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なぜなら、プロ詐欺師の要素をことごとく兼ね備えているからだ。
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。インチキ霊能力者の嘘を暴く達人。
クラウディア──オカルト好きのハーフの美女。
謎のマスター──メシアがよく通うバー《アレクサンドリア》のマスター。40代男性という以外、すべてが謎に包まれている。
メシア 検事時代、26年間にわたってありとあらゆる嘘と対峙し続けた弁護士の若狭勝さん。
彼は著書『嘘の見抜き方』の中で次のようなことを言っている。
検事の時代、何度も詐欺事件を調べてきました。中には、巨額のお金を巻き上げた詐欺師、天才的に嘘のうまい詐欺師など、いわゆる「プロ詐欺師」がいました。
そういう人の嘘は、取り調べているこちらが思わず騙されそうになるほど、実にリアルなものでした。嘘だと分かっているのに、1つ1つの話がとても具体的で、ついその話に納得してしまうのです。
1994年、巨額詐欺事件が発生し、その詐欺犯を取り調べたことがありました。その詐欺犯は、信用組合の副支店長と共謀し、偽札が詰まったジュラルミンケースを預けることで虚偽の入金記録を作成し、総額29億円を詐取しました。ケースに詰められていた札束は、一番上と一番下だけが本物の一万円札で、あとは似た色の紙束や、米粒や紙くずなどを詰めたものが入っているだけでした。
そんなことで騙されるのかと驚くほど鮮やかで大胆な手口に、世間では大いに関心を呼び、新聞や写真誌などで大きく取り上げられました。しかし人は、こういった突拍子もない大胆な嘘にこそ騙されるものです。
私はこの詐欺師の取調べを担当しましたが、喋っていてとても楽しく、人に愛される可愛らしさを持っている人でした。すでに年齢は40歳くらいでしたが、私のことは「友達」の意味で「友」と呼んで慕ってくれました。
彼の嘘のうまいところは、すぐに確認できてしまうことについては嘘をつかないけれど、確かめようのないことについては、まるで本当に起こったことのように細かく嘘がつけるところでした。(中略)
彼のように嘘がうまい人は意外と身近に潜んでいるのかもしれません。ただ、誰にも疑われていないだけで。
メシア 《しゃべっていて楽しい》《人に愛される可愛らしさがある》《話についつい納得してしまう》……。
これ、誰かを連想しないかい?
クラウディア あ、ひょっとして……。
メシア そう。江原啓之さんだよ。
謎のマスター ……。
メシア 若狭弁護士が検事時代、最も印象に残っているプロ中のプロの詐欺師の要素を、江原さんは見事に兼ね備えているんだ。
もはや笑ってしまうほど。
クラウディア たしかにそうね(苦笑)。
メシア また、「美輪明宏は胡散臭いが、江原啓之は本物である」といった書き込みもネットでけっこう見かける。
謎のマスター ……。
メシア 彼らはものの見事に江原さんにだまされてしまっている。
現在、江原さんはテレビ出演はほとんどなく、カウンセリングもやっておらず、書籍と講演会が主な収入源らしい。
クラウディア そうなんだ。
メシア 詳しいことはわからないけど、江原さんの講演会はおそらく毎回、満員御礼状態なんだと思われる。
江原さんの講演会に足を運ぶ人たちは、江原さんの巧みな話術と愛嬌あふれる人柄に魅了され、大満足して家路につくんだと思われる。
クラウディア その光景を想像すると、ちょっとゾッとする……。
メシア 江原さんのような人を見るたびに、暗くて、無愛想で、コミュ力が低い私は本当に詐欺師の才能がないことを痛感するよ。
謎のマスター ……。
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