FC東京からは高萩と追加招集の室屋が代表入りを果たした今回、共に北朝鮮戦のスタメンに名を連ねた。だが、チーム全体の内容と同様になかなか良さを見せることが出来ず、高萩は56分で途中交代。室屋は最後に得点のシーンに繋がったボール奪取を見せたものの、試合になかなか上手く入っていけなかったのか地に足がついていないようで、クロスの精度もいま一つ。苦いA代表デビューとなってしまった。
日本代表については、完全に引いて守る北朝鮮に対してアイディアが乏しく、支配率では圧倒するもののサイドから遠回りして攻め込むことが多く、前線の倉田、小林悠、金崎との連動とトップ下の高萩との距離感が悪いまま、なかなかシュートチャンスを作れないストレスの溜まる内容に。ハリルが試合後に語った「プレースピードが遅く、横パスが多かった。前線の選手も、あまり背後を狙わずに引いてきて、足元でもらうシーンが多かった」とのコメント通りに低調な試合運びに。それが北朝鮮のカウンター攻撃を後押しして、シュート数は日本の7本に対し、北朝鮮は12本と支配率が低いながらも数多くのシュートを打たれる始末。GK中村のファインセーヴが再三飛び出してなければ、敗戦もあった試合だ。浦和の選手がクラブワールドカップ出場による不在もあり、急造メンバーであることは否めないが、それでも個の力もあまり出せないまま殆どの時間を費やしていった。そして、ハリルのコメントにもあるように、この試合は“どこかのJ1のクラブ”の試合内容と相似するような既視感が脳裏を過ぎった。それはもちろん、我がFC東京であることは言うまでもない。ホームグラウンドの味スタながら、FC東京から選ばれた二人は良さを出せず、チームも低調を露呈。良かったのは前述のGK中村と、縦の突破で崩そうとチャレンジした伊東と、惜しいヘディングシュートとアシストを生み出したクロスを上げた川又といった途中出場の選手くらいか。
試合終了直前に今野の落としを井手口がふかさずに決めて、勝利という結果で終えたのは良かったが、言ってしまえば“それだけ”の試合であった。これが最後に「あの勝利が大きかった」と振り返られるよう、中国、韓国に勝利して優勝を掴めなければ、収集されたメンバーのW杯メンバー入りは厳しいものとなるだろう。次の中国戦はこの試合で起用されなかったメンバーの奮起に期待したい。
ところで、日本代表は少し応援がマンネリ過ぎやしないか。歌われたチャントは“オーバモニッポーン”と「エンターテイナー」のみ。その合間に“ニッポン! ニッポン!”のコールをするだけ。しかも、相手が攻勢を強めると、チャントを歌うことすらしなくなり、じっと戦況を見つめる時間が多くなるという……。
もちろん、全ての時間歌い続けなくてもいいが、ややマンネリ過ぎてダレてしまうのではないかという懸念も。この試合ぶりゆえにピッチ上同様、応援側も低調になってしまったのかもしれないが。それでも最後の最後で劇的な幕切れに救われて、ひとまず安堵してスタジアムを後に出来たことをヨシとしておくべきなのか。次の中国戦はピッチと応援が一体となって、結果と共に内容でも勝利への飽くなき奮闘を示してもらいたい。
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【EAFF E-1サッカー選手権 2017 決勝大会】
2017年12月09日(土)19:19 試合開始 味の素スタジアム
入場者数 20,806人
天候 晴 / 気温 7.0℃ / 湿度 52%
主審 クリストファー・ビース / 副審 ポール・アダム・セトランゴロ、ロニー・コー・ミン・キアット
/ 4審 ムハンマド・タキ
日 本 1(0-0 / 1-0)0 北朝鮮
≪得点≫
(日): 井手口陽介(90+3分)
(北):
≪退場≫
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【日本 メンバー】
≪スターティングメンバー≫
GK 12 中村航輔
DF 03 昌子 源
DF 04 谷口彰悟
DF 05 車屋紳太郎
DF 20 室屋 成
MF 02 井手口陽介
MF 08 高萩洋次郎 → 伊東純也(56分)
MF 17 今野泰幸
FW 07 倉田 秋 → 阿部浩之(81分)
FW 11 小林 悠
FW 15 金崎夢生 → 川又堅碁(71分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 東口順昭
GK 23 権田修一
DF 19 初瀬 亮
DF 21 山本脩斗
DF 22 植田直通
DF 06 三浦弦太
MF 10 大島僚太
MF 13 土居聖真
MF 16 三竿健斗
FW 14 伊東純也
FW 18 阿部浩之
FW 09 川又堅碁
≪監督≫
ヴァイッド・ハリルホジッチ
【北朝鮮 メンバー】
≪スターティングメンバー≫
GK 01 リ・ミョングク
DF 02 シム・ヒョンジン
DF 03 チャン・グチョル
DF 04 パク・ミョンソン → 安 柄俊(77分)
DF 06 カン・グチョル
DF 18 リ・ヨンチョル
MF 05 リ・ウンチョル
MF 09 パク・ソンチョル → カン・グッチョル(85分)
MF 16 李 栄直
FW 11 チョン・イルグァン → チャン・オクチョル(90+2分)
FW 23 キム・ユソン
≪サブスティテューション≫
GK 13 シン・ヒョク
GK 22 リ・グァンイル
DF 15 キム・チョルボム
DF 20 ソン・クムイル
DF 07 金 聖基
MF 14 カン・グッチョル
MF 17 ミョン・チャヒョン
MF 19 チェ・ジュソン
MF 21 ユン・イルグァン
MF 08 キム・グボム
FW 10 安 柄俊
FW 12 チャン・オクチョル
≪監督≫
ヨルン・アンデルセン
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【EAFF E-1サッカー選手権 2017 決勝大会 日程】
12/09(土)16:30 韓 国 2-2 中 国(味スタ)
12/09(土)19:15 日 本 1-0 北朝鮮(味スタ)
12/12(火)16:30 北朝鮮 × 韓 国(味スタ)
12/12(火)19:15 日 本 × 中 国(味スタ)
12/16(土)16:30 中 国 × 北朝鮮(味スタ)
12/16(土)19:15 日 本 × 韓 国(味スタ)
【EAFF E-1サッカー選手権 2017 決勝大会 順位表】
1 日 本 3/1/0/0/1/0/+1
2 中 国 1/0/1/0/2/2/+0
2 韓 国 1/0/1/0/2/2/+0
4 北朝鮮 0/0/0/1/0/1/-1
※(勝点/勝/引分/敗/得点/失点/得失点)
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