国宝
《普賢菩薩像》
平安時代・12世紀
平安時代の仏画の名品。
昭和25年施行の現行の文化財保護法に基づく初めての国宝指定となる昭和26年6月に、国宝指定された絵画で、国宝指定番号は「00001」(同時に国宝指定された絵画は全26件)。
東京国立博物館の列品番号は「A-1」。
特別感のある日本絵画と言える。
2019年度から100年ぶりの本格修理を行い、2022年3月に作業完了。
状態が安定するまで1年間は養生期間。
昨年2022年10-12月に開催された「国宝 東京国立博物館のすべて」展では、会期の最後2週間出品されたが、試験展示という位置付けであったようだ。
そして、いよいよ本格的に披露される。
今回の展示期間は、4月11日〜5月7日。
今の距離でも相応に想像できるが、ごく至近距離で見ることができれば、画面が、絶妙なバランスで辛うじて形を保っていることを実感できるのだろう。
実に困難な修理作業であっただろう。
東京美術から刊行された『国宝 普賢菩薩像 令和の大修理 全記録集』(一般書籍販売)により、その一端を伺うことができそうだ。
国宝
《円珍自筆書状(円珍関係文書のうち)》
円珍筆、平安時代・9世紀
円珍(814~891)は、讃岐国に生まれ、15歳で比叡山に登る。
853年に唐に渡り、858年に帰国、多くの仏典を持ち帰る。
868年に延暦寺の座主となり、また、園城寺(三井寺)を天台別院とし、天台宗寺門派の祖となる。
「国宝 東京国立博物館のすべて」展の来場記念「東京国立博物館の国宝カード」、私がもらった3枚のうち2枚が《円珍関係文書》《円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書》と「円珍」関係であったことから、気になりはじめた国宝。
《円珍関係文書》は8巻の文書類からなるが、「国宝 東京国立博物館のすべて」展では、「充内供奉治部省牒」と「台州温州公験」の2巻が出品された。
今回、本館3室で展示される「円珍自筆書状」は、円珍が、六歌仙の一人として知られる僧・遍昭に宛てた書状。
寺務についての意見を述べ、また病中の遍昭に静養をすすめている。
行書体を交じえた枯れた筆致で、円珍最晩年の筆と考えられるとのこと。
本来日付の下には円珍の署名があったが、筆跡が護付として信仰されたため、鎌倉時代に切り取られたという。
私が本品を見ているとき、「円珍って、何気に国宝なんだよね。」と言って去っていった女性2人組、かなりのマニアなのだろうか。
本年(2023年)8月には、本館2室国宝室にて、「円珍戒諜」が展示予定と、8巻が順次公開されているようだ。
わたしの訪問時、本館は結構な人出で、海外からの観光客も驚くほど多数。
本来期待されている東博総合文化展の姿を見るのは、2020年2月以来のこと。
2020年4月の総合文化展観覧料の値上げの効果は、これから現れてくるのだろう。