとは思えんが)を疑って買った積層セラミックコンデンサ、スイッチングトランジスタ故障を疑って買ったトランジスタ、合計約2000円でした。 結局、部品交換はしませんでした。


以上、同じような症状の方はご参考まで。