東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」(サントリー美術館)

2018年09月29日 | 展覧会(日本美術)
京都・醍醐寺-真言密教の宇宙- 
2018年9月19日~11月11日
サントリー美術館


   京都市伏見区にある醍醐寺。知らなかったが、広大な境内、ひと山全てが境内、下醍醐と上醍醐に分かれ、下醍醐から上醍醐までは山を登ること1時間かかるという。
 
   醍醐寺は、明治の廃仏毀釈の時代に「一山に伝わる一切の宝物を、一紙に至るまで流出させないことを旨として」奮闘したことで、今も数多くの文化財を有しているようだ。
 
   本展の出品数は全122点(期間限定展示、次の巡回先・九州会場のみ展示を含む)。
 
   入場料大人1,500円はサントリー美としては高めだなあと思ったが、訪問して納得。美術館のキャパシティに挑戦するかのような仏像の数と大きさ、国宝・重文密度の高さ。私的には、仏像に圧倒される。
 
 
   以下、仏像3選。
 
 
重文《如意輪観音坐像》
平安時代・10世紀
 
   本展のメインビジュアル兼トップバッター。
   本展チラシなどの図版で見ると、コテコテとした仏像という印象であったが、実物は全く違う。優美、優麗。
   もっと大きい仏像を想像していたが、高さは50cmと小さめ。
   6本の手の様が、実に優美、優麗。右手は頬にあて、左手は地に向け、4本の手は如意宝珠、宝輪、数珠、蓮華を持つ。初めて、6本の手があっても非常に良いことかもしれない、と不遜なことを思ってしまうほど、優美、優麗。
 
 
 
国宝《薬師如来および両脇侍像》
平安時代・10世紀
 
   階段を降りた3階の吹き抜け空間の展示室に展示。
   《薬師如来》は、高さ180cmほどで、頭も大きく体もどっしりとした仏像。
   「安心感」「安定感」という言葉のイメージどおりの仏像らしい仏像にお会いするのは初めてかも。
   下醍醐から山を登って約1時間の上醍醐にある薬師堂の本尊として安置されていた《薬師如来および両脇侍像》。文化財保護の観点から、山の上から降ろし、2001年から下醍醐の霊宝館にて展示されているとのこと。
 
 
重文《不動明王坐像》
快慶作
鎌倉時代・1203年
 
   2017年の奈良博「快慶」展、醍醐寺からは2点の快慶仏が出品された。出品番号1の初期作品、像高111cmの重文《弥勒菩薩坐像》の印象は残っているが、もう1点、像高53cmの本仏のことは覚えていない。顔の向きが少し正面からずらされていて、立ち位置を変えながら観る。凛々しいお姿である。
 
 
 
   上記以外にも魅惑的な仏像が多数出品(なお、仏像は通期展示)。また、魅惑的な絵画も多数出品(絵画は前後期などで入替え)。
 
 
   絵画のお気に入り1選。
 
 
国宝《訶梨帝母像》
平安時代・12世紀
 
   2014年の渋谷区立松濤美「御法に守られし醍醐寺」展以来。
   訶梨帝母(=鬼子母神)が、左腕に裸の我が子を抱き、右手に吉祥果(ザクロ)を持つ。子供も左手にザクロを持つ。一人の童子がザクロが欲しくて訶梨帝母にとりすがる。まさしく、聖母子と幼なき洗礼者聖ヨハネの図像。
   なお、2014年の目玉絵画作品・国宝《現在過去絵因果経》(奈良時代・8世紀)は、本展では九州会場のみの出品。
 
 
 
   後期も訪問し、仏像を再度味わうとともに、後期から登場する絵画を楽しみたい。


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