*** june typhoon tokyo ***

FC東京 vs 浦和 @味スタ【J1リーグ】




 FC東京が天敵・浦和から勝ち名乗り、味スタで16年ぶりに呪縛解く。

 ついに長く待ち侘びた瞬間が訪れた。2013年の国立での試合以来7年ぶり、味スタでは2004年以来16年ぶりにFC東京が浦和に勝利し、久しく“鬼門”となっていた浦和戦の呪縛から解き放たれた。ロシア・プレミアリーグのロストフへの移籍が決まった橋本のラストマッチ、室屋のJ1通算100試合出場と森重のJ1通算350試合出場の表彰、リモートマッチ後初の有観客でのホーム戦とさまざまなメモリアルが重なった一戦となったが、何よりも戴冠のためには倒さなければ始まらない相手、浦和に勝利したことで印象に残る試合にとなっただろう。

 FC東京は、左SBに小川が復帰、橋本がアンカー気味の位置で、前線に左のウイングに近いポジションのレアンドロ、中央に永井とディエゴ・オリヴェイラ、安部が時々スルスルと中盤からドリブルやパスで上がっていく流動性ある4-3-3。浦和はトーマス・デンではなくマウリシオが岩波とCBのコンビを組み、左SBに山中、右SBに橋岡、中盤に柴戸、前線は興梠の相手に杉本を起用した4-4-2のフォーメーション。前節スタメンのエヴェルトン、レオナルド、さらにマルティノスはベンチスタート。川崎戦の大敗から前節横浜FM戦で立て直したFC東京と、4戦して3勝1分と好調をキープしている浦和。因縁の相手ということを除いても、興味がそそられる対決だ。

 前半序盤は浦和が前のスペースへの長めのボールを送りながらFC東京陣内へ侵入。岩波や橋岡とシュートを放つなどやや浦和が攻勢を見せるも、FC東京も中盤を厚く固めながら決定機は作らせず。FC東京もディエゴ・オリヴェイラがさまざまなスペースで顔を出してボールを収め、室屋の上がりからクロスを送るといった場面もあったが、浦和もゴール前ではしっかりと対応。
 浦和はボールを保持するものの、ゴール前へ向かうなかでサイドへ開く展開が目につき、それほど攻撃の怖さは感じられない。時折、中盤の柴戸から興梠に縦パスが入るとチャンスの芽も感じるが、FC東京も興梠にはしっかりとマークが付き、ブロック後にカウンターを仕掛けて好機を狙う。
 前半の終盤になると、FC東京が敵陣に進出し始め、前半終了直前に浦和陣内でFKを獲得。レアンドロのFKからの流れから一度、ハーフウェー付近へラインを上げたDF陣と中盤でパス交換しながら機会を窺っていると、森重が自陣から右サイド深くへロングフィード。これに反応した室屋が中へクロスを折り返すと、GK・西川の手に僅か触れた際にその背後にいた橋岡が対応し切れず、ファーへ詰めていたディエゴ・オリヴェイラの胸へ当たったボールがそのままゴールイン。浦和に先制を許すと精神的に厳しくなることが予想されるなか、ラッキーな形ながらもFC東京が精神的余裕と勇気を与える1点を挙げた。

 浦和は後半からそれほど機能的な働きが見られなかった汰木に代えて関根をピッチに送る。山中の豊富な運動量と展開力で攻撃を組み立てようとするも、なかなか前線の興梠や杉本に効果的なパスが通らない。大胆なアイディアも思ったほど見られず、FC東京への脅威となる圧力までにはならず。FC東京は中盤で多少距離感が乱れたりするものの、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ、安部の個人技で突破を仕掛けていく。
 やや両者膠着する時間が続くと、浦和は長澤からマルティノス、杉本からレオナルドへチェンジ。FC東京は何度か裏のスペースを狙ってスプリントを仕掛けていた永井をアダイウトンにスイッチ。すると、右サイド奥からディエゴ・オリヴェイラが巧みなドリブルとフェイントで浦和DFをかわしながらペナルティエリア内へ侵入し、ゴール前へグラウンダーのラストパス。中央に走り込んだアダイウトンが合わせたシュートは僅かバーの上を越えるが、66分に再びネットを揺らす瞬間が訪れる。浦和がスローインから中盤の青木にボールが渡ったところへアダイウトンがプレスをかけると、イレギュラーバウンドもあったか青木がコントロールミス。ボールを奪ったアダイウトンが重戦車のごとくドリブルを開始。マウリシオ、岩波、青木が必死に追いかけるものの、圧巻のスピードでドリブル突破すると、ペナルティエリア右から角度をつけて西川の右手に届かない左隅へゴールを決め、FC東京に貴重な追加点。

 浦和は橋岡をエヴェルトンに代えて前線への強度を高めようとするも、右サイドからのマルティノスや柴戸のクロスも効果的にはならず、FC東京の集中した守備を崩せないまま時間が経過。FC東京は中村帆高、アルトゥール・シルバ、高萩、紺野とフレッシュな選手をピッチへ投入しながら、試合を有利に進め、終盤は浦和にほとんどチャンスを作らせずに5分のアディショナルタイムも守り切り、積年の壁であった浦和からようやく勝利。ホーム味スタでの橋本のラストマッチに華を添えた。

