東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

カポディモンテ美術館展(国立西洋美術館)

2010年06月27日 | 展覧会(西洋美術)
待っていたカポディモンテ美術館展。初日に訪問。

出品数は80点。絵画47点、素描14点、彫刻・工芸19点。更地下を利用しないコンパクトな展覧会。

私が観賞に時間を費やした主な作品は次の通り(すべて絵画、展示順)。

1 エル・グレコ「燃え木でロウソクを灯す少年」(№12)
 初期作品。このような主題は、明暗表現に絶好なのでしょう、この時代によく見かけます。
  絵具の筆触が楽しい素敵な作品。

2 パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」(№5)
 本美術館のガイド本の表紙にも使われている、代表所蔵作の一つ。
 緑を背景に立つ女性は、高級娼婦か花嫁かと議論されてきたそうです。随分の違いですが・・・。
 小さくまとまった造作の気の強そうな顔、動物(生きている?)のマフラー、丁寧に描かれた衣服の模様。
  
3 グイド・レーニ「アタランテとヒッポメネス」(№21)
 大画面。主題はキャプションにより初めて理解。
 本画家は私的には宗教画のほうが好みですが、動きに満ちたよい作品。

4 カラッチョロ「カルヴァリオの丘への道行き」(№57)
 黒系のモノトーンの画面のなか、3名の人物(左からキリスト、マリア、ヨハネ)のうち男性陣の服のみを赤系統の色彩とし、効果を狙っている(キリストが赤、ヨハネが橙かかった赤)。

5 マッシモ・スタンツィオーネ「聖アガタの殉教」(№64)
 切り取ろうとするまさに直前という残酷な場面。ただ、聖女はともかく、作業遂行中の脇の3人の雰囲気、特に左背後の男性(聖女の手を木に紐で縛ろうと顔を上に向けている)の表情や、右側の少年(刃物をふいごで熱する作業)の様子は、まさしく風俗画そのもの。
 キャプションによると、本画家はもう1つ同主題の作品がある(場面はその次の場面)とのこと。やはり同じような雰囲気の作品なのか、見てみたい。

6 アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」(№61)
 まさに首をはねているところ。本女性画家の描く本主題の作品群は迫力が違います(図版でしか見たことないけど)。 
 色彩も素敵で、今回のマイ・ベストです。

7 フランチェスコ・グアリーノ「聖アガタ」(№65)
 さらしに滲む血。この後に、神の加護により元どおりになるのでしょう。

8 ベルナルド・カヴァッリーノ「歌手」(№67)
  楽しそう。手のしぐさもポイント。 

9 マッティア・プレーティ「ユディト」(№77)
 7のその後、はねた首を侍女に手渡すユディト。暗闇に浮かぶユディトの顔と首なしホロフェルネスの体。

10 マッティア・プレーティ「聖ニコラウス」(№76)
 聖人を中心に、大型サイズの天使が上部左右に1名ずつ、下部左右に2名ずつ。どういう場面なのだろうか。

そのほかに、ティツィアーノ、マンテーニャやルイーニ、ガローファロ、アンニーバレ・カラッチ、スケドーニ、等。

私的には非常に楽しみました。が一般的には、うーん、ちょっと地味かなあ。
実際のカポディモンテ美術館はもっと迫力がありますしねえ。
ナポリのバロック絵画の一端を味わえる、いい展覧会です。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。