3年ぶりにJR両国駅近くの横網町公園内の東京都慰霊堂と東京都復興記念館を訪問する。
徳永柳洲の関東大震災画を見る。
画家・徳永柳洲(1871-1936)は、1923年9月1日、新宿・双葉町の自宅アパートで、関東大震災にあう。
自宅は全焼、新宿御苑に逃れ一晩を野宿。
翌日から市中を歩いて惨状を見てまわり、スケッチをとる。
そして、門人とともに、震災後1か月余のあいだに、2メートル四方ほどの大型震災画25点を制作する。
大型震災画25点のうち21点は、東京都慰霊堂および東京都復興記念館に常設展示されている。
加えて3点の大型震災絵画が、2006年からの東京都慰霊堂内収蔵物調査で発見され、2013年度に修復、2014年に初公開された。
横網町公園の地は、1919年の陸軍被服廠の移転後、公園予定地として更地になっていたが、関東大震災時に多くの罹災者が避難して猛火・旋風の発生により約38千人が死亡したとされる場所である。
東京都慰霊堂に入る。
入口から祭壇に向かって左の壁面には第二次世界大戦時の写真が、向かって右の壁面には、大型震災画8点が掛けられている。
《小田原の津波》右
《鎌倉の津波》左
《日本橋附近災害の夜景》
《旋風》
《避難者の混乱》
《浅草北部》
《第一震十二階の崩壊》右
《被服廠跡》僅かに左に写る
東京都復興記念館に入る。入場無料である。
徳永柳洲の大型震災画10数点ほか関東大震災関係の資料、および東京大空襲関係の資料が展示されている。
館内のチラシによると、次の特別展が開催されるとある。
平成29年 秋季特別展
大正の鬼才 河野通勢の関東大震災
2017年8月28日〜10月1日
東京都復興記念館2階
訪問するのが少し早かったか、と思ったが、メインとなる作品、河野通勢の手による関東大震災を描いた銅版画全31点は常設展示作品であるらしく、私の訪問時も、海外出張中の3点を除き、展示されていた。特別展では、画の背景の解説などがプラスアルファされるようだ。
なお、海外出張中とは、「平成29年5月19日〜12月20日 国立台湾歴史博物館へ貸出し中」、どうやら、2017年1-2月に国立歴史民族博物館で開催の「台湾と日本-震災史とともにたどる近現代-」展に対応する台湾側の特別展のためであるらしい。
今さらながらであるが、東京都復興記念館の前庭には、「関東大震災の時に、猛火と熱風にて溶解した、丸善ビル・鉄柱溶塊」。
それ以外にも、震災時の火災等による大型の被害品10数点が復興記念館屋外に置かれている。一瞬、現代アート オブジェかと思う。