Iwaoのタルムード 事実は小説より奇なり

日々の体験の中に真実を学ぶ すべてノンフィクションです

 

SCM 実話 桜庭支配人の現場一直線 第六話

2020-06-30 13:01:45 | SCM ノンフィクション劇場
桜庭支配人の現場一直線 第六話


<登場人物>

桜庭支配人~ このシリーズの主人公。
株式会社アジア開発 入社2年目の新人にして現場の支配人の辞令を受けた。
35歳 結婚式場の責任者の経験はまったく無く、営業の経験も無い。ないない尽くしで自信もないまま 指導を受けて独り立ち上がる。
河野俊一~ 隣町の結婚式場の支配人。同じアジア開発の社員で、やはり支配人として人材派遣された。桜庭より1年早く入社して現場に配属されいた。30歳。
後藤部長~ハートロード結婚式場の営業部長。営業部10年目。現場のたたき上げで
     規則を守ることに厳しい。現場の鬼と呼ばれている。32歳
石原とよ~ バンケットマネージャー。ハートロード結婚式場の創立メンバーで、地元の顧客には顔きき役。親分肌で面倒見もよく、影のボスといわれている。52歳。
白石庄平~地元の生命保険のトレーナーで引退後も後輩の面倒を見ながら研修会に参加している中で桜庭と出会う。72歳。

大林友子~ハートロード結婚式場の専務婦人。フロント予約課課長。
内田悟~ハートロード結婚式場営業部課長代理。
柏崎理恵~ハートロード営業課長で最古株社員。営業の実力ナンバーワン。
小森友和~ハートロード結婚式場営業部主任。






・立ちはだかる心の壁

桜庭はバンケットの婦人たちに しばらくバンケットの仕事を手伝いながら
どんな苦労があるのか体験することを約束し、次の日からは 午前中だけ営業に出て
午後からはバンケットと厨房でその日の宴会や結婚式の準備を手伝い、宴会のサービスも一緒にやった。

昼ごはんは厨房で作り、営業マンも昼食時には帰ってきて厨房で15名ほどの社員が
一緒に食事をしていたが、その食事当番も買って出た。
おのずと午前中もだんだん営業に行く時間が無くなり、掃除やメンテナンスまで一緒にやっているうちに、ほとんど一日中 式場の中で仕事をするようになってしまった。



1ヶ月ほどこんな状態が続く中、厨房の調理長や男性スタッフとは徐々に心が通じてきて何でも言い合えるようになってきたが、バンケットのベテラン女性社員とは、なかなか打ち解けることが出来なかった。

桜庭支配人が2階の宴会場の横にあるスタッフ控え室に顔を出し、ビンを拭いたり掃除を始めると、いつの間にかみんな別の部屋に行ってしまっていたりした。

「バンケットのベテラン婦人社員たちと 心の壁をなくするには 何かいい手立てはありませんか。」
たまらずに 有島副社長に正直に気持ちを訴えた。



「今度 地元の農協とか病院なんかの宴会はいつあるんだ?」
「明後日 日本生命の営業マンたちの研修と宴会が一件、農協の定期総会と宴会が一件入っていますが、、」
「その時 お前が宴会に入ってお酌しながら 名刺を配って挨拶しなさい。さらに バンケットの責任者の石原マネージャーを呼んできて 紹介し、出来たらお酒も少し一緒に飲んでもらいなさい。後日 石原マネージャーと一緒にこの宴会の責任者のところに挨拶訪問に行きなさい。」
「お酒を飲んだら 車でかえるのに危ないと思いますが、、、」
「お前は飲まずに 石原マネージャーを家まで送ってあげなさい。」
「朝は、、、、」
「迎えに行ったら」
「、、、嫌がられると思いますけれど、、」
「嫌がれるんではなく お前がいやなだけだろ。お前が嫌っている限り向こうもお前を嫌い続けるぞ。」
(こ、これも因われにありなのか、、参ったな)
それでも この現状にほとほと困っていた桜庭支配人は 再度腹を決めてその通りにすることにした。









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SCM 実話 桜庭支配人の現場一直線 第五話

2020-06-30 12:59:08 | SCM ノンフィクション劇場
桜庭支配人の現場一直線 第五話




・「ケンタッキーフライド事件」勃発

ところが、2週間ほど過ぎた頃だった。一つの問題が起きた。
これは、その後「ケンタッキーフライド事件」と営業マンたちのあいだで言い伝えられるようになった事件である。

 毎日 夜10時くらいに玄関を閉めようとすると、フロントで予約課長をしていた年配の女性職員である大林友子が、最後までその日の申込書等の整理をしているので、本当に大変だ、頑張っているな、と思っていた。






 この日も 夜遅くまで営業をやって帰るときになり、ふと遅くまで頑張っているこの社員のことを思い出して帰り道にたまたま明かり点いていたケンタッキーフライドチキンで軽食にチキンを5ピースほど包んでもらった。

