前住職の七回忌法要が1月21日に勤められました。
先日の御正忌報恩講法要ではご門徒さん方と偲ばせていただきましたが、今度のは親族集まってでのご法事です。
父と親しかったご住職さまにお勤めをしていただき、懐かしいお話も聞かせていただきました。
親族、親戚寺院は県内外からはるばるお越しいただきました。
久しぶりにいろんな話に花が咲きました。
ご法事の時に奉懸する前住職の自影です。
あっという間に七回忌(丸6年)が経ちました。
父の病気がわかった当時、西本願寺で勉強をしていた私はすぐにお寺に帰ってきて、お寺の仕事を一挙に任されました。わからないこと、慣れないことばかりでドタバタしながら、それでもご門徒さん方に温かく見守られながらお育てをいただきました。
ある時、葬儀の脇導師として父とお参りに出た時のこと、右手に大きな法衣カバンを持ち、左手には葬儀で使う道具を抱えていました。私がお寺の玄関の扉を開けて出るとき、両手に荷物を抱えてるので横着をして肘で扉を開けようとしました。
その時父が、「それはいかんよ。一旦カバンを置いてから、扉を開けて…。カバンを持って外に出て、またカバンを置いてから扉を閉めなさい。」と注意されました。
僧侶というのは「人に見られる」ものだ。雑なこと、横着なことをせず、作法や行動ひとつひとつを丁寧にしなさい、という父の教えでした。
実を言うと父と一緒にお参りに行ったのは本当に数えられるくらいしかないのですが、私にとって数少ない、父とのお参りでの思い出の一つです。
私はこのことを、今でもふとした時に思い出します。
「あ~、こういうことしてたらまた怒られてしまうかな」とか反省することもあります。
当時のことを思い出しながら、今もなお前住職の、父の眼差しのなかに生かされていることを感じます。
ご門徒さんから前住職の話をしているとき、家族と父の話をしているとき、近所の住職さんから父の話を聞かせていただく時、様々な父の姿に出遇わせていただきます。
ご法事というのは、亡き方を思い出すなかに様々な教えに出会い、願いに気づかせていただくご縁であることを、あらためて気づかせていただいたような気がします。
(令和2年1月21日 第17世住職 七回忌法要)