空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

雪組「ベルサイユのばら -フェルゼン編-」

2024-07-24 20:43:00 | 観劇(タカラヅカ)
咲ちゃん、ありがとう。好きでした。

ベルばらで御卒業は嫌だ(ショーは無いし羽は無いし)とはずっと言ってたし、
フェルゼン編は11年前のがすげえ駄作だった(※えりたんのフェルゼンは大好き)トラウマもあって、
咲ちゃんのフェルゼン扮装が似合うことも、あーさのオスカルが美しいことも、あやちゃんのアントワネットが楽しみなことも分かりつつ、
ちょっと複雑な思いを抱えた観劇でもありました。

「楽しみかも?」と思ったのは、ジャンヌが出るのが分かってからかな?
1989年のフェルマリ編(星組さん)が面白かったので、あんな感じだといいなあと。
(あのフェルマリ編は、明確に「アントワネットが主人公」なので、同じストーリーにならないことは分かってます)
一方で不安だったのは、配役にグスタフ三世の名前を見たこと。
1990年のフェルゼン編(花組さん)がツッコミ所満載だったのでしんどいなあと。
(2006年以降、フェルゼンが「愛の面影」を歌うのはスウェーデン宮廷からフランス宮廷に変更されてたので、私はグスタフ三世登場バージョンを生で見たことなかった)
あと、グスタフ三世は『白夜の誓い』(2014)のトラウマもあってな…。

以下、箇条書きです。演出とか場面のネタバレがっつりしてます。

・開演アナウンスで泣く。咲ちゃん行かないで〜
・ごらんなさいで開幕。いつも分からないんだけど、「三年(みとせ)、五年(いつとせ)」って何を指してるの?
・フェルゼン登場。宮廷靴似合いすぎ。「愛の面影」。プロローグここまで。良い塩梅。
でもここでステファン人形持ってるのを見過ごせない私。今回もやるのかアレ…。
・3人の運命の出会いたる仮面舞踏会。このちゃんとやるの初めてじゃない?
昭和の頃は何故か「仮装舞踏会」だったし、21世紀になってからはだいたい回想セリフで処理だったぞ。
風共の樫の木屋敷に匹敵する、「なぜここを削る?」場面が、きちんとある!!(感動)
・貴婦人たちのドレスが、ヅカばららしからぬニュアンスカラー!何これ新作?
それとも1789あたりからの使い回し?
と思ってたら、アントワネットの衣装はいつもの真っ赤なやつでした。
・フェルゼンをひっぱたくオスカル!初めてのパターン!
(そして今回オスカルもアントワネットも一度も殴られなかったよ!良かった!)
・フェルゼン、個人的にオスカルに謝る必要は無いのでは…。
ヅカばらの欠点は、誰一人「公私の境」を持ってないことだよな。
ここのフェルゼンは公人としてやらかしたのであって、舞台裏で再度謝るのは変。
・とにもかくにも運命の出会い。マンガの肖像画を背景に歌うトップコンビ+二番手のトライアングル。ひたすら美しい。
あと、この3人の押し出し方は新鮮な気がする。
・今回はとにかく、フェルゼンとオスカルの並びがとてもいい。ここもっと見たかった。
ドレス着てフェルゼンと踊るオスカル様ください。
・「叶わぬ恋とは〜」の歌。3人とも報われないの、切なくて良い。
・ここまでオープニングだったらしい。
ピンクのバラのセットを背景に踊るフェルゼンとアントワネット。
何回も見た「出会って10年経過、不倫の二人の逢瀬」場面だが、ここまでショーアップされるのは新鮮。
そう、どうせなら歌って踊ってくれ。セリフへのツッコミ少なくて済むから。
「愛あればこそ」はここでは一番。
・宮廷場面「おお、プランタン」やっぱりドレスが素敵。
・昭和からの伝統、モンゼット夫人とシッシーナ夫人。でも「フェルゼン推し」と「オスカル推し」で客席煽るのが楽しかった。
・ジャンヌ登場。嬉しい!
・宮廷の腐敗(ヅカファンとしてやや耳が痛い)を嘆くオスカル、フェルゼンに王妃との別れを進言して暴言吐かれる。
でも過去のよりちょっと表現がマシ!…かも。
・そのまま「愛の巡礼」。
・オスカルんちにロザリーとベルナール登場、アンドレも初登場、いろいろ状況説明。
・フェルゼンんちに忍び込んで泣き落とすメルシー伯、この場面やっぱりあるのね。
メルシー伯の独白長すぎる。(ただ記憶より短い気もする。記憶が改竄されてる可能性もあるが)
・メルシー伯の説得で考えを改めたフェルゼン、国王に別れの挨拶。
さりげなく退団挨拶っぽいシーンその1。
あれ?「愛の面影」はここじゃないのか。
国王の慈愛に満ちた言葉を立ち聞きするアントワネット、心を入れ替えて王妃として覚醒。
おお、オスカルに八つ当たりしないぞ今回のアントワネット!
・王妃にもオスカルにも会わず、無責任にアンドレを励まして帰国するフェルゼン。
さりげなく退団挨拶っぽいシーンその2。
・アンドレ独唱「白ばらの人」。
目が見えないことにもさらっと触れる。
・近衛隊から衛兵隊に転属するオスカル、ジェローデルはここから登場。
・啖呵切って宮廷を去るジャンヌ。かっけー!
でも「ブーゲンビリエ夫人を毒殺」って、原作だともっとえげつないことしてるよね…
ジャンヌは原作より魅力的になってる数少ないキャラクタだよな。
・フェルゼンからの手紙でアンドレの思いを知ったオスカル、そのまま今宵一夜になだれ込む。
(確か1990年版がこんな感じ)
ここちょっと雑じゃない?と思ったが、フェルゼン編なのでこれぐらいサクサク進んでも良いのかな。
ただ、フェルゼンのアドバイスには「お前が言うな」という感想しか出ない。
・場面変わってスウェーデン。ジェローデルが訪ねてきて、オスカルとアンドレの死を告げる。
あれ?これ一幕でやっちゃうのか
そしてまさかのバスティーユ無し?
・スウェーデン宮廷で「愛の面影」を途中まで歌ってサビ前から立ち回り。
グスタフ三世が見逃してくれて(許可じゃなくて見逃し、これ大事!)国境破りはしなくて済んだ。
さりげなく退団挨拶っぽいシーンその3。
マントを翻して、客席からハケていくフェルゼン様。ファンサ嬉しい!

