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【書籍】オランダ商館長が見た江戸の災害(講談社現代新書)

2019年12月20日 | 書籍
オランダ商館長が見た江戸の災害
著:フレデリック・クレインス
解説:磯田道史
2019年12月刊
講談社現代新書
 
 
   「ハーグ国立文書館」「オランダ商館長」「江戸の災害」の言葉に惹かれて購入。
 
   読みやすく、分かりやすい。話も興味深い。私としては珍しく挫折することなく、一気に読む。
 
   当時は1年交替であったオランダ東インド会社の日本商館長(連続でなければ再任可)。
   6人の商館長が遭遇した江戸時代の大災害を、彼らが残した記録で見る。
 
 
 
ザハリアス・ワーヘナール
1656〜57年
江戸参府中に、明暦の大火に遭遇し、なんとか逃げのびる。
 
 
ヨアン・ブヘリヨン
1657〜58年
江戸参府中に、明暦の大火の1年後に発生した大火に遭遇し、ダチョウとともに避難する。
 
 
ヒデオン・タント
1703〜04年
元禄地震直後の江戸参府。強い余震が続く被災地・江戸に滞在する。
 
 
ヨアン・デ・ハルトヒ
1725〜26年
長崎・出島で、1年近くにわたって続く肥前長崎地域の強い地震を経験する。
 
 
ファン・レーデ
1785〜86年
江戸参府の行きの途上で京都天明の大火が発生、焼け野原となってしまった京都を訪れる。
 
 
ペトルス・テオドルス・シャセー
1790〜92年(年1回限定の来船が沈没によりなくなった(=後任者も来ない)で、2年勤めた模様)
長崎・出島で、島原大変肥後迷惑(雲仙・普賢岳の噴火、眉山の山体崩壊)を経験する。
 
 
 
   当時の西洋人の記録魔ぶりに感心するが、それだけ強烈な体験であり、かつ本部への報告/後任への引継に値する事項でもあったのだろう。
 
   商館長たちが語る、災害時の江戸時代の人々の様子も興味深い。
   江戸の都市の人々は、火災への警戒体制が通常モード。避難せざるを得なくなるのもしばしば。今では想像し難いほど、落ち着くことのない日々を過ごしていたのだなあ。


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