そして大林課長に持たせて帰らせた。
「いつも遅くまでありがとうございます。家で待っているご家族と一緒に食べてください」
桜庭はいい事をしたと思った。社員を激励したのだ。気分よくその日は帰途についた。

ところが 翌日 社内の雰囲気が朝からおかしかった。
年配の女性たちが朝礼に出てこないのだ。いるのだけれど、2階に引きこもって掃除をしているだけで 下に下りてこなかった。
後藤部長も朝から黙っていた。朝礼は簡単に終わって その後桜庭は厨房に呼び出され、年配の女性職員たちにいきなり囲まれた。



「支配人、貴方は私たちをどういう存在だと思っているんですか?」
「え?、、、、、、、」
「バンケットの仕事をこの年になって毎日やって行くって大変なんですよ。」
「フロントの仕事が、バンケットの仕事より大切だというんですか?」
「私たちが、どれだけ会社のために犠牲になって支えてきたのか分かっているんですか?」

いったい何が起こったのか、はじめは桜庭にはまったく理解が出来なかった。
いろいろ聞いてゆくうちに、どうやら昨日 大林課長に買ってあげたフライドチキンが問題の発端になっているらしかった。



「私たちにもフライドチキンがほしかった、ということですか?」
桜庭は、此処でさらに言ってはいけないフレーズをはいてしまい、火に油を注ぐこととなった。
此処での議論は午前中いっぱい続き、桜庭はとうとうこの日営業活動に出ることが出来なかった。それでも、延々と婦人たちの愚痴や不満を聞いているうちに、あることに気がついた。
此処で働いている婦人たちは、家で何らかの人には言えない事情を抱えていて、ある面、仕方なく働きに来ている、そして此処できつい仕事が終わってくたくたになって家に戻っても、そこで又家事や夫のお世話が続くというのだ。精一杯を通り越してぎりぎりの人生を送っている人たちだった。

桜庭がフライドチキンをプレゼントした婦人は此処の会社の専務の奥様で、他の年配の婦人たちからすると、セレブ階級なのだ。
だから桜庭は悪気無く善意でフライドチキンをあげたのだが、他の女性社員にとっては 自分たちを差別し、えこひいきし、苦労と汗と誠意を裏切りつばを吐きかけたことに等しい行為だったのだ。
だから彼女たちの怒りが止まなかったのだ。

その日の昼間に久しぶりに桜庭は有島副社長に電話を入れた。
「すいません。大変な失敗をしてしまいました。」
「良かったな、早めに気がついて。」
「え、、、、、、」
「頭でっかちがそんなすぐに直ったら、哲学の偉大さが分からないだろう。
 この人は本当に自分たちのことをわかってくれる人なのだろうか、
 自分たちの味方なのか、単に会社の命令で自分の役割を果たす為にだけに来た人なのか、
 見られているんだよ。」

現場に入る意味も、営業に行ってお客様と会う意味も、同じだと指導を受け、
目から何か又剥がれ落ちた思いだった。
この事件を期に、聞くという作業に心が入りだした桜庭支配人は徐々にやる気と元気を取り戻していった。


#EMM(essentiai mind management)




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SCM実話 桜庭支配人の現場一直線 第四話

2020-06-16 11:13:40 | SCM ノンフィクション劇場
 桜庭支配人の現場一直線 第四話



<登場人物>

桜庭支配人~ このシリーズの主人公。
株式会社アジア開発 入社2年目の新人にして現場の支配人の辞令を受けた。
35歳 結婚式場の責任者の経験はまったく無く、営業の経験も無い。ないない尽くしで自信もないまま 指導を受けて独り立ち上がる。
河野俊一~ 隣町の結婚式場の支配人。同じアジア開発の社員で、やはり支配人として人材派遣された。桜庭より1年早く入社して現場に配属されいた。30歳。
後藤部長~ハートロード結婚式場の営業部長。営業部10年目。現場のたたき上げで
     規則を守ることに厳しい。現場の鬼と呼ばれている。32歳
石原とよ~ バンケットマネージャー。ハートロード結婚式場の創立メンバーで、地元の顧客には顔きき役。親分肌で面倒見もよく、影のボスといわれている。52歳。
白石庄平~地元の生命保険のトレーナーで引退後も後輩の面倒を見ながら研修会に参加している中で桜庭と出会う。72歳。

大林友子~ハートロード結婚式場の専務婦人。フロント予約課課長。
内田悟~ハートロード結婚式場営業部課長代理。
柏崎理恵~ハートロード営業課長で最古株社員。営業の実力ナンバーワン。
小森友和~ハートロード結婚式場営業部主任。



後藤部長の仕切る営業部室で4名の営業マンと共に営業ミーティングが始まった。
桜庭も此処では一営業マンとして営業実績に責任を持つ立場になっていた。

しかも 営業マンとしての経歴は、お手伝い程度にかじった経験が2年ほどあるだけだった。ここでは10年近く営業一筋で経営を支えてきたベテラン営業マンが終結しており、
営業ミーティングでのやり取りに桜庭はまったく入ってゆくことも出来ず、ただ傍観してた。



