年配の方々には当然だったのかもしれないが、戦後生まれ、それも日本高度成長期に生まれて育った私としては、ちょっとショックだった本。今ではそうだよな・・・と慣れてしまったけど。
日本の村落共同体の女性は家の労働力と子孫を作るために期待されたのであり、夫婦間での相互の性的な独占関係は希薄だった(無かった)ということを知った時は、そりゃ驚くよ。
村の低層の者は性についてのタブーがない。
摂津、丹波、河内、大和、和泉のあたりの女性の人たち、この本を読んでも怒らないで下さいよ・・・。
赤松啓介 「夜這いの民俗学」 明石書店
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1994年1月31日 第1刷
著者は1909年生まれ。兵庫県郷土研究会常任委員。高小2年卒。大阪に奉公にでて丁稚小僧になる。戦中、大阪で治安維持法にふれ特高警察ににらまれ大阪を離れ郷里の兵庫県加西郡下里村にもどる。昭和8年(1933)のこと。雑貨屋を営んでいた実家にもどるが糧を得るため行商を始める。その時に村や町で聞き取った話や体験がベースとなっている。
郷里に帰って来るべき社会革命のために農村で密かに農民組合の再建を構想するも先輩からの忠告で郷土研究運動を志向する。共産党はあまりすきではなかったが、当時反戦を掲げたグループで共産党以外は残ってはいなかった。
ご本人は違うと書いているのだが共産主義者。だから特高警察ににらまれるのだが、本人が自惚れているほどたいした共産主義者じゃない。だって逮捕されてない。特高警察も暇じゃないから著者を鬱陶しいからお前ここから出て行け、大阪をちょろちょろするなと追い出しただけなのだ。
要するに行商しながら親しくなった村の人から風習をきいたり、ついでに夜這いを実践してみたりと・・・こんなぐあい。
ご本人は昭和8年~14年にかけて東播磨七郡を中心に摂津、丹波、河内、大和、和泉、淡路を調査したと書かれているのだが、どうだか(笑)。
著者は国家の弾圧で夜這いができなくなったというが、どうかなぁ・・・
p16 あくまで戦時体制下の村落社会の矛盾と相剋の中でいかにして反戦の思想と行動を貫くかが問題であった。
p25 柿木問答 これは夜這いや新婚の初夜の儀式みたいなもの。初めて顔を会わせるものが、まあいきなりするわけだから、こういう問答をしながらことに及ぶわけで・・・。
あんなところに柿の木があるの
はいあります
わたしが上がってちぎってよろしいか
はい どうぞ ちぎってください
そんなら ちぎらしてもらいます
p33 著者は柳田国男と同郷
ものすごく柳田国男にライバル意識を持っているようです
p35 村内婚は夜這いの延長 必ずしも双方が相手を性的に独占したわけではない
p35 三婚、四婚も多い
p54 総領 9歳、10歳の子供でも村を指揮する(百姓一揆とか)
p98 昭和8年~14年にかけて東播磨七郡を中心に摂津、丹波、河内、大和、和泉、淡路を調査した
1990年10月号 新潮45
1993年5月~8、10、11月号 現代性教育研究月報
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