何曲か歌ううちに
皆さんは落ち着きを取り戻し笑顔も見られるようになりました
余震も落ち着いたと判断してコーヒータイムを・・・とラウンジへ
お菓子とコーヒーを皆さんにお出しすると
コーヒーのいい香りにいつものお茶会が始まりました
いつもなら5階からは港とそれを囲む緑の木々
遠くには富士山が見えることもあるのですが
その時の風景は悲惨でした
揺れが治まったかと思うまもなく空に黒い雲が広がりはじめ
まだ明るい青空と滲むように広がる黒い雲が
恐怖のコントラストを呈していました
そして
緑が茂る公園の向こうにある製鉄所に火の手が上がっているのが見えました
黒煙があちこちから上がり
現場の悲惨な状況を思うと胸が潰れる思いでした
そんな風景に目をやり「怖いわね 燃えているわ」
「大丈夫 皆さんの事は私が絶対に守るから」
「寒くなるからカーテンを引きましょう」と言って
皆さんの視界から恐怖の風景を隠そうとカーテンに手をかけた時
大きな爆発音と共に爆風とガラスを通しての熱感・・・
ちょうど湾の対岸にある石油コンビナートが爆発炎上したのが見えました
大きなキノコ雲のように何度も炎が空に突き上がり
一瞬 自分がその場にいるような息苦しさを感じました
ふと室内に目をやると
車椅子の女性の入居者さんが下を向いて泣いています
手を握り顔を覗き込むと
子供たちが心配・・・と小さな声
「大丈夫 子供たちはみんな立派な大人
ちゃんと自分を守れるから心配ないですよ」
親は子供が幾つになっても子供を案じるもの
「ご家族がきっと近いうちに来てくれます
それまでずっと私といましょうね」
冷たい手を両手でくるんで温めて差し上げると
「暖かい手ね」と言って何度もうなずいていらっしゃいました
(何時間かすれば地震があった事さえ忘れてしまう方だけれど
怖くて哀しい記憶は消えてしまう方がいい)
そう思いました
皆さんは落ち着きを取り戻し笑顔も見られるようになりました
余震も落ち着いたと判断してコーヒータイムを・・・とラウンジへ
お菓子とコーヒーを皆さんにお出しすると
コーヒーのいい香りにいつものお茶会が始まりました
いつもなら5階からは港とそれを囲む緑の木々
遠くには富士山が見えることもあるのですが
その時の風景は悲惨でした
揺れが治まったかと思うまもなく空に黒い雲が広がりはじめ
まだ明るい青空と滲むように広がる黒い雲が
恐怖のコントラストを呈していました
そして
緑が茂る公園の向こうにある製鉄所に火の手が上がっているのが見えました
黒煙があちこちから上がり
現場の悲惨な状況を思うと胸が潰れる思いでした
そんな風景に目をやり「怖いわね 燃えているわ」
「大丈夫 皆さんの事は私が絶対に守るから」
「寒くなるからカーテンを引きましょう」と言って
皆さんの視界から恐怖の風景を隠そうとカーテンに手をかけた時
大きな爆発音と共に爆風とガラスを通しての熱感・・・
ちょうど湾の対岸にある石油コンビナートが爆発炎上したのが見えました
大きなキノコ雲のように何度も炎が空に突き上がり
一瞬 自分がその場にいるような息苦しさを感じました
ふと室内に目をやると
車椅子の女性の入居者さんが下を向いて泣いています
手を握り顔を覗き込むと
子供たちが心配・・・と小さな声
「大丈夫 子供たちはみんな立派な大人
ちゃんと自分を守れるから心配ないですよ」
親は子供が幾つになっても子供を案じるもの
「ご家族がきっと近いうちに来てくれます
それまでずっと私といましょうね」
冷たい手を両手でくるんで温めて差し上げると
「暖かい手ね」と言って何度もうなずいていらっしゃいました
(何時間かすれば地震があった事さえ忘れてしまう方だけれど
怖くて哀しい記憶は消えてしまう方がいい)
そう思いました