空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

TAJOMARU

2009-09-21 21:59:43 | 映画
時代劇強化週間その1(笑)
シルバーウィークで帰省したのでまとめて見てきました。

というわけで、第一弾は小栗旬君主演の話題作「TAJOMARU」。
ネタバレもしてるのでご注意ください。

芥川龍之介の「藪の中」が原案だというので読み返してみました。

藪の中で発見された男の死体。
目撃証言・状況証拠から特定される被害者の身元。
一人ずつ発見される当事者たち。
巫女に取り付いて語る被害者本人(笑)
食い違う、証言。
…真相は、藪の中。

多様な解釈ができる、今読んでもとっても面白い小説です。
まあどうしても、私たちは
黒澤明監督による映画「羅生門」での解釈に引きずられてしまいますが。
(テレビで見ただけだけど面白かったー)
ナラティヴ心理学の世界では「羅生門アプローチ」という言葉が
国際的に定着しちゃってるぐらいだしね。
(文学の世界では「藪の中アプローチ」というらしい。面白いな)

で、今回の映画は、
「そもそも、被害者の身元特定に繋がった証言自体、信用できないんじゃないの?」
という発想で生まれたようで、
藪の中の殺人事件の被害者と加害者が逆転する、という
なかなか面白い展開のものでした。

脚本はマイベスト大河ドラマ「花の乱」の市川森一氏。
ビジュアル的にも美しい~
「ドウケン」って、全く説明されてないけど、骨川道賢だよね。
(足利義政の設定からして、パラレルワールドなのはわかるけど)

小栗旬君、美しい。
何か、今回の映画に関しては、あらゆる角度が「美しい小栗旬」でした。
眼福。

柴本幸ちゃん、やっぱり好きだわ。
一番キレイだと思ったのは、藪の中での「あの人を殺して!」の場面。
うーん、由布姫といい、「企み顔」が一番好みなのは何故だ(笑)

盗賊勢の軽さが好き。
でも、死ぬ必要なかったんだよなー、あのラストなら。

悪役勢も美しかったんですが、扱いが色々勿体なかったような。

折角、
「多襄丸=稀代の盗賊の名前で、代々受け継がれるもの」
という美味しい設定なのだから、それと桜丸の「盗人」というモチーフを
うまくリンクさせてくれたら良かったのに。
まあ単なる好みですが。
(個人的に望んでいたラストは、
・主人公は桜丸に返り討ちにされてしまうものの、
 桜丸は管領にはなれず、「多襄丸を殺した者=新たな多襄丸」として、
 「盗人」としか生きられない運命になってしまう、とか、
・桜丸は討ち取られ、
「管領家を乗っ取ろうとした本当の大盗賊=多襄丸」
 として闇に葬られるか。
徹底的に図式的にしてくれるのが好みかな。個人的には。)

何て言うか、かゆいところに手の届かない感じがもどかしい映画でした。

ベテラン勢はさすがに魅せてくれましたねー。
特にショーケン氏が怖かった…!
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