東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

2019年 展覧会ベスト10

2019年12月31日 | 展覧会(日記)
   今年見た展覧会のお気に入りベスト10(今年で10回目)。
 
 
 
1位:岡上淑子  -  フォト・コラージュ  沈黙の奇蹟
 
2019年1月26日〜4月7日
東京都庭園美術館
 
   1928年生の作家が、1950〜56年までというごく限られた期間に制作したコラージュ作品。戦後の日本の心象風景と同時代の欧米社会・文化との遭遇により成立した奇跡の作品群。
 
 
 
2位:カラヴァッジョ展
 
2019年10月26日〜12月15日
名古屋市美術館  
 
   「ダヴィデ&ゴリアテ」と「洗礼者聖ヨハネ」が並ぶ空間の神々しさ。「歯を抜く人」や「聖セバスティアヌス」も、真筆性はともかく、見応えのある作品。「ユディト」の展示不可が余りにも残念、(贅沢な言い分ながら)首都圏での開催がない、カラヴァッジェスキ出品作などが私的なマイナス点。
  
 
 
:コートールド美術館展  -  魅惑の印象派
2019年9月10日〜12月15日
東京都美術館
 
   21年ぶりの美術館引越し展。マネ《フォリー=ベルジェールのバー》、西洋美術史上燦然と輝く素晴らしい作品。他の2点のマネも魅力的。セザンヌの充実度。ゴッホ、ドガ、ロートレック、ゴーギャン、モディリアーニなどもいいです。ここ10年でもトップの印象派展。
 
 
 
4位:松方コレクション展
 
2019年6月11日〜9月23日
国立西洋美術館
 
   松方コレクションの形成と流転を追う館渾身の企画展。作品の来歴ストーリーに魅了される。
   ほぼ同時代の印象派コレクター、英国のサミュエル・コートールド、米国のアルバート・バーンズ、デンマークのヴィルヘルム・ハンセン、スイスのオスカー・ラインハルトなどと、松方幸次郎は何が違ったのだろう。
 
 
 
5位:遊びの流儀  -  遊楽図の系譜  
 
2019年6月26日~8月18日
サントリー美術館
 
   重文《相応寺屏風》(徳川美術館)、重文《本多平八郎姿絵屏風》(同)、国宝《松浦屏風》(大和文華館)、重文《湯女図》(MOA美術館)や、サントリー美術館所蔵の多数の遊楽図屏風。「天正かるた」「うんすんかるた」の実物。江戸時代前期・17世紀の遊び/気晴らしに興じる人々の姿一色に覆われた展示空間に酔う。
 
 
 
6位:ルート・ブリュック展
 
2019年4月27日〜6月16日
東京ステーションギャラリー
 
   フィンランドを代表するセラミック・アーティスト。前半の作品群は、キュートで、すっかり魅せられて、写真撮りまくり状態。後半の大型のモザイク壁画などの作品も、静かに心に響いてくる。今後の作品との再会が楽しみである。
 
 
 
7位:ミイラ  -「永遠の命」を求めて
 
2019年11月2日〜20年2月24日
国立科学博物館
 
   興味本位で見に行って、すっかり感じ入りさせられてしまう。南北アメリカ、エジプトなど世界中のミイラが集められているが、私的には、江戸時代の日本人の実物と対面する衝撃と、ヨーロッパの泥炭湿地から発見された自然ミイラの迫力が強く心に残って今も離れない。
 
 
 
8位:ゴッホ展
 
2019年10月11日〜20年1月13日
上野の森美術館
 
   ゴッホ&クレラー=ミュラー美術館所蔵作のみならず、スコットランド・ナショナル・ギャラリー、アイルランド・ナショナル・ギャラリー、コペンハーゲンのニュ・カールスベア美術館、スイスのラ=ショー=ド=フォン美術館など、来日機会がレアな作品が嬉しい。また、ハーグ〜ニューネン〜パリ初期のゴッホ芸術開花前の作品群が、限られた作品数にしては見事な選択で、私的にツボ。
 
 
9位:クリムト展  -  ウィーンと日本 1900
 
2019年4月23日~7月10日
東京都美術館
 
   印象に残る作品は、まずローマ国立近代美術館から来日した大作《女の三世代》、老女に対する容赦ない描写。《リア・ムンクI》、単に眠っているだけのように見える死の床にある肖像。《ユディトI》の官能性。同時期開催の「ウィーン・モダン」展とあわせて、クリムトや同時代のウィーン美術を楽しむ。
 
 
 
10位:バスキア展  -  メイド・イン・ジャパン
 
2019年9月21日〜11月17日
森アーツセンターギャラリー
 
   1960年生、10年弱の間、ニューヨーク・アートシーンを駆け抜け、1000点以上の絵画作品と3000点以上のドローイングを残し、1988年に27歳で亡くなる。その重要作品は今や100億円超の価格。彼の作品が持つ熱量を感じながら鑑賞する。
 
 
 
次点:へそまがり日本美術  -  禅画からヘタウマまで
 
2019年3月16日〜5月12日
府中市美術館
 
   お殿様から蛭子能収まで、雪村、白隠、仙厓、芦雪など、驚きの作品を多数見れて楽しい展覧会。
 
 
 
特別賞:フェルメール展
 
2018年10月5日〜19年2月3日
上野の森美術館
 
2019年2月16日〜5月12日
大阪市立美術館
 
   昨年(2018年)のベスト1としたので今年(2019年)は対象外としているが、2019年も、1月9日から途中登場の初来日となる《取り持ち女》や、大阪展限りの出品である《恋文》を楽しませてもらう。フェルメールを満喫した幸せの4ヶ月+1回。
 
 
 
   2020年も素敵な展覧会に多数出会えますように。
 
 
 


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