「支配人は今月何件が目標ですか」
いきなり後藤部長からの質問にわれに返った桜庭は、返す言葉も無く、「何件って、、、、」
「獲得する自信が無いので、後藤部長の同行でしばらく一緒に回っていいですか?」
後藤部長はしばらく黙っていたが、
「分かりました、私だけというのではなく、4名に毎日別々に巡回して同行してもらいましょう。」
営業部は後藤部長を筆頭に女性営業マンだが常に営業実績ナンバーワンを保ち続ける柏崎課長、それから内田課長代理、小森主任と、実力派の営業マンがそろっていた。




こうして、おんぶに抱っこで、厄介者となったような気がした支配人は、面子も無くなったと嘆く暇も無く、心の中ではしきりに昨日の有島副社長の指導を思い起こしていた。
「飛び込め、考えている暇があったら、現場で一緒に汗を流して 現場の声を聞き続けるんだ。」

その日から昼間は営業同行に出て、お昼ごはんは社員と一緒に社員食堂で食べ、夕方の宴会のセッティングをバンケットのおばさんたちと協力して進め、その後又営業に出発した。
 それからは 仕事のスケジュールに追われる毎日が始まった。



 とにかく、現場で一緒に汗を流しなさい、という副社長の言葉が耳の奥に残っていて
頭でっかちの自分を捨てて、現場に徹しようと決めたのだった。
 夜は 宴会が終わる8時半頃に戻ってきて後片付けを手伝い、夜10時くらいに営業部室に戻ってきて自分の明日の日報を書くとともに 営業部員たちの帰りを待って報告を受け
最後に式場の全社員が帰るのを待って鍵をかけて帰宅した。
自宅に到着すると、大体夜の11時くらいになっていた。

 こんなスケジュール闘争のような毎日を無理やり過ごしながら、桜庭は、これだけ社員の仕事を手伝いながら一生懸命やっていれば、社員の反応もほぐれて 仕事もやりやすくなってゆくだろう、と勝手な期待をこめて日々を過ごしていた。



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銀座の知る人ぞ知る定食屋  レトロ

2020-06-15 12:35:47 | グルメ



銀座のブランドショップが立ち並ぶメインストリート






その近代的な街とはかけ離れたレトロな定食屋があって大繁盛しているという

お昼少し前の11時半 すでに店内は満席状態

とにかくうまい 量も素晴らしい





ベテランのおばちゃんたちのてきぱきしたサービスにも感動する

この銀座で何十年もはやり続けているには訳がある

商売の原点に立ち返る事の出来た瞬間でした
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SCM実話 桜庭支配人の現場一直線 第三話

2020-06-15 12:29:02 | SCM ノンフィクション劇場
桜庭支配人の現場一直線 第三話



・背水の陣~ サイは投げられた
   
 桜庭も緊張していたが、迎えるベテラン社員たちも同じように緊張していた。
中でもまだ32歳くらいの若い後藤営業部長は 朝から玄関前を掃除したり ロビーの椅子の位置を動かしたりと 明らかに他の社員たちに動くことを催促しているかのような無言の圧力をかけながら、黙々と朝礼の準備をしていた。




普段は8時15分から掃除をして朝礼は8時半と聞いていたのだが、この日は8時くらいから掃除が始まり、まるで大晦日の大掃除のように全社員が繰り出して建物の隅々まで清掃作業をし、8時30分になるや、まるで軍隊のようにピシッと整列して、朝礼が始まった。

後藤部長の司会で、ぴりぴりとした雰囲気のなか、全社員の一人ひとりの紹介があった。
支配人から一言挨拶を、と催促されて 一歩前に出て桜庭は、準備していた一言を機械的に話そうと思った。





「おはようございます。ただいまご紹介いただいた桜庭です。、、、、、、、、」
と言葉を続けようとしたが、社員の顔を見ながら目と目を一人ひとり合わせてゆくと、そこには歓迎しているものの雰囲気は少しも感じられなかった。

準備していた言葉は完全に吹き飛んでしまい、しばらく沈黙が続いたあと、昨日有島副社長に「教えようと思うな」といわれたことがふと浮かんできた。
「皆さん、実は 私は支配人も初めてですし、現場の経験も2年ほどで皆さんの経験にはとてもかないません。気がついたことがあったら、遠慮なくどんどん言ってください。」
そうすると ほんの少しだが 年配社員の夫人たちの表情が柔らかくなった気がした。



 
こうして、まだお互いによく分からないもの同士、カチカチの機械的な朝礼を行い、すぐに現場に散っていった。
散っていく中で、桜庭に改めて声をかけるものは一人もいなかった。
予想していた現実とはいえ、初心者の桜庭にとっては、この雰囲気をどうやってほぐしていったらいいのか、元気でいようという心が、あっという間に萎えてくるのを感じていた。
「これは 元気でいること自体が難しいな、、、、どうしよう」

とにかく サイは投げられたのだ。



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