今日 8月15日は 敗戦記念日『この日の少し前8月09日午前零時 ソ連対日参戦 8月15日以降も戦闘は続き 無防備な引き上げ船にも攻撃を加えて9月05日に一方的に戦闘を終了』でした
この詩を書かれた 茨木のり子さんは 戦中戦後の動乱を過ごし 8月15日を迎えたのは 帝国女子医学・薬学・理学専門学校薬学部『東邦大学・学生」の20歳でした。
脚本家・童話作家の後に詩人・エッセイストと活躍されて この詩は 最近・教科書にも掲載されているとかで御存じの方も多かろうと思いますが 今日・この日にあえて載せさせて頂きます
平和である今日の一日を かみしめたいものです
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした
わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった
わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった
わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った
わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた
わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった
わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった
だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように
ね