空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

星組「1789-バスティーユの恋人たち-」

2023-06-29 17:33:00 | 観劇(タカラヅカ)
またもやコロナ禍に見舞われた公演でしたが、何とか一回行けました。
見られて本当に良かった…ことなこコンビにとって、真の代表作になったんじゃないでしょうか。
(今までがダメだったという意味ではなく)

8年前の月組さん初演版の感想はこちら。
月組「1789 -バスティーユの恋人たち-」 - 空中楼閣―Talking Dream―

月組「1789 -バスティーユの恋人たち-」 - 空中楼閣―Talking Dream―

宝塚で群像劇をやる、ということについて考えさせられた作品。4月から勤務がちょっと変わって、予定していた日に行けなくなり、ものすごく久しぶりに当日券に並ぶことにな...

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東宝版の感想はこちら。


しかしどちらも記憶が朧になってきており、勿論覚えてる曲もあるんだけど、「これ新曲?新場面?前からあった?」と色々曖昧です。

しかも、間に『ひかりふる路』を挟んでるんですよこっちは。


フランス革命物は数多(本当にたくさん)あれど、『1789』と『ひかりふる路』は本当に地続きと言うか、世界観が同じな感じなので。
何が言いたいかと言うと、この後の展開が分かっているだけに、ジャコバン三兄弟(マクシム、カミーユ、ジョルジュ)が仲良くわちゃわちゃしてるとそれだけでしんどい!
リュシル登場時のドレスが『ひかり…』と同じっぽくてそれもまたしんどい!
(『1789』初演からこのドレスだったらごめんなさい)

勿論他のも過るんですよ、
「ネッケル解任」→「市民よ武器を取れ!」→「バスティーユへ!」の流れだとベルばらしか出ないもん、オスカル様を幻視しちゃうもん、「愛する者のために」が脳内に流れるもん!

……と言うのは置いておいて。
大変素晴らしかったのです。

こっちゃん@ロナン。
御本人熱望の再演とのことで。
マジでハマり役。本領発揮。
カリスマ性も、歌とダンスの実力も、「恋する」エネルギーの真っ直ぐさも、全部良かった。
考えてみると、ショーヴラン、ロミオ、今回のロナンと、こっちゃんはまさお氏の役をわりとやってるのですね。
そして2人とも歌ウマだからこそ、龍真咲と礼真琴の個性の違いが際立つと言うか。

どの歌も良かったけど、個人的には「二度と消せない」が好き。キュンキュンする。
あと、アルトワ伯からオランプを守ろうとする場面も好き。
本当に生きて幸せになってほしかった(ここで死ななくても、ジャコバンの中心メンバーに近すぎて革命で生き延びるのは無理だったかなと思ってたので、「故郷の村に帰りたい」という夢を聞かされて「それなら生存ルートあり得た!と余計に切なくなった)。
衣装も「農民」だけど全部カッコよくて、「なぜロミジュリはワークマン(違)だったのか」と思い出してしまった。
フィナーレは自髪なのがまた嬉しい。

ひっとん@オランプ。
正しくヒロインで、応援したくなる女の子。
あと、モテモテなのも納得の可愛さ。
どの衣装も可愛くて似合っていて、歌も全部良かった。

ことなこ、単体でもそれぞれ良かったんだけど、サブタイトルどおり「恋人たち」としての雰囲気がとても良くて、切なくて本当に素晴らしかった。
「自分には使命があるから結ばれることはない、でも愛し続ける」オランプの覚悟と、「2人で幸せになる未来を築くのが自分の使命だ」というロナンの覚悟のどちらも悲壮感があって、美しかった。
ロナンの願いが叶う=王家の破滅でもあり、そこに対するオランプの葛藤に説得力があった。

くらっち@マリー・アントワネット。
初演ではちゃぴちゃん。

トップコンビがカップル役になったことで、物語のほうは収まりが良くなり、これで正解だと思うんだけど、そうなってみるとこの話はアントワネットの比重が高すぎる。
くらっちがいてくれて、本当に良かった。

ロミジュリで乳母役ができて、『王家に捧ぐ歌』でアムネリスができて、『赤と黒』でレナール夫人ができる。
ヒロイン経験豊富な、歌姫。
きっと、ファントムやる時はカルロッタだし、エリザやる時はゾフィだし、オーシャンズやる時はダイアナだし。
本当に貴重な存在だけど、毎回便利に使いすぎだという思いも勝手にあって…
花道が、この役で良かったと思う。
最後の白いドレスの場面なんて、文句無しに主役でした。
その後の革命側の場面が「サイラモナムール」だから取り返しがつくんだけど、一瞬「これ誰の話だったっけ?」ってなるぐらいの、独壇場。
退団オーラも相まって、女神のような王妃でした。
(ギロチンの音で暗転、のまま、ラストまで登場しない方が良かった気がする。
ラストシーンに華やかなドレスでいるのは少し蛇足感があった)

アルトワ伯とかペイロールとか中ボスはいるけど、この話のラスボスはアントワネットなんだよね。
改めて、初演の配役はああするしかなかったよなあと思う。
当時の月組さんには、わかばちゃんとか海ちゃんという、オランプができる娘役はいたけど、アントワネットができるのはちゃぴだけでしたよね…そしてあの役でちゃぴが開花したのは事実だし。

せおっち@アルトワ伯。
催眠術使わなかったから、アホ感が薄れてて良かった!
初演のみやるりとはまた違った怖さがあって、(狂気的と言うよりは「権力」の怖さ)

ありちゃん@カミーユ・デムーラン
しん君@ロベスピエール
えま君@ダントン

だからジャコバン三兄弟は、並んでるだけで涙腺刺激されるんだって!
役の感想は今までと変わりません。
善良なデムーラン、カリスマのロベスピエール、ヒューマニズムのダントン。
「サイラモナムール」で、ロベスピエールだけ唐突に「その女は誰だ」とツッコミたくなるのも同じ(笑)
ダントンは史実で愛妻がいるんだから、ロベスピエールとソレーヌがくっつくのではあかんかったのか。

ありちゃん、歌が本当に上手くなった!
けど、ありちゃんにしてはダンスが少なかったのは、歌に集中するため?
(フィナーレは踊りまくってくれました。
男役群舞の、回し蹴りの振りが、一人だけ速さと高さが段違いで魅せられる。
あと、ふわふわっと飛ぶのが好き)
しん君の存在感とカリスマ性は凄くて、「誰のために踊らされているのか」がめっちゃ気持ちよかったです。
(ロナンが加わって、ロナンセンターになったら一段とパワーが増すのがまた良し)

ちづるちゃん@リュシル
ほのかちゃん@ソレーヌ
るりちゃん@シャルロット
安心して見ていられました。皆可愛い!

さりお君@ラマール
癒しです、この作品の。

ゆうまさん@ペイロール
最高でした!怖いしカッコ良いし。

ロナンのささやかな願いが叶わなかったこと、
かれの死を受け止めて「人権宣言」に繋がる流れに泣きました。
ロナンは架空の人物だけど、きっとフランス革命には彼のような無数の名もなき屍があったんだろうなと。
「屍越えて開け明日のフランス〜」
(それはレミゼだ!時代が違う!)

(だからこそ、アントワネットとフェルゼンがフィーチャーされると視点がぶれてやや混乱する)

記憶が薄れていたので、一幕ラストと二幕の締めがどちらも「ザ・小池修一郎」でちょっとウケました。


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