東京でカラヴァッジョ 日記

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《山中常盤物語絵巻》第5巻 岩佐又兵衛筆 -【後期】「奇想の系譜展」(東京都美術館)

2019年03月15日 | 展覧会(日本美術)

 

奇想の系譜展
江戸絵画ミラクルワールド
2019年2月9日〜4月7日
東京都美術館
 
 
   後期入りした「奇想の系譜展」、前期に引き続き訪問、奇想の画家たちの作品を大いに楽しむ。
 
   本展で期待していた作品の一つが、MOA美術館が所蔵する岩佐又兵衛筆の絵巻。
   前期は、《山中常盤物語絵巻》第4巻が出品。
   後期は、《山中常盤物語絵巻》第5巻に入れ替わるとともに、《浄瑠璃物語絵巻》第4巻が新登場。
   どちらの絵巻も全12巻あるなか、最も見どころである巻、辻氏の推しの巻が選択されたものと想像する。
 
 
 
   《山中常盤物語絵巻》第5巻の公開場面は、全12段中、1段から6段途中まで。
 
1段 「宿の主人に問われ、自らの身分と名をあかす瀕死の常盤」      
2段 「宿の主人は高貴な常盤が侍従以外に供を連れていないことを訝しむ」       
3段 「宿の主人は息絶え絶えの常盤から事情を聞き、牛若への形見の品々を預かる」
4段 「宿の主人は常盤の遺言どおりに、常盤と侍従を街道わきに土葬して高札を立てる」
5段 「秀衡の館にいた牛若は母の常盤が、夢にうつつに現れるのが気になり、館を忍び出て都に向かう」
6段 「牛若は常盤が襲われたその夜、山中の手前わずか三里の赤坂に宿をとる」
 
   以降、第5巻では牛若が常盤が討たれた宿に偶然泊まり、まどろむ場面までが描かれる。
 
 
   《浄瑠璃物語絵巻》第4巻の公開場面は、全4段中、1段から4段途中まで。少しだけ非公開場面があるということ。
 
1段 「浄瑠璃の寝所に近づく牛若。四方の障子には四季の絵が描かれ、その豪華さは都の御所にも勝るとも劣らない」
2段 「牛若が枕屏風の側からそっと中を覗くと、浄瑠璃は部屋で眠っている」
3段 「部屋に入った牛若は、思いを和歌にして浄瑠璃を口説こうとする」
4段 「なかなら靡かない浄瑠璃に、牛若はさまざまな例を出しながら浄瑠璃を口説くために言葉を重ねる」
 
   豪華絢爛ぶりが凄い。
   なお、本展非出品であるが、続く第5巻では、牛若が引き続き浄瑠璃を口説き、そして成功するまでが描かれる。全2巻を費やす丁寧ぶり。
 
 
 
   私の滞在時間帯(平日午後)は常時、これら絵巻の最前列鑑賞のための待ち行列ができていて、その待ち人数は最前列鑑賞中の人数より少ない程度ではあるが、又兵衛解説パネルを読む人とも混じり合い、どう並んでいるのか最後尾がどこか判然としない状況。通行や他作品鑑賞の妨げにも。係員から時折あった後回し鑑賞の推奨に従う人も多いようで、14時半よりは15時半、15時半よりは16時半の方が待ち人数が増えている(そのあと17時半の閉館時刻に向けて減少するのだろうけど)。今後の何らの対策が必要と思われる。
 
 
 
    以下、2017年春のMOA美術館「奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻」展で撮影した画像を再掲する。
 
 
 
1   侍従   
 
第5巻1段 「宿の主人に問われ、自らの身分と名をあかす瀕死の常盤」
 
第5巻2段 「宿の主人は高貴な常盤が侍従以外に供を連れていないことを訝しむ」       
 
第5巻3段 「宿の主人は息絶え絶えの常盤から事情を聞き、牛若への形見の品々を預かる」   
 
 
 
2   松  
 
第4巻4段 「盗賊は、邸の中まで乱れ入り、常盤と侍従の小袖を奪い、門外に逃げ去ろうとする」  
 
第4巻5段 「常盤は肌を隠す小袖を返すか、さもなければ命も奪っていけと訴える」
 
第4巻6段 「せめくちの六郎が立ち返り、常盤の胸に刀を突き刺す」       
 
第4巻7段 「侍従は常盤を抱き、さめざめと泣く」       
✳︎  8〜9段は公開されていなかった。
 
 
第5巻1段 「宿の主人に問われ、自らの身分と名をあかす瀕死の常盤」
 
第5巻2段 「宿の主人は高貴な常盤が侍従以外に供を連れていないことを訝しむ」
 
第5巻3段 「宿の主人は息絶え絶えの常盤から事情を聞き、牛若への形見の品々を預かる」       
 


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