2025年1月、思い立って、DIC川村記念美術館に行く。
佐倉での最後の企画展となる2月8日〜3月31日開催のコレクション展示の時に行くつもりでいたが、前倒しする。
川村記念美術館訪問は、2022年以来3年ぶり3度目。
京成佐倉駅から始発(8:50)の送迎バスに乗る。JR佐倉駅経由で30分少しで、美術館に到着。
切符売場。
窓口が1つ。現金・クレジットカード・交通系カードが利用可能。自動券売機が2台。現金のみ利用可能。私の訪問時は1台が故障中で、1台のみ稼働、その1台も途中で再起動状態となったようで、しばらく列が進まず。
*2月から、売場の混雑緩和のため、日付指定のオンラインチケットを販売する(予約制ではなく、現地窓口でも販売あり)とのこと。
帰りの送迎バスの時刻を確認する。
開館時刻(9:30)まで、門の前で待つ。
開館し、美術館に向かう。
入口の館内案内図。
101・102・103の部屋を通り抜け、110の部屋の奥にある茶席の入口に行って、来館当日に店頭のQRコードで時間予約するという仕組みを確認した(確認するだけで予約はしない)うえで、106の部屋に向かう。
106の部屋に向かう薄暗く長い廊下が、既に部屋の導入部と言えるのだろう。
106「ロスコ・ルーム」。
マーク・ロスコによる7点の「シーグラム壁画」専用展示室、2008年に増築されたという変形七角形の薄暗い部屋。
長い廊下を経てロスコ・ルームに入ると、空間を囲むようにして赤茶色の巨大な絵が現れます。
変形七角形の部屋の中央には、床の色と同化するように、鑑賞のためのソファがひとつ。
無表情な平天井の外縁から漏れる抑えた光が7枚の壁と絵を照らしています。
二番乗りであったが、一番乗り様はすぐに退出されたので、独占状態となる。
室内に入り、しばらく絵の前に佇むと、はじめは沈んだ赤茶色の面にしか見えなかった画面に深みと奥行き、あるいは輝きをも感じることができます。
ロスコ・ルームの特徴の一つである「照度の低さ」は、ロスコが〈シーグラム壁画〉を描くために借りたスタジオに由来します。
スタジオの照明は、主に天井付近の小さな窓から入る外光のみ。ロスコは照明器具で天井を照らすことはあっても、画面に直接当てることはなかったそうです。
薄く溶いた絵具を何度も塗り重ねた〈シーグラム壁画〉の絵肌には、色の粒子がふわりと立ち上がるような独特の表情があり、その陰影は強い光を当てると消えてしまいます。
ロスコは自身の絵が仄かな光のもとでこそ、その本来の姿を現すことを心得ていたのでしょう。
開館から1時間弱くらいまでは、ポツポツという感じであったが、11時頃までにはぐんと増え、以降は、部屋の中央に置かれたソファーに空きスペースがないような状況が続く。
7枚の大画面の絵を見つめる。
マーク・ロスコ《無題》
1958年、264.8×252.1cm
マーク・ロスコ《「壁画 No.1」のためのスケッチ》
1958年、266.7×304.8cm
マーク・ロスコ《無題》
1959年、266.7×455.9cm
マーク・ロスコ《壁画セクション1》
1959年、266.1×453.8cm
マーク・ロスコ《「壁画 No.4」のためのスケッチ》
1958年、265.8×379.4cm
マーク・ロスコ《壁画スケッチ》
1959年、182.9×228.6cm
マーク・ロスコ《壁画スケッチ》
1958年、167.6×152.4cm
ロスコは、自身の作品が人々の心の奥底に潜む感情と通じ合うことを強く望んでいました。
そのためロスコ・ルームには、作品と鑑賞者が深い一体感を持てるよう、さまざまな工夫がなされています。
7つの壁のコーナーには丸みを施し、絵画に包み込まれる感覚を強調。
部屋の大きさは、かつてロスコが意図した「親密な空間」を実現すべく小さめに。
細部までロスコの意図に沿うよう検討されたこの部屋は、作品鑑賞の場にとどまらず心の奥底と対峙する場となっています。
なんだろう。どちらかといえば「おどろおどろしさ」「閉鎖感」が強いのは、私の心の奥底を反映しているのであろうか。
ほか、特に見たもの。
モネ《睡蓮》1907年
ルノワール《水浴する女》1891年
藤田嗣治《アンナ・ド・ノアイユの肖像》1924年
レンブラント《広つば帽を被った男》1635年
エルンスト《入る、出る》1923年
帰りは、12:45発の送迎バスに乗る。
京成佐倉駅行き(JR佐倉駅は経由しない)と、JR佐倉駅行きの2台が来るとの案内。
京成佐倉駅行きは、ウォーホルのラッピング。
私が乗ったJR佐倉駅行きは、普通の観光バス。
美術館ホームページを見ると、今回展示されていないコレクションがまだまだたくさんあるようである。
佐倉で最後となる、約180点のコレクション展示は、行きたいところ。
DIC川村記念美術館 1990–2025
作品、建築、自然
2025年2月8日〜3月31日