2009年11月10日初版発行
大阪の部落史委員会委員
兵庫県の播州には皮革を産業としている地があります。ガッツりとメモを取りながら読むつもりが流し読みで返却してしまいました。
第1部
1章 中世後期皮をめぐる歴史民俗
2章 近世後期大坂の皮革関連業
3章 後期原皮流通と渡辺村皮問屋
第2部
4章 生皮
5章 忘れられた日本の沓 綱貫
6章 関西太鼓の歴史的素描
7章 中世銘太鼓の現況
8章 蹴鞠と被差別民の技
第3部
第9章 「かわ」と皮革史の概説
(2021年 西宮図書館)
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2024年4月 追記
2021年に一度目を通した本の再読。大阪歴史博物館で綱貫の実物を見たので、綱貫について調べたくて再度借りた。
綱貫についての個所のみメモ。綱貫とはモカシンをイメージしてほしい。皮でできた和靴。革製の靴は平安時代までは貴族や武士が履いていたのだが、その後に廃れてしまう。農民や労働者の靴として細々と近代まで使われていた。その範囲が広いものだと思っていたのだが、どうも関西だけだったようだ。そうこの本には書いてあった。
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P89
綱貫・沓。綱貫の名は中世から存在するが近世のそれは系譜的に繋がらない。田沓、山沓という大和などの山間部で毛付きの猪皮を用いて沓としたものが出発。毛を刈りこみ一般的な履物として大々的に売り出したのは大和東之坂旧家甚右衛門である。
P151
つなぬき、つらぬき、巾着靴、藁シビをいれるのでシビ靴、ばば靴とも呼ばれる。近世社会の関西だけの流行
P153
綱貫は古代からある。中世では武士の履物として普及。それは名前が同じというだけで庶民が履く皮の沓という綱貫とは違う。喜田川守貞が残した綱貫の絵がこのページにある。
P166、167
綱貫の写真。奈良県立民俗博物館(近江沓とよばれる甲のところへ折り返しがついたもの)、大阪人権博物館(ここのが出来がいい)
P171
綱貫は1960年代にはいるまで普通に使われていた。
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(2024年4月 西宮図書館)