珍しくベストセラー小説です。会社の同僚から借りた本。
浅田 次郎 「蒼穹の昴」 講談社
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1996年4月 新刊発行
文庫本として2004年10月15日 第1刷
12月 1日 第2刷
著者 1951年東京生まれ
大清国 光緒十二年(1886年)・・・で始まるのだが、ついつい最初の頃は三国志の世界と区別がつかなくなる。内容がどうのこうのというのではなく時代として19世紀後半だと理解してはいても科挙に宦官が登場する世界が、どうしても近代だと思えなくて慣れなかった。
清朝末期、地方の地主の妾の子とし生まれ地主の次男坊として育った梁文秀、そしてその地主の土地で糞を拾いそれを売って生活していた貧民の子である李春雲は、かつて宮廷のおかかえ占い師だった白太太の予言に導かれながら、それこそその予言に引っ張られるように半ば強引にそれぞれが目指す世界へ進んでいく。そして10年後、梁文秀は軍機章京の位につき、李春雲は宦官の頂点である大総官の地位にいた。
西太后に光緒帝、李鴻章に袁世凱、そして伊藤博文も登場する華やかなお話。面白かったです。
ただ一つ言いたい事がある。
最後の最後になって少年時代の毛沢東が唐突に登場するのだ、意味があるのか?
浅田次郎は共産中国を市場として意識でもしていたのだろうか?
(2005年6月 野田文庫)