東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「奇才-江戸絵画の冒険者たち」展(あべのハルカス美術館)

2020年09月24日 | 展覧会(日本美術)
奇才-江戸絵画の冒険者たち
2020年9月12日〜11月8日
あべのハルカス美術館
 
   大阪に所用があり、本年2月のカラヴァッジョ展訪問以来、7ヶ月半ぶりに首都圏から離れる。
 
    所用の合間の訪問先を求めて、関西の展覧会情報を調べる。あべのハルカス美術館で「奇才」展が開催中であることを知る。
 
   「奇才」展は、江戸東京博物館での開催時に1度見ている。
   4/25開幕予定も、2/28から始まった臨時休館が解けることなく開幕が延期される。緊急事態宣言解除後の6/2に開幕するが、閉幕日は6/21のまま、僅か18日間の会期となる。35絵師の155点の展示を予定したようだが、33絵師の86点の展示に留まった。
   その後、山口県立美術館に予定どおり巡回し、今回、3番目で最後の巡回地となる大阪にやってきていたのである。3ヶ月半ぶりの「奇才」展に決定。
 
 
   大阪会場では、全体で35絵師の161点が展示予定であり、私の訪問日の展示は35絵師の86点。なお、会期中1絵師が欠ける週があるようだ。
 
   大阪会場のトップバッターは、「江戸」の北斎、長野・小布施町の天井絵「男波」と「龍図」の2点。
   「京」「大坂」「江戸」「諸国」の4部構成からなる本展。東京会場では構成順の展示で、大阪会場も基本はそのとおりだが、北斎のこの2点は目玉としてトップに置かれている。東京会場では「女波」と「鳳凰図」が出品されており、私は全4点を見たことになるが、まだその魅力が分かっていない。
 
   円山応挙《棕櫚図》(香雪美術館)。明治初期の博物図譜を想起させる、その写実表現を好ましく思う。
   応挙作品では、前期の後半限りで《人物正写惣本》3巻のうち2巻(天理大学附属天理図書館)が登場する。前期に行くならばその時期がベストのようだ。
 
   狩野山雪《龍虎図屏風》(個人蔵)。東京会場と同様に、虎の毛並みの描写に見入る。最後のほうに登場する片山楊谷の虎と対決させたい。
 
   曾我蕭白《群仙図屏風》(文化庁)。大好きな作品で、何度か見ているが、毎回楽しい。今回の対面は、望外の喜び。過去の鑑賞経験よりも画面との距離が近い感。隣に祇園井特の独特の人物像3点が並ぶ、その取合わせも面白く思う。時間をかけて鑑賞したかったところ。後期は《群童遊戯図屏風》(九州国立博物館)に入れ替わる。
 
   狩野山雪《維摩居士図》(福井・善導寺)。髭、眉、払子の線は、墨と胡粉で曲線を繰り返して引いているそのしつこさが特徴とのことである。
 
   長澤蘆雪《岩上猿・唐子遊図屏風》(個人蔵)。後期は和歌山・無量寺の串本応挙芦雪館所蔵の襖絵4点と入れ替わる。それも見たいな。
 
   蠣崎波響《御味方蝦夷之図》(函館市中央図書館)のうち「イトコイ」。東京会場でも見ている。もう1点の出品予定「ションコ」は東京会場では(会期短縮により?)非出品、大阪会場では後期展示、と縁なし。
 
   林十江《蜻蛉図》(個人蔵)。画面にでっかく描かれたトンボ、突然大きくなった自分に驚いているかのように、目もでかいトンボ。東京会場では《花魁・遣手婆図》を楽しく見ており、この絵師は私好みかも。
 
   河鍋暁斎《処刑場跡描絵羽織》(京都府)。この作品が見られるとは想定外。2019年サントリー美「河鍋暁斎」展以来2回目の鑑賞だが、独立ケースに展示された前回と異なって、作品の列に混じってさりげなく登場するのが渋い。羽織の裏の中央に描かれる、血みどろの処刑図、磔刑の女性と首吊りの男性という悪趣味な描写に対して、両袖にシルエットで描かれる、ガス灯や電柱、人力車や馬車、道行く洋装の男女という「文明開化」の街の風景。この対照が面白い。
 
   絵金《伊達競阿国戯場  累》&《花衣いろは縁起  鷲の段》(高知・香南市赤岡町本町二区)。絵金の出品作は東京・大阪共通だが、東京会場では(おそらく会期短縮により)4点同時展示、大阪会場では前後期2点ずつの展示。4点並ぶほうが絵の勢いを感じる。
 
   片山楊谷《猛虎図》(個人蔵)&《竹虎図屏風》(鳥取・雲龍寺)。
   3幅からなる《猛虎図》は東京会場でも見ているが、改めて「異なる色と表現で描き分け」られた3頭の虎たち、その違いを楽しむ。
   《竹虎図屏風》は、東京会場では右隻・左隻の展示替えがあって右隻のみの鑑賞となったが、大阪会場では同時展示。左隻の大きな虎1頭と右隻の小さめの虎2頭が威嚇し合う様が愛らしい。
 
 
   以上、気になる作品を挙げたが、「京」と「諸国」の絵師ばかりで、「大坂」は無し、「江戸」は北斎のみというのは、私の好みを反映しているのだろうか。
 
 
   最後に、新幹線の混雑状況。
   4連休初日の行きの東京6時台発新大阪止まりの私の乗った指定席車両は、2人席(DE席)こそすべての列が1人客(または2人連れ)で埋まっていたが、3人席(ABC席)はポツンポツンで乗車率は3割に満たないか。
   4連休2日目の帰りの新大阪始発21時台の指定席車両は、もともと混雑しない日時だろうけれども、僅か5人(前後の車両も同様)。
   また、新大阪駅の土産店の一部が閉店時刻を繰り上げしていて、定番の菓子が買えず。
   相対的に空いていそうな列車を選んでいるとはいえ、この時期でもこの様子。

 



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