jump in the box

この小さな箱の中で飛んだり跳ねたりしてみます(笑)

ある日、夏の縁側で

2004年09月06日 | 家族
世の中はあまりにも色んな事が起こりすぎる。
あれも書きたいこれも書かなきゃって思っているうちに
書きかけてあった記事が埋もれていく…(笑)

さて、今回は「高原へ行きましょう ~3~」の続き
帰宅してからのお話。
まだその翌日の事も書きたいんだけど…
いつになったら帰省話が終わるのか(爆)

まだ外は十分な明るさがあるうちに実家に戻った。

車から荷物を下ろし
畑の横を抜けて階段を上り庭から縁側に荷物を放り込んだ。
縁側に並ぶ鞄の列を退けてニパちゃんを下ろす。

夕暮れの風が抜けるたびに
庭の木が右から左へ「さわさわ」と輪唱を繰り返す。

嫁さんと母は早速晩飯の支度に取り掛かる。
今日は弟家族が来ることになっているので
食事の支度も大人数分用意しなくちゃならない。
父は風呂に水を溜めたあと台所で母の手伝い。
冷たい水道水で手と顔を洗いチーちゃんとニパちゃんは居間で遊んでいる。
居場所のなくなった僕は縁側を歩きながら思いついた。

「そうだ!エビスがあったやん!」(爆)

忙しそうに動き回る母と嫁さんと父の脇をすり抜け
冷蔵庫を開けてエビスを取り出すと
テーブルの上にあった茹でたてのとうもろこしを失敬して
縁側にどっかと腰をすえた(笑)

帰宅してそのままの紙袋から
高原行きのおやつとして買ったポテチが顔を覗かせている。
「そうか、そうか、そうだよな」とポテチを袋から救出してあげた(笑)

ホクホクの甘くてジューシーでちょっと毛の残った
茹でたてとうもろこしにポテチにエビス。
縁側で足をぶらつかせながらプシッ!

よく冷えた琥珀色の液体は
程よくスパークしながらゆっくり僕の喉を通過していった。
「ぷはぁ~っ!」

日は傾いたけれどまだ青空の残る夏の日の夕方。
台所の喧騒を背後に庭の木々を眺めつつもう一口。

「チーちゃん、ニパちゃんおいでー!」
娘達を縁側に呼び寄せる。
チーちゃんは麦茶をグラスに入れて持ってきた。
膝の上のニパちゃんはビールの缶を掴もうと必死だ(笑)
静かな縁側で小さな宴会が始まった。

僕とチーちゃんはポテチを一枚づつ袋から取り出し
「どっちが大きいか?」なんて遊びをしている。
ニパちゃんはとうもろこしに夢中だ。

そうこうしているうちに弟家族が到着した。
「しばらくだねぇ」なんて挨拶をかわすと
弟夫婦は座敷で宴会の準備に取り掛かった。
女(6歳)、男(4歳)、男(2歳)の甥っ子姪っ子を
縁側の宴会場に呼び寄せる。
チーちゃんはお姉さんぶってジュースやらお菓子を調達してきた(笑)

一気に縁側がにぎやかになった。
左の膝にニパちゃん右には2歳の甥っ子を抱えてビールを口に運ぶ。
他の子たちは持ってきたおもちゃ自慢をしている。

庭木の向こうに見える空が
水色から紫、濃紺へと変化を遂げていく。
風はますます冷たさをまし
縁側からたらした足先の体温を奪って行く。

「さ、ご飯にしよう!」台所から父の声が聞こえた。
続けてバタバタと座敷に料理や皿を運ぶ足音が聞こえる。
とその時背後から大きな声…

「あんたたち!またご飯の前にお菓子なんか食べて!」
弟の嫁さんだった(笑)

キャーキャー言って逃げ回る子供達

「お義兄さんすみません、迷惑かけて」と謝る弟嫁に
「いや、僕が誘っちゃったから…」と頭ポリポリ(笑)

「さ、ご飯にしよか」
残ったエビスをグイッと喉に流し込み
ニパちゃんを抱いて本当の宴会場に向かう。

「さぁ!飲むぞー!」

チーちゃんのツッコミと笑い声が響く
辺りはすっかり暗くなっていて
座敷の明かりだけが庭をぼうっと照らし出していた。




また来た!

2004年09月06日 | 家族
もうすぐ日付が変わろうかという夜
今日買った「くるくる鮨」を嫁さんと見ていた
娘二人は2階で就寝中。

グラリ…
「来たっ!」

二人同時に立ち上がり
今までに見たこともないスピードで階段を駆け上がった。

寝室を見る
「チーちゃんがいない!」
ニパちゃんの布団の上には毛布。

まだグラグラ揺れている。
枕元の家具を左手で押さえながら毛布をめくると
チーちゃんがニパちゃんを抱きかかえるように覆いかぶさっていた。
「とにかくニパちゃん守らなきゃと思って…」
チーちゃんはまた泣き出した。

震度は4、さっきの地震と同じように
揺れは長く続いた。

嫁さんは窓を開けて退路の確保。

揺れが治まっても
チーちゃんはニパちゃんの上から動こうとしない。
「もう大丈夫かなぁ?」

僕は大丈夫だと言って
チーちゃんを抱きしめた。
責任感でいっぱいの細くて小さな肩が震えていた。

ぎゅっと力いっぱい抱きしめ
「大丈夫だよ。ありがとう」と何度も繰り返し
溢れそうになる涙をこらえながら
チーちゃんの頭を何度も何度も撫でた。

尾道の友人からメールが届いた。
「こちらは大丈夫だよ」と返信を終えると
また涙がこみあげてきた。