シャルル=フランソワ・ドービニー展
バルビゾン派から印象派への架け橋
2019年4月20日~6月30日
損保ジャパン日本興亜美術館
国内初のドービニー回顧展とのこと。フランス・ランス美術館を中心にフランス・国内の美術館・個人の所蔵作品から構成される。ドービニー作品は約60点、周辺画家の作品が約20点。
本展の構成
序章 :同時代の仲間たち
第1章:バルビゾンの画家たちの間で(1830〜1850)
第2章:名声の確立・水辺の画家(1850〜1860)
第3章:印象派の先駆者(1860〜1878)
第4章:版画の仕事
気になった作品3選
ドービニー作品を見る機会は多いが、こんなにたくさんの作品を見るのは初めて。しかも時系列で作品を鑑賞できるのは魅力。しかし、殆どが風景画で特に水辺の画が多くて、作品の違いが分からなくなってくることも確か。
そんななか、印象に残る作品はちょっと雰囲気が異なるもの。以下3選。
ドービニー
《聖ヒエロニムス》
1840年
アミアン、ピカルディー美術館
画業初期に描いた「歴史的風景画」。165×195cmの大型画面。1840年のサロンに出品。翌年ローマ賞に再挑戦し落選。以降、風景画に転じ、1850年代には写実主義の風景画家として名声を確立する。
ドービニー
《ボッタン号》
1869年頃、フランス・個人蔵
ドービニーは、1857年にアトリエ船「ボタン号」を購入し、船上制作を行う。1868年には2代目となるアトリエ船「ボッタン号」を購入する。
本作は2代目「ボッタン号」を描いたもの。1代目より大きくて、セーヌ川を下って英仏海峡まで出かけることが可能になったという。
ドービニー
版画集「船の旅」16点
1862年、個人蔵
ドービニーが、もともと家族に見せるためにアトリエ船での旅の間に描いたスケッチを、版画家オーギュスト・ドゥラートルが版画化したもの。扉絵を含めて16点からなる。旅のエッセイ絵という感じで微笑ましい。
この版画に「見習水夫」として登場するのは、画家の長男カールとされる。カールは長じて海景画・風景画中心の画家になる。本展の最後にもカール作品3点が紹介される。なお、長女は花などの静物画家に、次男は画商になったとのこと。
42階美術館での展覧会も、本展を含めて残り3展。