俳画人 璃山 懐古園.com
2月26日・・・ムスカリ「通じ合う心」
今日生まれの俳人
河東碧梧桐の俳句
から松は淋しき木なり赤蜻蛉
この道の富士になりゆく芒かな
ちさい子の走りてあがる凧
ひたひたと春の潮打つ鳥居かな
ひやひやと積木が上に海見ゆる
ミモーザを活けて一日留守にしたベッドの白く
闇中に山ぞ峙つ鵜川かな
鞍とれば寒き姿や馬の尻
曳かれる牛が辻でずつと見廻した秋空だ
蝦夷に渡る蝦夷山もまた焼くる夜に
我善坊に車引き入れふる霰
空をはさむ蟹死にをるや雲の峰
月前に高き煙や市の空
軒落ちて雪窮巷を塞ぎけり
三日月やこの頃萩の咲きこぼれ
子規庵のユスラの実お前達も貰うて来た
思はずもヒヨコ生れぬ冬薔薇
出羽人も知らぬ山見ゆ今朝の冬
春寒し水田の上の根なし雲
春浅き水を渉るや鷺一つ
初日さす朱雀道りの静さよ
赤い椿白い椿と落ちにけり
川上の水静かなる花野かな
相撲乗せし便船のなど時化となり
谷深うまこと一人や漆掻
鳥渡り明日はと望む山夏野
鳥渡る博物館の林かな
天領の境にさくや桐の花
桃咲くや湖水のへりの十箇村
灯あかあかと会すれば千鳥鳴くといふ
馬方の喧嘩も果てて蚊遣かな
白足袋にいとうすき紺のゆかりかな
不忍や水鳥の夢夜の三味
豊かなる年の落穂を祝ひけり
木枯や谷中の道を塔の下
門跡に我も端居や大文字
流れたる花屋の水の氷りけり
旅にして昼餉の酒や桃の花
露深し胸毛の濡るる朝の鹿
螽飛ぶ草に蟷螂じつとして
現代俳句協会より転載