文永の役750年 Part2
絵詞に探るモンゴル襲来 - 『蒙古襲来絵詞』の世界
2024年11月30日〜2025年2月16日
國學院大学博物館
文永の役は1274年。弘安の役は1281年。
2024年は文永の役から750年。
國學院大学博物館は、モンゴル襲来に関する最新の研究状況の紹介を目的とした特別展を2回シリーズで開催している。
今般、Part2を見に行く。
なお、Part1「海底に眠るモンゴル襲来 - 水中考古学の世界」(会期:2024.9.21〜11.24)は見ていない。
《蒙古襲来絵詞》。
2021年に国宝指定された原本は、皇居三の丸美術館が所蔵する。
その模写本は約40点が知られているというが、本展では2点、熊本県の菊池神社および埼玉県の根岸家が所蔵する模写本、それぞれ全3巻が、前中後期に分けて1巻ずつ展示される。
埼玉県の根岸家という名前は、2024年の東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」展に引き続き目にする。江戸時代に代々名主を務めた現埼玉県熊谷市の豪農であったらしい。
私的におもしろく見たのは、模写本ではなく、海底からの出土品3点。
弘安の役の際、軍船4,400艘に乗った約14万人の元軍が壊滅したと言われている長崎県の鷹島海域から出土された武器・武具。
それぞれ《蒙古襲来絵詞》に登場する。
《てつはう》
元・13世紀、長崎県松浦市鷹島神崎港出土
《鉄製兜》
元・13世紀、長崎県松浦市鷹島神崎港出土
《矢束》
元・13世紀、長崎県松浦市鷹島神崎港出土
700年以上海底にあった。
単純な反応だが、そんなものが出土されているなんて、元寇は史実なのだなあ、《蒙古襲来絵詞》は敵兵を実態に即して描いているのだなあ、と思う。
鷹島神崎遺跡。
2012年に、海底遺跡としては、我が国ではじめて国の史跡に指定。
遺跡を管轄する長崎県松浦市では、1980年代からその実態を解明することを目的とした水中考古学調査を継続的に実施してきた。この結果、これまでに2艘の元軍船をはじめとする多くの関連遺物を確認するとともに、日本における水中考古学の最先端を行く調査研究手法の確立を図りつつある。
Part1も見たかったな。
松浦市埋蔵文化財センターでは、海底から発掘された蒙古襲来にかかる遺物を展示しているとのこと。
なお、九州国立博物館にて、特集展示「モンゴル襲来の痕跡を探る」(2024.10.29〜2025.1.19)が開催されている。東博所蔵の《蒙古襲来絵詞》模写本などが展示されているようだ。