ここで一幕終わり。
率直な感想「昭和版と平成版全部見直して再構築したベルばらオタクがいるぞ!誰だ?」
(植田せんせとも谷せんせとも思ってない辺り、失礼が過ぎる)
あと、私は2001年のタカハナ版を映像でも見られていないから、比較対象がやや中途半端だと気づいた。

二幕。
・「嵐は 嵐は」でスタート。
・ここで新場面!革命の群舞。ベルナールとロザリーがセンターだが、衣装が役衣装ではなく完全にショー仕様。
娘役肩出し、トリコロールモチーフのドレス。
ここだけ現代風でめちゃくちゃカッコいい。
この時点ではまだ「え?これがバスティーユの代替?」とか思ってた。曲もラ・マルセイエーズだし。
・今回のベルばら、いらん説明セリフ切ってショー場面増やしてて、そこが良い。
・テュイルリー宮での家族団欒からの、国王連行。
プロヴァンス伯がここにいるのが新鮮。
「兄上、お供します」って、一緒に死ぬつもりなんだろうか。
・覚悟を決めたアントワネットのソロ、これはお花様が歌ってた「ガラスの城」で合ってる?
・ジャンヌの見せ場、「共和国政府は手ぬるいよ!」ここも昔は群舞じゃなかったっけ?まあさっきと被るけどさ。
・悶絶夫人と失神夫人はここで出てきた。ノルマがあるのか。でもこの展開だと、この二人この場でリンチに遭って死んでませんかね。
・民衆の苦しみを王家にぶつける場面はここでやったから、アントワネットが子どもたちと引き離されるところはカット。
・今回、こういう「足し算と引き算」ができている。失礼な言い方になるけど、今まで「足しっぱなし」ばかり見せられてきたから、こういう当たり前のことに驚かされる(暴言)
・国境の村で村人の会話から国王処刑を知らされるフェルゼン一行、そこから「駆けろペガサスのごとく」。
ここも外せないヒーローソング。
・王妃救出計画をロザリーに打ち明けるベルナール、猛反対するロザリー。
ここでフェルゼンが出てきたら王妃の名誉は地に落ちると諭すロザリー、ド正論。
・パリに到着したジェローデル。
「あの橋の上でアンドレは…そしてバスティーユでオスカルは…」
まさかの、ここで回想スタート!
・そうだよね、あーさオスカルが一幕で終わるわけないよな。どうせ回想なんだからどこで入れてもいいわけだ。
・でも「今からやるの!?」と動揺した。
・相変わらずの「女にだって生きる権利はある」とか「誰かが弱い民衆を守ってやらなくては」とか、原作オスカルはそんなこと言わない!のオンパレードだが、ジェローデルが殴りに来なかっただけで許せる、ほどに期待値が低い。
・でもアンドレとオスカルの最期はどっちも良かったよ。
バスティーユが無いと、ベルばら見た気にならないよねやっぱり。
しっかり泣きました。
・オスカルの苦悩に思いを馳せながら、フェルゼンが長台詞しゃべってたけど、
革命への思いと戦いの愚かさと、人間と自然との関係がどーのこーのと、話が無限に拡散していったので、脳に全く残らなかった。
・フェルゼンが口ばっかりの偽善者なのは今に始まったことじゃないけど、この役がサヨナラなのは辛い…
・とか思ってたらそのまま新曲「セラヴィ・アデュー」、まさかのここで卒業ソング!
…ごめん泣くよさすがに。咲ちゃーん!
・牢獄、ベルナール夫妻とアントワネットの語らい。さすがに処刑直前なら何も食べないのが正解ではないのかロザリー。
あと、立ったまま食べるんかいアントワネット。
・メルシー伯との別れ。ステファン人形、やっとここで回収。でもここまで来たら形見として人形は持っておいてやれよといつも思ってしまう。
・フェルゼンとの再会。
別れてから8年間、時が止まっていたフェルゼンと、覚醒して成長していたアントワネットとの対比が残酷な場面。
ここで手渡すためのステファン人形だと分かってはいるが、原作通りに指輪にしてやれよといつも思ってしまう。

