イメージの力-国立民族学博物館コレクションによる
2014年2月19日~6月9日
国立新美術館
入場後すぐに、本展のメイン・ビジュアル≪神像つきの椅子「カワ・トゥギトゥ」≫(民族:イアトムル、国名:パプアニューギニア、1988年収集)が登場する。
そして、壁一面の仮面。異形の人形。煉獄や地獄の場面に出てきそう。
地域・時代別ではなく、各章のテーマに沿って、日本や欧州を含む世界各地の造形物が展示される。
普段、美術史の教科書に載るような美術作品を追っている私としては、新鮮である。
キャプションに、「原収集」「収集」または「制作」の表記と年代が記載されている。
「原収集」には古い年代も見られるが、「収集」「制作」には1970年代から2000年代と新しい年代である。
本来の目的利用のためではなく、欧米向けの伝統工芸品として制作されたものなのだろうか。
気になった作品をあげる。
No.268~272≪埋葬用の柱「ビス」≫
(民族:アスマット、国名:インドネシア、1990年収集)
その大きさが魅力。現地でこんなものを見たら間違いなく感動する。
No.126≪十字架≫
(国名:ドイツ、1999年収集)
磔にまつわる様々なものが「部材」として張り付けられている。
初めて見るような気もするし、以前にも見て感心したことがあったような気もする。
No.135、136≪呪術用の像「ミンキシ」≫
(民族:ヨンベ、国名:コンゴ共和国、1976年収集)
(民族:コンゴ、国名:コンゴ共和国、1984年収集)
全身(首より上を除く)に無数に釘が打たれている人形。
釘が衣装のように見える。適切ではないかもしれないが、きれいである。
No.161≪オシラサマ≫
(地域:岩手県、国名:日本、1938年原収集)
初めて実物を見る人形。毎年1枚ずつ衣装を重ねていくらしい。
第4章は、現代美術の世界となる。
武器(拳銃)で制作された、No.355≪いのちの輪立ち≫(自転車に二人乗り、そばに犬が走る像)やNo.366≪肘掛椅子≫は、紛争が背景にある作品である。
No.381~399の飲み物の空き缶で作られた玩具群(ベトナム)、No.332の19世紀後半にロンドンで制作された奇異なコラージュの屏風、No.333~337の床屋の看板(セネガル、ガーナ)など。
最後の部屋(エピローグ)は、展示の仕方も含め、全くの現代美術の世界であった(素通りする)。