「没後100年 中村彝展」鑑賞のあと、短い時間であるが、常設展を見る。
現在の常設展の展示期間は、12/25〜2/13。
茨城県近代美術館の常設展示室は2つ。
第1常設展示室に入ると、最初に、印象派などの西洋絵画が7点展示されている。うち2点。
マネ
《白菊の図》
1881年頃、17×59cm
本作は、東京での展覧会で見たことがある。
直近では2020年のアーティゾン美術館「琳派と印象派」展や、2022年の練馬区立美術館「日本の中のマネ」展。
しかし、所蔵館までは覚えておらず、思わぬ対面となる。
日本に所在するマネ作品18点のうちの一つ。
ジャポニスムを背景に制作された扇面図で、白い菊とピンクの菊が描かれる。この扇面は日本式ではなく西洋式。
マネの花の静物画に見入る。
モネ
《ポール=ドモワの洞窟》
1886年、65×83cm
本作は、東京での展覧会で見たことがある。
直近では、2023年の国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ」展や、2023-24年の上野の森美術館「モネ 連作の情景」展。
本作が茨城県近代美術館所蔵であることは認識しており、所蔵館でも見ることができて嬉しく思う。1990年の購入のようだ。
本作は、モネが1886年9月12日〜11月25日の約2ヶ月間、ブルターニュ地方の「美しい島」という意味の名を持つ小島「ベリール」滞在中に制作した39点のうちの一つ。
ベリールでは、風雨や嵐で荒れ模様の日が多かったとされる。モネの絵も悪天候の日を描いたものが多い印象。それら絵は、悪天候の描写が魅力ポイントとなっている。
この絵は、穏やかな日を描いたようだ。青い海の描写が美しい。
続いて、日本近代洋画。1選。
古賀春江
《卓上静物》
1924年頃、72.7×60.6cm
茨城県近代美術館は、HPによると3点の古賀作品を所蔵しており、うち1点が展示されている。
画業を通じて、西洋の新しい表現を次々と取り入れていく古賀であるが、この時期はキュビスムや表現主義の表現を試みている。
本作が制作された1924年は、中村彝が亡くなった年。
1895年福岡県生まれの古賀は、当時29歳(中村の8歳下)。前年1923年8月に上京し、東京を本拠に活動しはじめたところ。9月1日は上野竹之台陳列館の二科展会場にいたようだ。
この後、パウル・クレーやシュルレアリスムの表現を取り入れた作品を制作し、《海》(東京国立近代美術館所蔵)などの傑作を生み出す。1933年に38歳で亡くなる。
日本近代洋画では、私の訪問日は非展示であったが、佐伯祐三《コルドヌリ(靴屋)》(直近では2023年の東京ステーションギャラリー「佐伯祐三 自画像としての風景」展で見る)や、岸田劉生《窓外夏景》(直近では2024年の渋谷区松濤美術館「空の発見」展で見る)も所蔵している。いつかこれらも所蔵館で見たいところ。
その他、日本画(小川芋銭、横山大観など)や彫刻など。
小川芋銭
《雪女》
大正末期(1921-26年)
続く第2常設展示室には「ストーリー&ヒストリー」と題し、物語や歴史を描いた作品が展示されている。