 内容を振り返れば、得点差ほど圧倒した訳ではなく、FC東京が幸運な形での先制から流れを掴んだ試合ではあるが、一方で浦和の攻撃陣にこれまでの脅威を感じられなかったのも事実。浦和はミスからの失点で、FC東京はペナルティエリア内で思い通りにさせない集中力の高さと相手のミスに乗じての得点と、それほど内容差がないようにも見えるかもしれないが、攻守ともにここぞという場面ではFC東京が浦和の精度を上回っていたということだろう。とはいえ、FC東京もブラジル人トリオをはじめ、流動的に動く安部、右サイドを駆け上がる室屋ら個の力で攻勢を生んだが、これが川崎のような巧みな連動性を持つチームに通じるまでにないのも現状。橋本がロシアへ移籍し、当初掲げていた4-3-3やボランチや中盤の構成をどのようにするのかという決して小さくない課題も突き付けられている。浦和への勝利は存分に歓喜していいが、直ぐに目前の試合へと意識を高めなければならない。次節はミッドウィークでのアウェイ札幌戦。浦和ほどではないが、地味に札幌も近年あまりいい相性ではない。気を許すことなく、札幌、鹿島とアウェイ2戦を勝ち切って7月を終え、次なるホーム鳥栖戦へと繋げていきたいところだ。

◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 第5節】
2020年07月18日(土)19:03試合開始 味の素スタジアム
入場者数 4,705人
天候 曇 / 気温 23.9℃ / 湿度 88%
主審 荒木友輔 / 副審 八木あかね、権田智久 / 4審 川俣 秀

 FC東京 2(1-0 / 1-0)0 浦 和

≪得点≫
(東): ディエゴ・オリヴェイラ(45分)、アダイウトン(66分)
(浦): 

◇◇◇

【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 04 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也  → 中村帆高(82分)
MF 10 東 慶悟  → アルトゥール・シルバ(82分)
MF 18 橋本拳人
MF 31 安部柊斗  → 高萩洋次郎(89分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 紺野和也(89分)
FW 11 永井謙佑  → アダイウトン(61分)
FW 20 レアンドロ

≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 32 ジョアン・オマリ
DF 37 中村帆高
MF 45 アルトゥール・シルバ
MF 08 高萩洋次郎
FW 15 アダイウトン
FW 38 紺野和也

≪監督≫
長谷川健太

◇◇◇

【2020 明治安田生命J1リーグ FC東京 試合日程】
第01節 02月23日(日)13:03〇FC東京 3-1 清 水(A・アイスタ)
第02節 07月04日(土)19:00〇FC東京 1-0  柏 (A・三協F柏)※Remote Match
第03節 07月08日(水)19:30✕FC東京 0-4 川 崎(H・味スタ)※Remote Match
第04節 07月12日(日)19:30〇FC東京 3-1 横浜FM(A・日産ス)
第05節 07月18日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦 和(H・味スタ)

第06節 07月22日(水)19:05 FC東京✕札 幌(A・札幌ド)
第07節 07月26日(日)18:30 FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第08節 08月01日(土)19:00 FC東京✕鳥 栖(H・味スタ)
第09節 08月09日(日)19:00 FC東京✕C大阪(A・ヤンマー)
第10節 08月15日(土)19:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ)
第11節 08月19日(水)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第12節 08月23日(日)19:00 FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第26節 08月26日(水)19:00 FC東京✕鹿 島(H・味スタ)
第13節 08月29日(土)19:00 FC東京✕G大阪(A・パナスタ)

第14節 09月05日(土)・06日(日) FC東京✕大 分(A・)
第15節 09月09日(水)      FC東京✕横浜FC(H・)
第16節 09月12日(土)・13日(日) FC東京✕神 戸(A・)
第24節 09月16日(水)      FC東京✕大 分(H・)
第17節 09月19日(土)・20日(日) FC東京✕仙 台(H・)
第18節 09月23日(水)      FC東京✕C大阪(H・)
第19節 09月26日(土)・27日(日) FC東京✕鳥 栖(A・)
第29節 09月30日(水)      FC東京✕浦 和(A・)
第20節 10月03日(土)・04日(日) FC東京✕湘 南(A・)
第21節 10月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(H・)
第22節 10月14日(水)      FC東京✕清 水(H・)
第23節 10月17日(土)・18日(日) FC東京✕横浜FC(A・)
第25節 11月11日(水)      FC東京✕川 崎(A・)
第27節 11月14日(土)・15日(日) FC東京✕名古屋(A・)
第28節 11月21日(土)・22日(日) FC東京✕横浜FM(H・)
第30節 11月28日(土)・29日(日) FC東京✕ 柏 (H・)※1
第31節 12月05日(土)・06日(日) FC東京✕広 島(H・)※2
第32節 12月12日(土)      FC東京✕仙 台(A・)
第33節 12月16日(水)      FC東京✕札 幌(H・)
第34節 12月19日(土)      FC東京✕神 戸(H・)

※第14節以降の日程詳細は、8月初旬・10月初旬に分割して発表予定
※1 ACL準々決勝進出の場合、11月18日(水)へ変更の可能性あり
※2 ACL準々決勝進出の場合、別日へ変更の可能性あり

◇◇◇














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