ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵
2022年1月12日〜3月6日
千葉市美術館
本展は、当初「千葉市美術館拡張リニューアルオープン・開館25周年記念」展として、2020年7月11日〜9月6日の会期予定も、開催延期となっていた。
季節は夏ではなく冬となったが、今般開催していただけたことは大変ありがたい。
本展の出品点数は、約220点。
自館のみならず国内美術館等、さらには次の4つの海外美術館からも出品されている。
・プーシキン美術館(ロシア)
・ジマーリ美術館(アメリカ)
・メトロポリタン美術館(アメリカ)
・ホノルル美術館(アメリカ)
ジマーリ美術館は私的には初めて聞く名前だが、米国ニュージャージー州にある大学に付属する美術館であるらしい。日本でも、そのコレクションによるフランス美術・ジャポニスムの展覧会が1989-90年、1999-2000年、2002年と開催されている(確認できた範囲)。
【思ったこと3点】
1 プーシキン美術館所蔵のゴッホの素描《ラ・ムスメ》に再会できて、非常に嬉しい。
2 ロシアのジャポニスムは初めて意識して見るが、なかなか興味深い。
3 ジャポニスム展は、日本の浮世絵の影響を受けた西洋美術作品を観るというよりも、西洋のジャポニスム作品を通じて、日本の浮世絵を観るものなのだと認識する。それは本展の特徴なのだろう。
【本展の構成】
プロローグ:ジャポニスムとは何か?
第1章:大浪のインパクト
第2章:水の都 - 江戸・橋と船
第3章:空飛ぶ浮世絵師 - 俯瞰の構図
第4章:形・色・構図の抽象化
第5章:黒という色彩 - 影と余韻
第6章:木と花越しの景色
第7章:四季に寄り添う - 雨と雪
第8章:母と子の日常
エピローグ:江戸の面影 - ジャポニスム・リターンズ
本展は、一部の作品に限り撮影可能。
以下、撮影可能作品の一部を掲載。
プロローグ:ジャポニスムとは何か?
*ゴッホの素描《ラ・ムスメ》は、早々本章に登場。
渓斎英泉(1791-1848)
《雲龍打掛の花魁》
1830年前後、千葉市美術館
鳥居清倍(?-?)
《二代目市川団十郎の虎退治》
1713年、千葉市美術館
第1章:大浪のインパクト
*北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」のインパクト。
ヴァディム・ドミトリヴィッチ・ファリレーエフ(1879-1950、ロシア)
《カプリ島、波浪》
1911年、プーシキン美術館
第2章:水の都 - 江戸・橋と船
喜多川歌麿(?-1806)
《両国橋納涼》
1795-96年頃、メトロポリタン美術館
アンナ・ペトロヴナ・オストロウモヴァ=レベデヴァ(1871-1955、ロシア)
《高い橋》
1927年、プーシキン美術館
歌川広重(1797-1858)
《名所江戸百景 京橋竹がし》
1857年、ホノルル美術館
第3章:空飛ぶ浮世絵師 - 俯瞰の構図
歌川広重
《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》
1857年、ホノルル美術館
第4章:形・色・構図の抽象化
【参考図版】
カミーユ・ピサロ(1830-1903)
《夜のモンマルトル通り》
1897年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
第5章:黒という色彩 - 影と余韻
鈴木春信(1725?-70)
《夜の梅》
1766年頃、メトロポリタン美術館
第6章:木と花越しの景色
アンナ・ペトロヴナ・オストロウモヴァ=レベデヴァ
《鉄柵と木》
1900年、プーシキン美術館
歌川広重
《名所江戸百景 亀戸天神境内》
1856年、千葉市美術館
ヴァディム・ドミトリヴィッチ・ファリレーエフ(1879-1950)
《草刈りの人々》
1905年、プーシキン美術館
第7章:四季に寄り添う - 雨と雪
アンナ・ペトロヴナ・オストロウモヴァ=レベデヴァ
《夏の庭園》
1902年、プーシキン美術館
第8章:母と子の日常
*メアリー・カサットと歌麿の母子像。
喜多川歌麿
《風俗美人時計》
1798-99年頃、メトロポリタン美術館
【参考図版】
メアリー・カサット(1844-1926)
《湯あみ》
1890-91年、アメリカ議会図書館
エピローグ:江戸の面影 - ジャポニスム・リターンズ
ヘレン・ハイド(1868-1919、米国)
《かたこと》
1908年、千葉市美術館