スティーブン・ビースティー 画
リチャード・プラット 文
ヨーロッパの城―輪切り図鑑岩波書店このアイテムの詳細を見る |
スティーブン・ビースティーと言えば「クロスセッション」だが、その系統の絵本。今まで読んだ中では「大帆船」と並ぶ出来である。たかが絵本と言うなかれ。中世ヨーロッパの城郭とその中での生活に興味がある人は必読。絶対に面白い。リチャード・プラット文章も冴える。と言っても私は日本語訳を読んでいるのだが(笑)。
城主(王様)とその家族を召使たちが不自由ないように世話をするのだが、「不自由ない」というのは、まあ絶えられる程度に生活を保つということで、ディズニーのシンデレラの世界とは絶対に違う西欧のお姫様の世界になる。そりゃそうだろう。あんな石蔵みたいな建物に人が大勢住めば、動物園並みの生活臭がするよね。風呂もシャワーもないしね。
食事についての記述も面白い。肉料理には塩はつき物のように思うが、実のところ料理人は一切、肉に塩などで味付けせず、ただ焼くだけでテーブルに出していた。じゃあテーブルに塩がおいてあるのかと言うと、そこの主人の目の前にしか塩を入れた容器はない。出世して主人の近くの席に近づかなければ味も素っ気もない料理を食べる羽目になる。
あと、テーブルマナーとして正しい歯のせせり方は、ちゃんと木の枝を使うのであって、決してナイフでせせってはいけません、とか、口をすすいだ水はテーブル前方に吐いてはいけません、ちゃんと後ろに吐き出しましょう、とか、お笑いネタのような話がいっぱい。
一見、水洗式、実は汲み取り式のトイレ構造も必見。牢屋には人が一人入れる構造の穴があって、そこに入れられた囚人は忘れられたそうだ。これ「忘れな草」と呼ばれたとある。
もちろん城の攻防についてもきっちり描いてある。
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