・それでも、フェルゼンの背後で断頭台への階段を登っていくマリー・アントワネットの場面の迫力は物凄い。ちゃんと史実通り髪が短くなってる(切られた)のも、一場面のことなのに芸が細かい。
・本当に、大階段の使い方としてこれ以上の演出を未だに見たことがないのだ、と言ってしまえるラストシーン。
・「さようなら、フランス!」できっちり泣きました。

そしてフィナーレです!
・さて今年は薔薇のタンゴか小雨降る径かボレロか、と思ったらどれでもなくて全部劇中歌アレンジだった。肩透かし!
・それも「この衣装は薔薇タン…?」「水色…小雨来る?」「あっ、このリズムはボレロ?」と思わされてなので、肩透かし感がひどい。
・マンネリでも、風共のナイト&デイが外せないように、ベルばらのフィナーレはどれかを入れてほしかった。
・完全に好みを言えば、サヨナラ公演だし、初演から50周年の記念なので、11年前に雪組さんがやった「オマージュ」が見たかった。
・それでも、咲ちゃんが踊りまくってくれたので眼福(早替わり後は衣装替えも無しで出ずっぱり)。
・あーさ、あやちゃんとのトライアングルは本当に良かった。
(女装あーさとの小雨を見たかった!)
・組子たちから咲ちゃんへのアカペラ「セラヴィ・アデュー」は泣くしかない。
・パレードのエトワールはあやトワネット。
「青きドナウの岸辺」→「ばらベルサイユ」→「心の白薔薇」→「我が名はオスカル」と、劇中で使わなかった曲メドレー。
やっぱり相当なベルばらオタクが監修してるとしか思えないんですが?
・咲ちゃんが階段降りする時に他の人たちは皆舞台からハケていて。
一人で「セラヴィ、アデュー」を歌う。
いや、泣くて。
…と思ってたら、キャスト皆で客席から登場!何この演出、神!?
・上手の通路側にいたから、オスカル様が近かった!美しすぎた!
・そして真横に小公子(いっぱいいる)が!
・ステージ上の咲ちゃんを見たいのに真横のジェンヌさんから目が離せない、嬉しい悲鳴!
・最後は「愛あればこそ」で幕。

文句もあるけど最近だと一番良いベルばらだったと思います!


咲ちゃん。
本当に若手の頃から見てきたジェンヌさんで。
桂ちゃん時代、抜擢されてたけどへなちょこだった頃も覚えてるし
(2期下のれいこの完成度が最初から高かったから余計にね…)
えりたん時代を経て、ちぎちゃん時代に次元大介とか斎藤一とかで「お、カッコよくなってきたな!」と親心で見ていて。
それが、だいもんお披露目『ひかりふる路』のダントンと、ショーの名場面「海の見える街」で、「マジでカッコいいんですけど!?」と、「脱・親心」でトキメキ、以降もずっと見守ってきた。

正直、フェルゼンよりもダントンとかナポレオンのほうが魅力的だったと思うし(同時代)、最後の公演はショーやってほしかったよなという思いは拭えないけど(これはカレー君もだった)、それでも咲ちゃんの名前がベルばら史に残るのはそれはそれで良かったと思う。
立派なトップさんになったなあ、と感慨深く見ていた。
超絶スタイルとダンス力、カリスマ性と、技術としての「美しさ」。
コロナ禍に祟られたキャリアでもあったけど、シティーハンターはハマり役だったと思うよ。
ひらめちゃんとのコンビも、あやちゃんとのコンビも好きでした。

大好きでした。幸せになってください。


あと、(全人類の常識ながら)あーさオスカルが完璧な美しさだったこと、あやちゃんアントワネットがとっても良かったこと、縣くんアンドレが包容力あったこと、華世くんベルナールがカッコ良かったこと、すわっちジェローデルが素晴らしかったこと、ロザリー可愛すぎだったこと、ジャンヌめっちゃ良かったこと、等を書き残しておきます。


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