東京でカラヴァッジョ 日記

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【第3期】「やまと絵 - 受け継がれる王朝の美」(東京国立博物館)

2023年11月13日 | 展覧会(日本美術)
やまと絵
受け継がれる王朝の美
2023年10月11日〜12月3日
東京国立博物館
 
 
 週末の午後、第3期を訪問する。
 
 
【本展の構成】
序章 伝統と革新 -やまと絵の変遷 -
第1章 やまと絵の成立 - 平安時代 -
 第1節 やまと絵の成立と王朝文芸
 第2節 王朝貴族の美意識
 第3節 四大絵巻と院政期の絵巻
第2章 やまと絵の新様 - 鎌倉時代 -
 第1節 写実と理想のかたち
 第2節 王朝追慕の美術
 第3節 鎌倉絵巻の多様な展開
第3章 やまと絵の成熟 - 南北朝・室町時代 -
 第1節 きらめきのかたち
 第2節 南北朝・室町時代の文芸と美術
 第3節 和漢の混交と融合
第4章 宮廷絵所の系譜
終章 やまと絵と四季 - 受け継がれる王朝の美 -
 
【会期区分】
1期:10月11日〜10月22日
2期:10月24日〜11月5日
3期:11月7日〜11月19日
4期:11月21日〜12月3日
 
 
 第3期は、展示作品の多くが、第1・2期から展示替え・場面替えされている。
 
 
 まず向かったのは、序章に展示されるお気に入り作品。
 
国宝《日月四季山水図屏風》
室町時代15世紀
大阪・金剛寺 3・4期
 
 この六曲一双の屏風を初めて見たのは、2015年のサントリー美術館「水 - 神秘のかたち」展。
 日、海、緑の山、木々、月、白い山、滝のワイルドな描写。経年劣化の具合も味わいを増す。
 その時は重要文化財であったが、2018年に国宝に指定される。
 2度目の鑑賞は、2018年の東博「平成30年新指定国宝・重要文化財」展。
   荒海を囲む山並みに四季の循環を表し、空には日月を配した室町時代のやまと絵屏風。動感あふれる構成に大らかな加飾と鮮やかな色彩が共鳴して独特の迫力を生み出している。我が国の絵画の特質が顕著な優品である。
 
 
 続いて、第1章第2節、平安時代の作品より。
 
国宝《彩絵檜扇(古神宝類のうち)》3握
広島・厳島神社 3・4期
 
 小型の扇3点。
 松が繁る洲浜と、貴人たち、牛車、騎馬人馬、鶴などが豆粒サイズで描き込まれる。
 さらに物体としての扇。三十数枚の檜製の橋(薄板)の下端を要として蝶鳥金具で留められる。上端を色糸で綴じ繋いで、余り糸を垂らす。箱に5本のネジを打ち、その間に線を張って扇を箱内に固定させる。を面白く見る。
 
 
 三大装飾経の集結。見事な装飾。
 
国宝《久能寺経「薬草喩品 第五」》
所蔵者表記なし 3期
✳︎4期は「随喜功徳品 第十八」に代わる。
 
国宝《平家納経「薬王菩薩本事品 第二十三」》
広島・厳島神社 3・4期
✳︎1・2期は「分別功徳品 第十七」の展示。
 
国宝《慈光寺経「妙荘厳王本事品 第二十七」》
埼玉・慈光寺 3・4期
 
 
 
 毎回のお目当て作品。
 第3期の第1章第3節「四大絵巻と院政期の絵巻」展示室の展示作品。
 
国宝《辟邪絵「毘沙門天像」》
奈良国立博物館 3・4期
 
重文《華厳五十五所絵巻断簡「普賢菩薩」》
東京国立博物館 3・4期
 
重文《病草紙「肥満の女」》
福岡市美術館 3・4期
 
重文《病草紙「せむしの乞食法師」》
九州国立博物館 3・4期
 
国宝《病草紙「風病の男」》
京都国立博物館 3・4期
 
国宝《病草紙「ふたなり」》
京都国立博物館 3・4期
 
重文《病草紙「背骨の曲がった男」》
文化庁 3・4期
 
重文《病草紙「侏儒」》
九州国立博物館 3・4期
 
重文《沙門地獄草紙「沸屎地獄」》
奈良国立博物館 3・4期
 
国宝《地獄草紙》
奈良国立博物館 3・4期
✳︎公開は7段のうち、第3段「鉄磑所」と第4段「鶏地獄」の2段
 
国宝《餓鬼草紙》
東京国立博物館 3・4期
✳︎公開は10場面のうち最初の4場面「食人精気餓鬼」「食小児餓鬼」「食糞餓鬼」「疾行餓鬼」。
 
《源氏物語絵巻断簡「若紫」》
東京国立博物館 3・4期
 
《源氏物語絵巻詞書「末摘花」「常夏」「柏木一」》
春敬記念書道文庫 3・4期
 
国宝《源氏物語絵巻「横笛」》
徳川美術館 3期
 
国宝《信貴山縁起絵巻「延喜加持巻」》
奈良・朝護孫子寺 3期
✳︎1285.4cmの大半が公開
✳︎4期は「尼公巻」に代わる。
 
重文《葉月物語絵巻「第一段」》
徳川美術館 3期
✳︎4期は「第五段」に代わる。
 
国宝《寝覚物語絵巻》
大和文華館 3期
✳︎全4段のうち、最初の2段
 
国宝《鳥獣戯画「丙巻」》
京都・高山寺 3期
✳︎公開は中盤部分(20紙のうち第7〜15紙)
✳︎4期は「丁巻」に代わる。
 
重文《鳥獣戯画断簡》
東京国立博物館 2〜4期
 
国宝《後鳥羽天皇像》
大阪・水無瀬神宮 3期
 
重文《後宇多天皇像》
京都・大覚寺 3・4期
 
国宝《花園天皇像》
京都・長福寺 3・4期
 
 
 病草紙(特に、肥満の女、ふたなり)、地獄草紙、餓鬼草紙を特に楽しむが、さらに楽しんだのが、2期で「神護寺三像」があった場所に展示される鎌倉時代の似絵「天皇像」3点。
 《花園天皇像》は、画像の真正性を保証する墨書を本人がしたためているという。
 
 
 
 ここまで見て充分に満足する。
 以降は軽く見ていく。主に見たもの。
 
国宝《明恵上人蔵(樹上坐禅像)》
京都・高山寺 3・4期
✳︎リスを探す
 
重文《僧形八幡神影向図》
京都・仁和寺 3・4期
✳︎うっすらと描かれる正面向きの人影
 
重文《佐竹本三十六歌仙絵「住吉大明神」》
東京国立博物館 3・4期
✳︎人物ではなく景観が描かれる
 
《駿牛図》
所蔵者表記なし 3・4期
✳︎展覧会初公開作品とのこと
 
重文《土蜘蛛草紙》
東京国立博物館 通期(前後期で巻替え)
 
重文《福富草紙》
京都・春浦院 通期(前後期で巻替え)
 
《蛙草紙》
根津美術館 3・4期
 
重文《百鬼夜行絵巻》
京都・真珠庵 通期(前後期で巻替え)
✳︎最後に赤い太陽が登場
 
 
 
 今回の3期訪問は、これまでの1・2期と同じく週末午後の時間帯であるが、その混み具合は、これまでと比べるとそれほどでもない。たまたまそうだったのか、1・2期ほどの注目度ではないのか。
 
 次は第4期。
 第4期限りの出品作品は、数は多くないながらも、通常の展覧会であればそれらが1点でも出品されているなら訪問したくなるような作品たち。第4期も行くつもりでいる。


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