嗤う伊右衛門 (角川文庫)京極 夏彦角川書店このアイテムの詳細を見る |
著者は京極 夏彦。1963年3月26日、北海道虻田郡京極町生まれ。妖怪研究家、アートディレクター。世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)、関東水木会会員、東アジア恠異学会会員。「怪談之怪」発起人の一人。北海道倶知安高等学校卒業、専修学校桑沢デザイン研究所中退。『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』でデビュー。 『鉄鼠の檻(てっそのおり)』が第9回山本周五郎賞候補作品。 『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』で第49回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。『嗤う伊右衛門(わらういえもん)』で第25回泉鏡花文学賞を受賞。 『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞を受賞。 『後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)』で第130回直木賞を受賞。株式会社大沢オフィス所属。
「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」をDVDで観たのをきっかけに借りてきた本。この小説を読む前に平岩弓枝の「御宿かわせみ」の文庫本を15巻ほど読んでいて、すっかり頭が「御宿」に慣れていたため、「嗤う」がとっつきにくくて仕方なかった。読み進めるに従いぐいぐいと引き込まれてしまった。
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御行の又市は足力按摩の宅悦の頼みで仲人をする。御先手組同心の民谷又左衛門の娘、岩に婿をとるのだ。選んだ相手は摂州浪人の境野伊右衛門。伊右衛門は実の父の切腹の介錯をとったという悲しい過去を持つ、笑うことを忘れた男。岩は美形でありながら奇病をやまい、顔の半分に醜い疵(きず)を持つ女。岩は武士の娘として、そして人として正しく生きようとするが故に不器用な生き方しか出来ない。
伊右衛門と岩、又市、宅悦に、世の全てを憎む御先手組筆頭与力「伊東喜兵衛」、喜兵衛の悪行により妹を亡くした医師の下男「直助」、喜兵衛に拐され弄ばれるも、又左衛門の取り計らいで喜兵衛の嫁になった薬屋の娘「梅」がからみ、それぞれの登場人物が、同じ事象をそれぞれの立場から語りながら物語は進む。
不器用で不自由な生き方しかできなかった伊右衛門と岩の悲しい愛の話。