東京でカラヴァッジョ 日記

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【後期】春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品-(宮内庁三の丸尚蔵館)

2018年09月26日 | 展覧会(日本美術)
「春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品-」(修理完成記念)
2018年8月18日~10月21日
宮内庁三の丸尚蔵館


「春日権現験記絵」(かすがごんげんげんきえ)。
 
   鎌倉時代、1309年の年記を持つ付属の目録によって、制作時の事情が明確である。
 
   全20巻、その一場面も欠けることなく、ほぼ完全な姿で伝わっている。
   さらに表紙などの装丁、収納箱なども含め、総てが制作当初の姿を伝えている。
 
   本格的な大和絵技法による、卓越した精緻な描写。
   紙ではなく絹に描かれた絵巻で、顔料なども最高級のもの。
 
   1309年春日社へ奉納され、春日大社の重宝として厳重な管理を受けて伝えられていたが、江戸後期に流出、その後勧修寺経逸が収集し、鷹司家の所有となった後、明治8年と明治11年の2度に分けて皇室に献上されたという経歴。
 
   日本美術界屈指のやんごとない絵巻であるらしい。
 
 
 
   その絵巻が平成16年度から13ヶ年をかけて本格的な保存修理を実施、その完成を記念した展覧会。
 
   さすがに全巻全場面の公開がなされるわけではないが、前後期制(9/18または9/21に入れ替え予定とのこと)で次が展示される。
 
【前期】
 
巻第2   第1段(3段中)
巻第3   第3〜4段(5段中)
巻第7   第4段(5段中)
巻第8   第7段(7段中)
巻第15   第3〜4段(6段中)
巻第16   第1段(4段中)
巻第19   第1〜4段(5段中)
 
【後期】
巻第4   第3段(6段中)
巻第5   第2〜3段(5段中)
巻第9   第3段(3段中)
巻第12   第3段(5段中)
巻第13   第1〜5段(6段中)
巻第14   第6段(6段中)
巻第17   第1〜2段(3段中)
巻第18   第2段(5段中)
 
  巻数レベルでは、20巻中15巻、段数レベルでは93段中26段の公開。
 
 
 
   「春日権現験記絵」を見る機会が近年あったなあ、と確認すると。
 
2017年東京国立博物館「春日大社   千年の至宝」展
巻第20
巻第12
 
2017年サントリー美術館「絵巻マニア列伝」展
巻第9
 
   いずれもほぼ素通りしている。いや、東博の展覧会では、鹿マークに誘われて、鹿の描写だけは確認した記憶がある。また、サントリー美の展覧会では、物語に惹かれてしっかりと観たようだ。
 
 
   前期に引き続き、後期訪問の今回。印象に残るのは、
 
巻第4第3段の牛車を引く牛の毛並
巻第5第2段の腹這いになって書を読む二人の女性
巻第5第3段の建物の床下から見える5頭の鹿
巻第9第3段の閻魔庁での母親。
巻第13第1段の新生児と5頭の鹿
 
(↓ 巻第9第3段)
 
 
   展示室内写真パネルで気になったのは。
 
巻第7第2段の、首元に蚤が飛び、痒くて眠れない犬。
 
   残念ながら今回の公開対象外。公開機会を待つ。
 


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